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第1部 開放型
第5章 ルイ・ロペス
第110局
白 ラスカー
黒 カパブランカ
(サンクトペテルブルク、1914年)
世にも名高いこの試合で白はこの上ない効率的な手段で可能な最大限の効果を収めた。
白の12手目の 12.f5 はそれだけで黒陣全体を封鎖したと言えるかもしれない。
1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5 a6 4.Bxc6
この手はラスカーの十八番(おはこ)である。
4...dxc6 5.d4 exd4 6.Qxd4 Qxd4 7.Nxd4 Bd6
8.Nc3
これは純粋な展開の手である。もっと積極的な 8.f4 には 8...f6 と応じてくる。8.O-O や 8.Be3 のような穏やかな手に対しては黒は支障なく 8...Ne7 と指すことができる。
8...Ne7 9.O-O O-O
黒は柔軟性に富む 9...Bd7 でどちらにキャッスリングするか態度を保留して敵を疑心暗鬼に陥らせるようにすることもできた。
10.f4
白は手の内を半分示した。
10...Re8
この手は 11...Bc5 12.Be3 Nd5 を狙っている。しかしすぐに 10...Bc5 と指す方が簡明だった。
11.Nb3
機先を制して上述のビショップの展開を阻止し逆に 12.e5 を狙っている。
11...f6
黒は窮屈な陣形に甘んじた。しかし 11...f5 では 12.e5 Bb4 13.Ne2 Ng6 となってあまり感心しない(白のeポーンがパスポーンになっているため)。だから黒はこの機会に 11...Be6 で戦闘配置につけるべきだった。
12.f5
これは大胆なポーン突きである。長所(黒のクイーン翼ビショップの押さえ込み、黒のナイトの封鎖、自分のクイーン翼ビショップの利きの伸長)が短所(eポーンがむき出し)を上回っている。ここから激闘が始まる。
12...b6 13.Bf4
この手で敵から唯一働いている駒を奪う。
13...Bb7
13...Bxf4 14.Rxf4 c5 15.Rd1 Bb7 と指す方がもう少し駒が自由に動けた。
14.Bxd6
この手は一貫性に欠けるように見えるが-敵の二重ポーンを解消させる-黒陣の弱点を増加させる。
14...cxd6 15.Nd4 Rad8
相手の意志に魅入られたかのように黒は受け一方にまわった。しかし 15...Bc8(16.Ne6 を防ぐため)としてから ...Ra7 としていればいくらか活動の自由が望めた。
16.Ne6
敵陣に侵入したナイトが敵をかく乱する。
16...Rd7 17.Rad1 Nc8 18.Rf2 b5 19.Rfd2 Rde7 20.b4
この手は黒が 20...c5 でビショップを自由にするのを防いだ。
20...Kf7
クモの巣にかかったような状態の黒はたとえ交換損の犠牲を払っても 20...Rxe6 21.fxe6 Rxe6 で自由を確保した方が良かった。そうなれば白の勝ちは確実とはいえない。
21.a3 Ba8 22.Kf2 Ra7 23.g4 h6 24.Rd3
24...a5
この反撃策は黒の苦境を深めるだけである。ここでも 24...Rxe6 が比較的最良の手だった。
25.h4 axb4 26.axb4 Rae7 27.Kf3 Rg8 28.Kf4 g6 29.Rg3
この手は Rdg1 から g5 の準備である。
29...g5+ 30.Kf3
30...Nb6
黒はこの「誘いの隙」の手よりもともかく 30...gxh4 31.Rh3 d5 と打って出るべきだった。
31.hxg5
白はh列を開けて貴重な資産を手に入れた。31.Rxd6 は 31...Nc4 で黒に ...Ne5+ からの反撃を許してしまう。
31...hxg5 32.Rh3 Rd7 33.Kg3
白は白枡の対角斜筋を空けて 34.e5 を狙っている。
33...Ke8
黒は白のポーン突きの狙いをかわしたが一時的なしのぎにすぎない。
34.Rdh1
35.Rh8 でビショップを取る狙いがある。
34...Bb7 35.e5
この「枡を空ける犠牲」のあと事態は急進展する。
35...dxe5 36.Ne4 Nd5 37.N6c5
37...Bc8
この手は仕方がない。37...Rc7 は 38.Nxb7 Rxb7 39.Nd6+ でひどいことになる。
38.Nxd7 Bxd7 39.Rh7 Rf8 40.Ra1 Kd8 41.Ra8+ Bc8 42.Nc5 黒投了
白からの三通りの狙い 43.Rd7+、43.Nb7+、43.Ne6+ に対して黒はどうすることもできない。例えば 42...Nb6 なら 43.Rb8 でナイトが取られるし 42...Ne7 なら 43.Ne6+ で白の勝ちになる。
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