第3章 エマーヌエル・ラスカー(続き)
たちまち2連敗したタラシュは第3局を快勝して巻き返した。
ルイロペス
白 ラスカー
黒 タラシュ
1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5 a6 4.Ba4 Nf6 5.O-O Be7 6.Re1 b5 7.Bb3 d6 8.c3
8...Na5
現代の手順は 8...O-O で、通常は 9.h3 なのでそれを待って 9...Na5 と指す。しかし本局はすぐにその手順に戻る。
9.Bc2 c5 10.d4 Qc7 11.Nbd2 Nc6 12.h3 O-O
13.Nf1
ここからのポーン損はラスカー得意の手だった。彼は十分成立すると考えていたようだった。13.dxc5 と取った後シュタイニッツ流に Nf1-e3-d5/f5 と捌くのは今でも最もよく指される戦法である。もっとも最近では 13.d5 と封鎖する手も少し復活してきた。例えば1970年パルマ・デ・マリョルカでのインターゾーナルのゲレル対スミスロフ戦は 13.d5 Nd8 14.a4 Rb8 15.b4 c4 16.Nf1 Ne8 17.axb5 axb5 18.N3h2 +/=
と進んだ。
13...cxd4 14.cxd4 Nxd4
14...exd4 の方が良いのかは分からない。そう指せば黒はナイトをe5の地点におく手順に恵まれるかもしれない。どちらの手でも黒の方が形勢が良さそうである。
15.Nxd4 exd4
16.Ng3
第6局のこの局面でラスカーは 16.Bg5 と手を変え次のように進んだ。16...h6 17.Bh4 Qb6 18.Qd3 g5? 19.Bg3 Be6 20.Rad1 Rfc8?
21.Bb1 Nd7 22.e5 Nf8 23.Qf3 d5 24.Qh5 Kg7 25.f4 f5
26.exf6+e.p. Bxf6 27.fxg5 hxg5 28.Be5 d3+ 29.Kh1 Ng6
30.Qxg5 Bf7 31.Ng3 Bxe5 32.Rxe5 Rh8 33.Bxd3 Ra7
34.Rde1 Kf8 35.Bxg6 Qxg6 36.Qe3 Rc7 37.Nf5 Qc6 38.Qg5 黒投了
タラシュはこの敗戦にひどい衝撃を受けこの番勝負の残りの試合では二度と 1.e4 に対して 1...e5 と指さなくなった。感情にかられた判断だったことは明らかで、フランス防御の3試合で½点しかあげられなかったように大きな障害になった。
16...Nd7 17.Bb3 Qb6
18.Nf5
白は 18.Bd5 Ra7 19.b3 g7(19...Bf6 なら 20.Nh5)20.Bb2 Bf6 21.Qd2 から 22.Rad1 でポーンを取り返すこともできた。しかしラスカーはまだキング翼攻撃を行なうことができると考えていた。
18...Bf6 19.Bf4 Ne5!
20.Bd5
20.Nxd4 は 20...Bxh3! 21.gxh3 Qxd4 22.Qxd4 Nf3+ 23.Kg2 Nxd4 24.Bxd6 Nxb3 25.axb3 Bxb2
で黒が1ポーン得になる。
20...Ra7 21.Qb3 Rc7 22.g4 g6 23.Nh6+ Kg7 24.g5 Bd8 25.Qg3
25...f6!
黒は 26...fxg5 27.Bxg5 Bxg5 28.Qxg5 Nf3+ の狙いで主導権を握った。本譜の手に対して白は 26.gxf6+ Rxf6 27.Bxe5 dxe5 28.Ng4 と応じることはできない。それは 28...Bxg4 29.hxg4 d3!
となって黒が白のf2の地点に必殺の攻撃をかけることができる。
26.Nf5+ Kh8
26...gxf5? は 27.gxf6+ Kh8 28.Bh6 で白が勝つ[訳注 28...Rff7 29.Bxf7 Rxf7 30.Bg7+ Kg8 31.Bh6+ Kh8 で互角です]。
27.Nh4 fxg5 28.Bxg5 Bxg5 29.Qxg5 d3 30.Kh1 Rc2
31.Re3
この手は 31...Qxf2 を防いだ。
31...Rfxf2 32.Ng2 d2 33.Rg1 Rc1 34.Qe7 Rxg1+ 35.Kxg1 d1=Q+ 36.Kxf2 Qf3+ 37.Ke1 Qa5+ 38.Rc3 Bxh3 39.Qxd6 Qaxc3+!
これが勝利への最短の手である。
40.bxc3 Qxc3+ 41.Ke2 Qc2+ 42.Ke3 Qd3+
43.Kf4
43.Kf2 なら 43...Qd2+ 44.Kg3 Qxg2+ 45.Kf4 Qf3+ 46.Kg5 h6+ のあと1手で詰む。
43...g5+ 44.Kxg5 Nf7+ 白投了
(この章続く)