「Chess Life」2009年8月号(6/8)
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表紙特集
ヒカル!(続き)
激突
第7回戦のナカムラ対アコビアン戦は両者にとって天王山だった。ナカムラは白番の利で勝ちを収めて首位に躍り出たかった。「これは確かに僕にとってジェットを噴射して全力を出す時でした。」彼は大会から2、3日してこう回想した。
白 ナカムラ
黒 アコビアン
2009年米国選手権戦第7回戦
1.e4 e6 2.d4 d5 3.Nc3 Nf6
ナカムラはアコビアンがカームスキー戦と同じく 3...dxe4 と指すと予想していた。そして対局の前に時間をかけて、アコビアンがどのように手を改良してくるか予想した。しかし ...Nf6 や ...Nd7 も対策を考えていた。
4.e5 Nfd7 5.f4 c5 6.Nf3 Nc6 7.Be3 a6 8.Qd2 b5 9.h4
「カスパロフが 9.h4 と指したことがあります。だから最善の手順であることに間違いありません。それが僕のやり方なんです。カスパロフが白で指した手はとにかく信用すべきです。」
9...cxd4 10.Nxd4 Nxd4 11.Bxd4 Bc5
「この戦型はたぶん問題ありません。しかし 12.h5 の後収局は黒にとって面白くないです。」
12.h5 Qb6 13.O-O-O
13...O-O
「黒はたぶんここで 13...Bxd4 と指すべきでした。14.Qxd4 Qxd4 15.Rxd4 というように全部交換してそれから 15...Nb8 と引くんです。」
14.Bxc5
14...Nxc5
「黒はたぶんクイーンで取るべきだと思うんです。でも 15.Ne2 と引かれた後黒がどうやって互角にできるのか分かりません。考えられる手の一つは 15...f6 ですがこちらは 16.Nd4 と行けます(16.h6 もある)。どちらにしてもここではこちらが優勢だと感じていました。」
15.f5
ナカムラは盤上でこの手を見つけた。
15...Qc7
(15...b4 が最も積極的で本筋のように見えるが、派手な 16.Na4! Nxa4 17.f6 で負ける。以下は例えば 17...Nc3 [17...h6 18.Rh4] 18.Qg5 Nxa2+ 19.Kd2 g6 20.Qh6 Qf2+ 21.Be2 Qd4+ 22.Ke1)
16.Re1
エミル・ストフスキーは 16.Qd4 を推奨したがナカムラは 16.Re1 の方が強い手だと思っていた。実際 16.Qd4 に対して 16...Bb7 (16...Nd7 17.fxe6 fxe6 18.Nxd5) 17.h6 g6 で黒が問題なさそうである。
16...exf5
(16...Bb7 は 17.f6 で白の攻撃が決まる。ナカムラは 16...Ne4 17.Nxe4 dxe4 18.h6 g6 [18...Qxe5 19.hxg7 Qxg7 20.Rxe4] 19.fxg6 fxg6 20.Rxe4 Bb7 21.Re3 Rad8 22.Bd3 を予想していた。)「ここでは僕の1ポーン得ですが勝勢だという確信はありませんでした。というのは例えば黒が 22...Qc5 などで手待ちをしていればどのようにこちらが陣容を良くしていくのか分からなかったからです。だからこれが黒の実戦的な最善手だったと思います。」
17.h6 g6 18.Nxd5 Qd8 19.Nf6+ Kh8
20.Qb4
コンピュータは 20.Qd6 Qxd6 21.exd6 Be6 22.Re5 というようにクイーンをなくした方が良いと考えている。
20...Ne6
黒は 20...Qc7 21.Rh3 Be6 22.Rc3 Rac8 なら白の優勢を最小限に抑えることができた。
21.Rh3 Bb7 22.Rd1 Qc7 23.Rd6
23...Be4
黒は 23...Rfc8 24.Rc3 Qe7 でも苦戦が続く。
24.Nxe4 fxe4 25.Qxe4 Rad8 26.Rhd3
白はクイーン翼のポーンが弱すぎる。
26...Qe7 27.Qe3 Kg8 28.Rxa6 Rxd3 29.Bxd3 Qb7 30.Rd6 Qxg2 31.Bxb5
クイーン翼が開けてナカムラは冷静にポーンを突き進めて40手で勝った。
この勝利の後ナカムラは他の上位選手とはすべて当たっていた。それで次の対戦相手は下位でカンザスシティー出身の主催者推薦選手でレイティング2419のIMマイケル・ブルックスだった。彼はこの集団では異質な存在で脚光を浴びることに慣れてなくて、助手もいなければセントルイスに自分のコンピュータも持ってきていなかった。それでもGMのアレグザンダー・シャバロフとベセッラ=リベロ、それにIMのレイ・ロブソンから印象的な番狂わせの勝利をあげていて、GM基準獲得に向かって順調に歩んでいた。しかしナカムラは足をすくわれることなくあまり苦労しないで勝った。
1番卓のオニシュク対カームスキー戦が引き分けになり、シュールマンがヘスと劣勢だけれども持ちこたえられそうなクイーンなし中盤戦を戦っていた。そこでナカムラは最終戦で半点差をつけられると思い助手とディナーに出かけた。
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(この号続く)