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チェス500名局(106)

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第1部 開放型

第5章 ルイ・ロペス

第106局

白 アリョーヒン
黒 コルタノフスキー
(ロンドン、1932年)

 序盤でいつもの手順をたどった後白は最初に予防の手(19.a3 と 20.h3)によって単に大局的な優勢を維持しようとし、それによってもたらされる動的な手段に期待した。

 必然的な捨て駒(22.Nxc7)は普通ではない性質のものだった。黒のクイーン翼を乱してからのキング翼への白の侵入はいっそう効果的だった。

1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5 a6 4.Ba4 d6 5.Bxc6+

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 「遅延交換戦法」と呼んでもよいかもしれないこの戦型では白は布局の課題を単純明快に解決しようとしている。

5...bxc6 6.d4

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6...exd4

 このように中原を放棄するのは 6...f6 で中原を維持しようとするよりも執着心がない表れである。6...f6 の後は例えば 7.Be3 Ne7 8.Nc3 Be6(ここからの駒の組み換えは 8...Ng6 9.Qd2 Be7 10.O-O-O や 8...g6 9.Qd2 Bg7 10.Bh6 よりも柔軟性がある)9.Qd2 Nc8 10.O-O-O(10.O-O はすぐに戦いが穏やかになる)10...Nb6 11.b3 Be7
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となって黒の防御はしっかりしている。

7.Nxd4

 この手は 7.Qxd4 Nf6 8.O-O Be7 で互角になるよりも効果的である。

7...Bd7

 7...c5 8.Nf3 は黒のd5の地点がかなり弱体化し、白がいつかe5突きを狙ってくる。

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8.O-O

 白はあっさりとキング翼の展開を完了させた。もっと意欲的な指し方は 8.Nc3 Nf6 9.Qf3(狙いは 10.e5)だが 9...c5 とすぐに反撃され 10.Nf5 Bxf5 11.exf5(穏やかでないのを望むなら 11.Qxf5)11...Be7 12.Qc6+ Nd7 13.Nd5 Ra7(これで全て安全である)14.O-O O-O
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で均衡を取り戻す。

8...g6

 普通の展開の手は 8...Nf6 9.Nc3 Be7 でどちらも指せる。本譜の手も可能だがもっと注意深さがいる。

9.Nc3 Bg7

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10.Re1

 この手は単刀直入に 10...Nf6 と跳ねてくる手を防いでいる(それに対する応手は 11.e5 である)。

 代わりに 10.Be3 は 10...Nf6 11.h3(11.Qd2 には 11...Ng4)11...O-O 12.Qd2 Re8 13.Bg5 Qb8(白の2ポーンが攻撃されている)14.Bxf6 Bxf6
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で黒が双ビショップの態勢になる。

10...Ne7 11.Bf4

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 これは6手目の構想と呼応した手である。つまりe5の地点をにらみ、それと同時に黒枡の斜筋にクイーンとビショップのバッテリーを配置する準備をしている。

11...O-O 12.Qd2 c5

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13.Nb3

 13.Nde2 の方が簡明だが、13.Nf3 は 13...Bg4 で良くない。

13...Nc6 14.Bh6

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 大局観により交換を目指した。結果として黒は守り駒の黒枡ビショップを失い「黒枡群」に弱点を抱えたままになる。

14...Be6 15.Bxg7 Kxg7 16.Nd5 f6 17.Rad1 Rb8 18.Qc3 Qc8 19.a3

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 黒枡の対角斜筋とd列のにらみのおかげで大局的な優勢を確立した白は黒が(19...Nb4 のように)あばれる手を防ぐことに主に注意を向けている。

19...Qb7 20.h3

 これも穏当な手である。しかしこれから起こる重大な事態の変化によっては必須となるかもしれない(キングの逃げ道として)。

20...Rf7 21.Re3

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21...Qb5

 ここが正念場である。敵の狙いを看破すれば黒はどんなことがあろうと 21...Bxd5 で単純化に甘んじるべきだった。これは重要な駒をなくすことになるが 22.exd5 Nd4 23.Nxd4 cxd4 24.Rxd4 Qxb2(目には目を、ポーンにはポーンを)25.Qd2 Qa1+ という進行になれば白が大局的にいくらか優勢であっても黒は持ちこたえる希望がある。

 本譜の手は 22...c4 の意図だがクイーンが主戦場からあまりに遠くさまよっている。

22.Nxc7

 ずっと先まで見通した「形を乱す捨て駒」である。

22...Rxc7 23.Rxd6

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23...Bc4

 黒には色々な応手があるが次のように白はそのすべてについて読んでおかなければならなかった。

 23...Nd8 には 24.Rf3 Rf7 25.Nxc5 Qe8 26.Rxa6 で白は攻撃をゆるめることなく駒1個の代わりに4ポーンを得る。

 23...Nd4 には 24.Nxd4 で白が勝つ。

 23...Qc4 には 24.Nxc5 である。

 23...Bxb3 には 24.Qxf6+ Kh6 25.Rxb3 Qa4 26.Rxc6 で果敢に駒を取り返す。

 23...c4 には 24.Rxe6 cxb3 25.Qxf6+ Kh6 26.Rxb3 である。

 23...Re8 には 24.Nxc5 Nd8 25.b4 でどの狙いにも対処している。

 23...Kf7 は 24.Rf3 Ke7 25.a4 Qb6 26.Rxe6+ Kxe6 27.Nxc5+ Kd6 28.Qxf6+ Kxc5 29.Rc3+ Kb4 30.Qd6+ Ka5 31.Qd5+ Kxa4 32.Ra3+ Kb4 33.c3#
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で詰みになる。

 最後に 23...Bf7 は 24.Rxf6 Nd4(24...Kg8 なら 25.Nxc5 Qxb2 26.Nxa6)25.Nxd4 cxd4 26.Qxc7 Kxf6 27.Rf3+ で白の勝ちになる。

24.a4

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 これは多目的の「そらしのポーン捨て」である(ビショップ、ナイト又はcポーン)。

24...Qxa4 25.Nxc5 Qb5 26.Qxf6+ Kg8 27.Nd7

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 ナイトは白駒の中の英雄である。

27...Rd8

 27...Rbc8 なら 29.Rf3、28...Re8 なら 29.Qc3 で白の勝ちになる。

28.Rf3

 間接的にナイトを守った。

28...Qb4

 29...Rcxd7 を狙っている。

29.c3 Qb5 30.Ne5

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 これが「とどめ」になった。

30...Rdc8 31.Nxc6 黒投了

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 (31...Rxc6 32.Rd8+ Rxd8 33.Qxd8 Kg7 34.Qf8#)

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2009年10月05日 08:31に投稿されたエントリーのページです。

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