第2章 ビルヘルム・シュタイニッツ(続き)
第9局はフランクリン・チェスクラブで4月14日に行なわれたがラスカーの会心局となった。
ルイロペス
白 ラスカー
黒 シュタイニッツ
1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5 d6 4.Nc3
4.d4 で敵のeポーンに圧力をかけていく方が明らかにきつい手である。本譜の手に対しては黒がいくつかの適切な手で応じることができる。
4...a6
4...Nf6 や 4...Bd7 は 5.d4 でもっと普通の手順に戻る。4...Bg4 はこれも互角への近道である。例えば1932-33年ヘースティングズでのタイラー対スルタン・ハーン戦では 5.d4 exd4 6.Qxd4 a6 7.Bxc6+ bxc6 8.Qc4 Qd7 = と進んだ。
5.Bc4
5.Bxc6+ は 5...bxc6 6.d4 f6 = となって、白のc3のナイトが自分のcポーンをふさぎクイーン翼での指し手を狭めてしまっている。
5...Be6 6.Bxe6 fxe6 7.d4 exd4 8.Nxd4 Nxd4 9.Qxd4
9...Ne7 10.Bg5 Nc6! 11.Bxd8 Nxd4 12.O-O-O
12...Nb5?
単に 12...Rxd8 13.Rxd4 Be7 と指していれば互角の局面だった。本譜の手では黒にいくつかの弱点と骨の折れる受けが残される。
13.Nxb5 axb5 14.Bxc7
14...Rxa2
14...Ra6(15...Kd7 の狙い)なら 15.e5 d5 16.a3 Kd7 となってaポーンの代わりにeポーンを取ることになるがそれでも黒にとって非常に難しい形勢である。
15.Bb6 Be7 16.c3 Kf7 17.Kc2 Rha8 18.Kb3 R2a4
19.f3 R8a6 20.Bd4 g6 21.Rd3 Ke8 22.Rhd1
22...e5
この手は明らかに大きな譲歩だが止むを得なかった。もし(フレッド・ラインフェルドとルーベン・ファインの著書の『ラスカー博士のチェス棋歴』中の分析による)Ⅰ22...Kd7 なら 23.Bc5 Rc6 24.Bxd6 Rxd6 25.Rxd6+ Bxd6 26.e5 Ra6 27.f4 Kc7 28.exd6+ Rxd6 29.Rd4! +/-
となり、ルークを交換すると黒がすぐ負けてしまう。
Ⅱ22...Rc6 なら 23.Bf2 Kd7 24.Bg3 Kc7 25.Rd4 Rxd4 26.Rxd4 Rc5 27.Kb4 +/-
となる。
23.Be3 Kd7 24.Bc5! Ra1 25.R1d2 Ke6
26.Ba3 g5 27.Rd5 Rb6 28.Kb4 g4
29.Ka5
ラスカーは後に 29.fxg4 Re1 30.Ka5 Bd8 31.Rxb5 Ra6+ 32.Kb4 Rxe4+ 33.Kb3 の方が良かったと言ったが実戦の手の方が簡明である。
29...Ra6+ 30.Kxb5 h5 31.Rd1 Rxd1 32.Rxd1 gxf3 33.gxf3 Ra8
34.Kb6 Rg8 35.Kxb7 Rg2 36.h4 Rh2 37.Kc6 Bxh4 38.Rxd6+ Kf7 39.Kd5
39...Bf6
39...Rd2+ は 40.Kxe5! Bg3+ 41.f4 Rxd6 42.Bxd6 h4 43.Bc5 h3 44.Bg1 で白の勝ちになる。
40.Rd7+ Kg6 41.Ke6 h4 42.Rd1 h3 43.Rg1+ Rg2 44.Rxg2+ hxg2
45.Bc5 Bd8 46.b4 Kg5 47.Kd7 Bf6 48.b5 Kf4 49.b6 黒投了
(この章続く)