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あなたの棋力診断 アーカイブ

2008年01月23日

あなたの棋力診断(1)

あなたの棋力診断(How Good Is Your Chess?)
レナード・バーデン(Leonard Barden)

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初めに

 多くのチェス愛好家は実戦の十分な時間や機会が足りないと感じている。そうでない人でも本から知識を吸収しようという動機が不十分なために自分の読みが一般原則に習熟した相手に通じないという悩みを抱えている。ここに本当の問題点がある。つまり自分の実戦に良く現れる問題を採り上げてくれない本には関心が持ち難いのである。本書はそのような問題を二つのやり方で解決しようというものである。まず実戦の色々な側面、即ち大局観、攻撃、駒捨ての手筋、受けそれから収局といった最も良く遭遇する局面が現れる試合を選んだ。それから読者がマスターによって指された手を一緒に考えて且つその手の説明を読むことによって実際の試合に参加している状況を作り出している。

 本書は好局集として読むこともできる。各々の手の質問に答える必要もなくただ楽しむために指し手を並べるだけで良い。そのためにほとんどの場合近年の大会で指され英語圏の読者には馴染みの薄い試合を選んである。

 本書のもっと楽しく役に立つ使い方は読者が試合でマスターのパートナーとなったと想像して彼の手を推量することである。そのためには紙かカードでページをおおい1行ずつずり下げると良い。どの試合でも局面図までの手が示されてありその後からは星印でそのすぐ後にパートナー側の指し手が書いてある。だからその手を予想した後で紙をずり下げるのである。各試合とも最高点は50点である。棋力の適正な評価のために8章(訳注 第1章 中原の支配 2局、第2章 展開の優位 1局、第3章 大局観 11局、第4章 攻め方 8局、第5章 受けの技法 2局、第6章 手筋 6局、第7章 封じ込めの技術 1局、第8章 収局 4局)の中からそれぞれ最低1局ずつ選んでその平均点を用いるのが良い。平均点が出たら次の表と照らし合わせておおよその棋力が判定できる。

8局の平均点国際レイティング対応する棋力
45-502400以上マスターやグランドマスター級の強さ。米国または英国選手権戦への参加資格あり。プロになることも考えよ。
40-442300-2399U.S.オープン、英国選手権、主要な国際オープン大会での上位の成績。
35-392200-2299英国選手権の平均レベル。週末のローカルなオープンでの優勝。クラブや州のチャンピオン。
30-342100-2199クラブの強豪選手。国内オープンでの勝率50%。米国のアマチュアのチャンピオン級。
25-292000-2099クラブの上級選手。国内オープンで時々勝率50%。16歳未満のジュニアの国際大会選手。
15-241800-1999クラブの平均よりは上の選手。
8-141400-1799家庭で又は時々指す選手からクラブの中くらいの選手程度。
0-71400未満初心者かそれに近いレベル。実戦の経験を積むためにチェス・クラブか週末のオープンで指すのが良い。

第1章 中原の支配

第1局

 本局のあなたは白番で、指導パートナーは前世界選手権者のミハイル・ボトビニクである。本局の相手はスイスのマスターのグロープである。この試合はボトビニクが1956年にチューリヒで時計を用いて行なった同時対局の8局の内の一局である。局面図までの手順は次のとおりである。

1.Nf3 Nf6 2.c4 d5 3.cxd5 Nxd5 4.e4 Nf6 5.Nc3 e6 6.d4 c5

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**********

7.d5

 4点。黒の2手目は白に中原での優位を与えた悪手である。強気の 7.d5 で白は主導権を握った。7...exd5 に対して 8.exd5 はパスポーンができるが孤立し容易にせき止められるのでほとんど価値がない。代わりに 8.e5 d4 9.exf6 dxc3 10.Bb5+ Nc6 11.Qe2+ Be6 12.O-O Qxf6 13.Bg5 で白は1ポーンを犠牲に好調な展開になる。堅実な 7.Bc4、7.Bf4、7.Bg5 及び 7.Be2 はそれぞれ1点。7.Be3 は 7...Ng4 がうるさいので0点。

