第2章 ビルヘルム・シュタイニッツ(続き)
第10局と第11局もラスカーが勝って5月の初めにモントリオールのコスモポリタン・クラブで番勝負が再開された時にはラスカーの7-2になっていた。当然のことながらラスカーも含めて誰もがもうまもなく勝負がつくと予想していた。しかしシュタイニッツは周りが想像したに違いない全くの強情から、勝利のために必死で戦ってきたタイトルの防衛に最後の力を振り絞った。第12局は引き分けだったが第13局はこの古豪の長い棋歴の中でも最高傑作の一局となった。
ルイロペス
白 ラスカー
黒 シュタイニッツ
1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5 a6(これは現代のほとんどの選手がほぼ反射的に指す手だがシュタイニッツはあまり好まなかった。彼は別の防御手段を創案していたので自分の頭脳の産物を愛用することを期待されていたのかもしれない。しかしこの番勝負の以前の試合ではシュタイニッツ防御は手痛い仕打ちを受けていた。)4.Bxc6(ラスカーが後年最も重要な試合のいくつかで勝利をあげたのはこの交換戦法だった。その中には1914年サンクトペテルブルクの大会でカパブランカを破った有名な試合もあった。最近ではボビー・フィッシャーがこの戦法でいくつかの貴重な勝利をあげているがいくらか違った作戦を用いている。次の解説を参照。)4...dxc6
5.d4(現代では 5.O-O が指されている。以下は 5...f6 -5...Bg4 もある- 6.d4 exd4 7.Nxd4 c5 8.Nb3 Qxd1 9.Rxd1 Bd6 10.Na5! +/= と進む。)5...exd4 6.Qxd4 Qxd4 7.Nxd4
7...c5(前述のサンクトペテルブルクでの試合ではカパブランカが 7...Bd6 と手を変え以下 8.Nc3 Ne7 9.O-O O-O 10.f4 Re8 11.Nb3 f6 12.f5?! と進んだ。)8.Ne2 Bd7
9.Nbc3(1908年タラシュとの番勝負の第1局でラスカーは 9.b3 と指した。しかし 9...Bc6 10.f3 Be7 11.Bb2 Bf6 12.Bxf6 Nxf6 13.Nd2 O-O-O 14.O-O-O Rd7 15.Nf4 Re8 16.Nc4 b6
となってあるかないか程度の優勢だった。)9...O-O-O 10.Bf4 Bc6 11.O-O Nf6 12.f3 Be7 13.Ng3 g6
14.Rfe1(14.Rfd1!)14...Nd7 15.Nd1 Nb6 16.Nf1 Rd7 17.Be3 Rhd8 -/=
18.b3 c4! 19.Bxb6 cxb6 20.bxc4 Bb4! 21.c3 Bc5+ 22.Kh1 Rd3 23.Rc1
23...a5(23...Ba3! 24.Nf2 Rd2 25.Nxd2 Rxd2 26.Nh3 Bxc1 27.Rxc1 f6 -/+)24.Nde3 f5 25.exf5(25.Nd5!)25...gxf5
26.h3(26.Nxf5 Rxf3!! 27.N5e3 Rf2 または 27.Ne7+ Bxe7 28.gxf3 Bxf3+ 29.Kg1 Bc5+ 30.Ne3 Rd2 -/+)26...Rg8 27.Nd5 Bxd5 28.cxd5 Rxd5
29.Rcd1?(29.g4!)29...Rxd1 30.Rxd1 f4!
31.Kh2 Re8 32.a4 Kc7 33.h4 Kc6 34.c4 Bb4 35.Kh3 Re1
36.Rxe1 Bxe1 37.Kg4 Kc5 38.Kxf4 Kxc4 39.Ke4 Bxh4 40.g3 Bd8
41.Ne3+ Kb4 42.Kd3 Kxa4 43.Kc2 Kb5 44.f4 Kc5 45.f5 Kd6
46.g4 b5 47.Nd1 Ke5 48.Nc3 b4 49.Na4 Kd4 50.Nb2 b5
51.Kb3 Be7 52.g5 a4+ 53.Nxa4 bxa4+ 54.Kxa4 Ke5 55.Kb3 Kxf5 白投了
(この章続く)