チェス500名局(1)
「チェス500名局」
タルタコーワ、デュ・モン著
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はしがき
本書には固有の価値を持つ棋譜が収められている。古今の棋譜には傑出した内容の棋譜が多数存在するが、ここではチェスの歴史においてそれぞれの時代を代表する名局が選ばれている。
棋譜を定跡別に分類しそれぞれの中では年代順に並べることにより、棋譜の学習的な価値が増すことを期待した。
布局の特性はしばしば中盤に及び、またポーン構造の特徴によっては終盤にまで影響を及ぼす可能性がありしばしばそうなることがあることは銘記しておいた方が良い。本書のような編集は布局定跡の標準的な棋譜集を補うものと見ることもできる。
著者らは全体の校正に多大の労苦をして頂いたカステヨ氏およびコレス氏、援助をして下さったその他の方たちに感謝の意を表したい。
さらにジョーン・キーリー嬢、現ロナルド・スミス夫人には特に感謝したい。彼女は8千局もの棋譜から、最終的な選択のために2千局以上をコピーし一部は訳すという偉業を、類まれな完璧さと正確さで行なってくれた。
タルタコーワ、デュ・モン
第1部 開放型
第1章 ジュオコ・ピアノ
第1局
白 ブレダウ
黒 フォン・デル・ラーザ
1839年、ベルリン
モーフィーの確立した偉大な原則-ポーン中原の形成、役駒の最速の展開(たとえ数量損をしても)、攻撃の筋のこじ開け、深く進攻したポーンの絶大な効果-これらは全て古い本局に既に見かけられる。
1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bc4 Bc5 4.c3
次にポーンをd4に突くことによりポーン中原を確立する構想。今のチェスが生まれた頃から既に知られ認められている構想である。
4...Qe7
初期の頃の防御法の一つ。
5.d4 Bb6
前の手と関連した手。黒は明らかにe5の地点を保持したがっている。もし 5...exd4 と中原を放棄すれば白は 6.O-O とポーンを犠牲にして(6...dxc3 7.Nxc3)圧迫を強め、黒にとっては面倒なことになるだろう。
6.O-O d6 7.a4
黒が放置すれば白が駒得をする。つまり 8.a5 Bxa5 (8...Nxa5 は 9.Rxa5 Bxa5 10.Qa4+ でビショップが取られる) 9.Rxa5 Nxa5 10.Qa4+ Nc6 11.d5 a6 12.dxc6 b5 13.Bxb5 で白が駒得を維持する。
7...a5
7...a6 8.b4 という変化もある。
8.Be3 Nf6
8...exd4 9.cxd4 Qxe4 とポーンをかすめ取るのは 10.Re1 で、キングとクイーンが直列に並んでいるので黒の方が困る。
9.dxe5
9.Nbd2 として中原の争点を維持することもできた。
9...Nxe5 10.Nxe5 dxe5 11.Bxb6 cxb6 12.Nd2 O-O 13.Qe2
13...Bd7
13...Be6 で単純化を目指す代わりに、黒はもっと積極的な行動を取る。
14.Rad1
白はポーン損をかえりみずに展開を急ぐ。
14...Bxa5 15.b3 Bc6 16.f4
f筋を開けるのは重要である。
16...Rad8 17.fxe5 Qxe5 18.Rf5
18...Qd6
18...Qe7 と逃げるのは 19.e5 b5 20.Ne4 で白の圧迫がさらに効果的になる。
19.e5 Qc5+ 20.Kh1 Ne4
駒交換により一息つけようという黒のもくろみは失望に終わる。しかし 20...Nd5 と逃げるのは 21.e6 と突かれるし、20...Nd7 又は 20...Rde8 には 21.Rdf1 とルークを重ねられて白の優勢は動かない。
21.Nxe4 Rxd1+ 22.Qxd1 Bxe4
攻撃的なルークが逃げてくれることを期待している(例えば 23.Rg5 なら 23...h6 24.Rh5 Bg6 の後 25...Qxe5、又は 23.Rh5 なら 23...Bg6 24.Rg5 Qe3)。それよりも面白いのは本譜の以下のドラマで、敏感なf7の地点を巡って展開される。
23.Rxf7 Rxf7 24.Qd8+ Qf8 25.Bxf7+ Kxf7 26.e6+ Kg8 27.e7 黒投了
このポーンの働きが攻撃の決め手になった。
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