7...a6

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8.Bg5

 2点。次の 9.e5 が厳しい。8...h6 で追い払おうとすれば 9.Bh4 g5 10.Bg3 で黒のポーンの形が乱れる。魅力的な 8.d6(8...Qxd6 9.Qxd6 Bxd6 10.e5)は0点。黒はこの手に対しては 8...e5 9.Nxe5 Bxd6 と応えて互角である。パッとしない 8.Bf4 と 8.Be2 はそれぞれ1点。

8...Qb6

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9.Bxf6

 2点。中原が半開状態でクイーン翼ポーンも既に動いているので、キング翼のポーンも乱せば黒キングの安全な居場所はたちまちどこにもなくなる。

9...gxf6

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10.Qd2

 2点。10.Qc2 は黒ビショップが 10...Bh6 に出て来れるので1点。

10...h5

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11.Be2

 1点。

11...Nd7

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12.O-O

 3点。開いたg筋を怖がる必要はない。なぜなら黒は自分のキングのせいで勢力が二分されているので大駒で攻撃態勢を整えることは期待できないからである。12.Rd1 は1点。12.O-O-O?? は 12...Bh6 があるので6点減点。

12...h4

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13.a4

 3点。このポーンがさらにa5に進めば黒のcポーンを無理やり孤立化させ攻撃目標にできる。13.h3 は1点。黒はまだ 13...h3 14.g3 とするわけにはいかない。こう形をきめてしまうと自分の黒枡ビショップがf4の地点に行けなくなる。f4の地点からは白キングに少し重圧をかけると共に自分のクイーン翼の弱い黒枡に利いているのでクイーン翼にキャッスリングできる可能性が出てくる。

13...Bh6

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14.Qc2

 1点。

14...Bf4

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15.a5

 1点。

15...Qc7

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16.Rfd1

 1点。黒のポーンの弱点は恒久的なのであわてて攻める必要はない。だから落ち着いて自陣の整備に努めることができる。

16...Ne5

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17.Nxe5

 1点。

17...Bxe5

**********

18.h3

 1点。ここに来てようやくこの手が必要となった。

18...Bd7

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19.Na4

 3点。白は展開が完了したので攻撃を開始することができる。この手を指すに当たり白は 19...Qxa5 の変化を読んでおく必要があるがそれは 20.Nxc5 Qc7 21.dxe6 Bxe6 22.Qa4+ Qc6 23.Bb5! で大丈夫である。

19...Bxa4

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20.Rxa4

 2点。この手は Rc4 から b4 という狙いを含んでいる分 20.Qxa4+(1点)より勝る。

20...Rc8

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21.Rc4

 1点。

21...Qxa5

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22.b4

 2点。

22...Qa3

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23.Rxc5

 3点。23.bxc5(2点)でも良いが本譜の手の方が決定的な敵陣突破を図ることができる。

23...Rd8

 23...Rxc5 と交換に応じるのは 24.Qxc5(次に 25.Qc8+ がある)Qc3 25.Qxc3 Bxc3 26.Rc1 で白が駒得する。

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24.dxe6

 2点。黒キングは白の大駒の砲火にさらされるようになった。24.Rc8 は 24...O-O で黒が一息つけるので0点。

24...Bd6

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25.Rxd6

 5点。鮮やかな決め手で必勝形になる。25.Rc8 と 25.exf7+ は少しぬるいのでそれぞれ2点。

25...Rxd6

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26.Rc8+

 2点。

26...Ke7

 26...Rd8 と受けるのは 27.Qc7 Rxc8 28.Qd7+ で詰みになる。

**********

27.Qc7+

 2点。27.Rxh8(1点)でも良いが本譜の手の方がきれいに決まる。

27...Kxe6

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28.Bg4+

 1点。

28...f5

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29.Bxf5+

 1点。

29...Ke5

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30.Qc5+

 4点。30.Rxh8 と 30.Qe7+ Re6 はそれぞれ1点。

黒投了。

診断 本局の得点が低かったら二つの理由が考えられる。もし前半で得点が低ければ展開が済む前に早まった攻撃を仕掛けているからかもしれない。逆に後半の得点が低ければ読みに正確さを欠いていることが考えられる。

2008年01月30日

あなたの棋力診断(2)

第1章 中原の支配

第2局

 本局のあなたは黒番で、指導パートナーは長年ソ連の第一級のグランドマスターの1人であるアレクサンダー・コトフである。対戦相手はブラジルのA.マンジニである。この試合は1957年にマル・デル・プラタで行なわれた。局面図までの手順は次のとおりである。

