第2章 ビルヘルム・シュタイニッツ(続き)
現代のフットボールのプロ選手たちは引き分けは妹にキスするようなもの[訳注 嬉しくもなんともないこと]だと言う。世界のチェス選手に対して自分の優越を主張するために人生のほとんどを費やしてきたシュタイニッツにとっては確かにチゴーリンが同格であることを認める気はなかった。とにかく決着のつかないことを嫌うチゴーリンにとっては引き分けという結果で得るものはほとんどなかった。そこでどちらかが10勝するまで試合を続けることが合意された。第21局は引き分けだったが続く2局をシュタイニッツが連勝し10勝8敗5分で番勝負に勝った。
シュタイニッツはまたしてもチゴーリンを破った。しかし彼が真の敵とみなしていたに違いない「ギャンビット指法の真髄」に対してはこの2度目の対決で惨めな結果に終わった。チゴーリンはエバンズギャンビットで4勝1敗3分と圧倒しただけでなく、2ナイト防御では黒番の4局で3勝もあげた。2ナイト防御も戦力を犠牲にする布局でシュタイニッツはいくつかの独自の構想を試していた。シュタイニッツが番勝負に勝ったのはルイロペスの白で3勝0敗1分、クイーンポーン布局で3戦3勝という結果をあげたからだった。
(この章続く)