1.e4 c5 2.Nf3 d6 3.d4 cxd4 4.Nxd4 Nf6 5.Bd3 Nc6 6.c3

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**********

6...e5

 3点。黒は自分から中央の二つのポーンを突くことによって相手の消極的な序盤につけいる。6...Nxd4 7.cxd4 は中原に白の二つのポーンを配置させてしまうので0点。6...d5 7.Nxc6 bxc6 8.e5 も黒が押し込まれるので0点。6...e6 と 6...g6 はそれぞれ1点。

7.Nc2

**********

7...d5

 2点。他の手では 8.c4 で白の中原を強化させてしまう。

8.exd5

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8...Nxd5

 1点。8...Qxd5 9.O-O は次に白にポーンをc4に突かれてクイーンが逃げなければならないので0点。

9.O-O

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9...Be6

 この手または 9...Bd6 は1点。9...Be7 はこんなに消極的に指す必要はない。

10.Qf3

**********

10...Bd6

 1点。

11.Ne3

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11...Nxe3

 2点。この手が理にかなっている。d5のナイトが下がると白のナイトは急所のf5の地点に来れる。11...Nf4 は 12.Be4 で長くその地点に留まれない。

12.Bxe3

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12...O-O

 1点。

13.Nd2

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13...f5

 3点。この手で黒が主導権を握った。他の手は消極的で白に Bf5 又は Ne4 で良い態勢を作らせてしまう。

14.Bc4

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14...Qe7

 2点。この手は明らかに 14...Bxc4 より勝る。白の望むビショップの交換は許すがその代わり黒の残りの役駒の働きがだんだん良くなっていく。

15.Bxe6+

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15...Qxe6

 1点。

16.b4

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16...e4

 3点。16...f4 は 17.Bc5 で白のナイトがe4の地点を占めることができて黒の攻撃が勢いを削がれるのでそれほど良くない。...Rg6 による攻撃を意図した 16...Rf6 は強い手で2点。16...Rae8 は 17.b5 と突かれてaポーンを犠牲にしなければならないのでそれほど明快でない。ポーンを犠牲にするのは他にはっきりした指し方がない時にだけ行なうべきである。

17.Qe2

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17...Qe5

 3点。詰みだけでなくc3のポーンにも当たっている。この両当たりで白の駒は不利益な枡へ行かされる。17.f4(0点)を考えた人が多いだろうがこの中央のポーンの厚みはそう早く活用できない。18.Bc5 Bxc5 19.bxc5 Rfe8 20.Rfe1 e3 21.fxe3 fxe3 22.Nf1 で黒のポーンが急激に弱体化する。

18.Qc4+

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18...Kh8

 1点。

19.g3

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19...Rac8

 2点。白キングの周囲が弱くなっただけでなくc3のポーンも重圧を受けている。直接の狙いは 20...Nxb4 である。19...f4 も狙いは鋭いが 20.Bxf4 Rxf4 21.gxf4 Qxf4 22.Rfd1 Qxh2+ 23.Kf1 e3 24.Ne4 で黒の攻撃はあまり効果的とは思われない。(訳注 24...Rf8 で黒の勝勢です。黒の正着は多分 20.Bd4 か 20.Bc5 です。)この局面のように優勢が長続きする性質(敵のポーンと枡が弱い)の時は最終攻撃を仕掛ける前に駒組を最良の態勢に強化する余裕がある。

20.Rfd1

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20...Qf6

 4点。白の手には罠がある。20...Nxb4 と取ると 21.cxb4 Rxc4 22.Nxc4 から 23.Nxd6 で黒が十分過ぎる駒割りになる。本譜の手は ...Ne5-d3 を狙っている。

21.Qb3

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21...Be5

 2点。21...Ne5(1点)は 22.Bd4 又は 22.Bxa7 で白が混戦に持ち込めるので本譜の手の方が明快である。本譜の手で白のc3の弱いポーンが目標となった。

22.Nc4

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22...f4

 4点。22...Bxc3(2点)でも勝である(23.Rd6 Bxa1 24.Rxf6 Bxf6 25.Nd6 Rc7)。しかし本譜の手の方がはるかに厳しい。例えば 23.Bxf4 なら 23...Bxf4 24.gxf4 Qxf4 の後 ...b5 から ...Ne5 が攻撃の決め手になる。また 23.Nxe5 なら 23...fxe3 である。

23.Bc5

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23...e3

 4点。やはりこの手が 23...Bxc3 又は 23...Rfe8(それぞれ1点)より厳しい。黒の戦略はアリョーヒンが最も劇的な勝利のいくつかで用いていた手法を踏襲している。それは敵を弱点のある方の防御に引き寄せることによって反対側での猛襲を可能にするという攻撃法である。

24.Bxf8

 24.fxe3 は 24...fxg3 が早い。24.gxf4 Qxf4 又は 24.Nxe5 exf2+ も同様である。

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24...exf2+

 3点。単に 24...Rxf8(3点)も同じく良い。しかし 24...fxg3(0点)は 25.fxg3! で良くない。(訳注 25...Qf2+ で黒の勝勢のようです。)

25.Kg2

 25.Kxf2 は 25...fxg3+ である。

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25...Rxf8

 2点。25...fxg3 は 26.Bc5 と逃げられて黒キングに即詰みがないので2点減点である。また 25...f3+ は 26.Kxf2 と取られるので0点である。

26.Rd3

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26...fxg3

 2点。もし 27.hxg3 なら 27...f1=Q+ である。

27.Nd2

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27...gxh2

 1点。

28.Nf1

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28...Qg6+

 2点。

 白投了。29.Rg3 と防いでも 29...Bxg3 30.Nxg3 f1=Q+ 31.Rxf1 Rxf1 32.Kxf1 Qxg3 で終わりである。

診断 本局で得点の低かった人は恐らく二つの良くある誤りのいずれかでつまづいたのであろう。一つは黒が中原での進攻を行なえるよう十分な展開をする前に時期尚早の攻撃を始めたことである。もう一つは後半でポーンが前進し攻撃のための筋も開けたのに自分の駒の可能性を過小評価して慎重になり過ぎたことである。

2008年02月06日

あなたの棋力診断(3)

第2章 展開の優位

第3局

 本局のあなたは黒番で、指導パートナーは著者である。対戦相手はロンドンの著名な選手のグリーンである。この試合は1956年にボグノーで行なわれた。局面図までの手順は次のとおりである。

1.d4 Nf6 2.c4 g6 3.g3 Bg7 4.Bg2 O-O 5.Nf3 d6 6.O-O Nc6 7.d5 Na5 8.Nd2 c6 9.Nc3 cxd5 10.cxd5

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10...Ng4

 2点。白の狙いは 11.b4 Ng4 12.Bb2 で駒得を図ることである。しかしこの狙いは単に 10...Bd7(3点)でもっと経済的に防ぐことができた。もし 11.b4 なら 11...Rc8 で良い。私の手の狙いはナイトをe5の地点に据えることだったが完全に安定した地点とは言えなかった。

11.Rb1

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11...Bd7

 2点。もちろん黒は白が h3 と一手かけてくれるまでナイトをe5の地点に動かさない。

12.h3

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12...Ne5

 1点。

13.b3

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13...Qc8

 3点。白の直前の手は見落としで、黒は早速それにつけ込む。

14.b4

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14.Nac4

 4点。手の選択に迷った時は通常は不確かな手筋よりも永続的な陣形の優位を確保する手を選んだ方が良い。例えば 14...Qxc3(1点)15.bxa5 は 15...Qxa5 ならば 16.Rxb7 から 17.f4 の狙いで、また 15...Rab8 でも 16.Bb2 Qxa5 17.f4 で乱戦になる。

15.Kh2

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15...Nxd2

 2点。強手の 15...Ne3(2点)16.fxe3 Qxc3 も落ち着いた 15...b5(2点)も良い手だった。黒の本譜の手は一本道の手順で7段目を占拠する構想を思い描いていた。

16.Qxd2

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16...Bf5

 この手と 16...Nc4、16...Ng4+ は2点。この手に対して当然の 17.e4 は 17...Bxh3! ではまりとなる。

17.Ne4

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17...Qc4

 3点。黒はc筋から進入すると同時に白に次の手で白枡ビショップを隠居させる。白がそれを嫌って 18.Qe3 と指せば黒は手順に白のaポーンが取れる。

18.f3

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18...Rfc8

 2点。黒は状況によっては後でa列をこじ開けたくなるかもしれないのでこの手の方が 18...Rac8(1点)よりわずかに良い。

19.Rd1

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19...Qc2

 2点。

20.Rb2

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20...Qa4

 3点。黒の直接の狙いは 21...Nc4 である。それと共に ...Rc7、...Rac8、...Rc2 で7段目にまた殺到する準備でもある。

21.Qe1

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21...Rc7

 2点。21...Nc4(2点)も同様に強い手である。

22.Nd2

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22...Bc2

 2点。もちろん白の直前の手はポカである。しかしいずれにしても白の形勢は非常に困難な状況だった。

23.Nb3

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23...Bxd1

 1点。

24.Qxd1

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24...Rac8

 3点。25...Rxc1 を狙っていて 24...Qxb4(1点)よりも強い手である。

25.Rd2

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25...Qxb4

 1点。

26.h4

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26...a5

 4点。白はさらなる戦力損が避けられなくなった。

27.a3

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27...Qb6

 2点。27...Qb5 は 28.Nd4 で白が少し長く抵抗を続けることができるので1点。

28.a4

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28...Rc3

 4点。

29.Bh3

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29...R8c7

 2点。

30.f4

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30...Qxb3

 黒がさらに駒得を重ねる(1点)。

白投了

診断 白の苦戦は浮き駒(13手目)の危険性に十分な注意を払わなかったことに起因している。多くの試合がこの種の戦術的なポカで失われる。このような敗戦を失くすには手を指す前にいつも盤面全体を見渡して(a)現在の局面と(b)自分の指した後の局面に何か見落としがないか注意する必要がある。罠や初歩的な見落としに引っ掛かり易い人にはこのアドバイスをいくら強調してもし過ぎることはない。

 この試合の二つ目の要点は黒が永続性のある戦略的な優勢を保ち、白の反撃を招くような(黒の14手目)訳の分からない戦いを避けたことである。そこであなたが本譜と違う手を選んだなら指し方の方針に整合性を欠き目に映った手に飛び付くからかもしれない。

2008年02月13日

あなたの棋力診断(4)

第3章 大局観

第4局

 本局のあなたは白番で、指導パートナーはドイツのグランドマスターのボルフガング・ウンツィカーである。対戦相手はコロンビアのミゲル・サンチェスである。この試合は1952年にスウェーデンのサルツヨバーデンで開催された世界選手権インターゾーナル大会で指された。局面図までの手順は次のとおりである。

1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5 a6 4.Ba4 Nf6 5.O-O Be7 6.Re1 b5 7.Bb3 d6 8.c3 Na5 9.Bc2 c5 10.d4 Qc7 11.a4 b4 12.cxb4 cxb4 13.h3 O-O 14.Nbd2 Bd7 15.Nf1 Rfc8

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16.Ne3

 2点。この手は 16.Bd3 又は 16.Bb1(それぞれ1点)よりも活動力がある。ルイ・ロペスでは白のクイーン翼ナイトはd5またはf5の地点を目指すのが普通である。

16...Nc6

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17.Bb3

 3点。黒の狙いは 17...Nxd4 でポーン得することだった(これを見逃していたら3点減点)。17.d5(0点)はこのような局面では滅多に良い手となることがない。それは黒からd4のポーンを取らせる可能性を失くし、自分のナイトからも好所を奪うからである。17.dxe5(0点)も無害である。本譜の手で白はビショップを以前の働きの良い筋に戻した。17...Nxe4? には 18.Nd5 で大丈夫である。

17...Na5

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18.Bd5

 2点。18.Bc2(1点)と手を繰り返したり 18.Nd5(1点)と跳ねる手よりも本譜の手の方がずっと強力である。

18...Bc6

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19.Bxc6

 2点。黒にd5の地点で2回交換を許せば白の有利は消えてしまう。

19...Nxc6

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20.Nf5

 3点。ナイトが「理想」の二箇所の拠点の一つに来ることができた。

20...Bf8

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21.Bg5

 2点。この手は展開と同時に狙いも持っている。黒は 22.Bxf6 で白ナイトを恒久的に居座らせることはできない。

21...Ne8

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22.Rc1

 1点。

22...Qb7

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23.Qd3

 3点。白は中原とキング翼で優勢を確立した。ここからは次の攻撃のための方策を考えなければならない。黒キングは無傷の黒ポーンの壁と二つの小駒で守られているので当面は白がキング翼でこれ以上できることはない。しかし黒のbポーンは攻撃の対象とすることができもし黒が ...a5 と守れば白はb5の地点に新たに拠点を確保することができる。23.Qb3 と 23.Rc4(同様の考え)は 23...Na5 で拒否される。

23...Rc7

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24.Ne3

 3点。黒のキング翼のナイトとビショップは受け一方なのでこのナイトをクイーン翼での攻撃に回すことができる。黒の直前の手のおかげでこのナイトは先手でd5の地点に行ける。

24...Rac8

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25.Nd5

 1点。

25...Rd7

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26.Bd2

 2点。黒のbポーンに照準を定めるのが理にかなった手である。

26...g6

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27.Rc4

 2点。これで黒はほとんどbポーンが守れない。27...a5 ならば 28.Rec1 の釘付けが強烈である。

27...exd4

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28.Bxb4

 3点。この手の方が 28.Nxb4 よりもはるかに良い。d5のナイトは頼もしい存在であり軽々しく交換すべきでない。28.Nxd4? は 28...Ne5 があるので4点減点。

28...Bg7

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29.Bd2

 6点。29.Rec1(0点)は 29...Nxb4! があるのでこの手が必要である。今度こそ 30.Rec1 が有力な狙いとなる。例えば 29...Qxb2 とポーンを取ってくると 30.Rec1 Qb7 31.Rb1 Qa7 32.Nb6 で白の必勝形となる。又 29...Ne5 ならば 30.Nxe5 dxe5 31.Rxc8 Qxc8 32.Nb6 で同様である。

29...Rb8

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30.Rec1

 1点。

30...Ne5

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31.Nxe5

 1点。

31...dxe5

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32.Rb4

 4点。これでポーン得になる。32.Qc2(3点)も強い手である。

32...Qa7

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33.Rxb8

 2点。

33...Qxb8

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34.Qxa6

 1点。

34...Rb7

 34...Qxb2 は 35.Rc8 Qxd2 36.Rxe8+ Bf8 37.Nxf6+ で白が勝つ。

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35.Rc8

 6点。この決め手で黒が投了した。35...Qxc8 なら 36.Ne7+ である。

診断 白がずっと主導権を維持できたのは小駒が中央のd5とf5を跳躍点として利用したことによる(18、20及び25手目)。白のもう一つの勝因は「戦線の移動」の原則の利用である。黒の小駒が受けのみに追いやられると(20手目と21手目)白は機動性の優位を活かして攻撃を反対翼に向けた。そこで白は圧倒的な戦力の優位を行使することができた(24手目から27手目)。

2008年02月20日

あなたの棋力診断(5)

第3章 大局観

第5局

 本局のあなたは黒番で、指導パートナーは世界で最も負かし難いことで定評のあるアルゼンチンのフリオ・ボルボチャンである。対戦相手はイディゴラスである。この試合は1956年にマル・デル・プラタで行なわれた。局面図までの手順は次のとおりである。

1.d4 Nf6 2.c4 g6 3.g3 Bg7 4.Bg2 O-O 5.Nf3 d6 6.O-O Nc6 7.b3 Rb8 8.Bb2 a6 9.d5 Na5 10.Nd4 Bd7 11.Nd2 c5 12.dxc6e.p. bxc6 13.Rb1

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13...c5

 2点。この局面での黒の有利さはほんのわずかである。黒は中央列でのポーンの数では勝っているが弱点を作らずに前進させることはほとんどできない。白の陣形には特に弱点はない。もっとも黒はb列に大駒を重ねてaポーンを前進させて重圧をかけることはできるかもしれない。それでも白が建設的な作戦を見つけることは非常に難しい。それは黒が中原をしっかり押さえ込んでいるために白が両翼で主導権を発揮する見込みは非常に小さくなっているからである。13...c5 は黒の中原の押さえ込みを強化する。13...e5 は 14.N4f3 でdポーンが弱くなるので0点である。

14.Nc2

**********

14...Qc8

 2点。黒がb列で行動を起こすには白の白枡ビショップを交換で消すことが必要である。他に考えられる手は 14...Bc6 と 14...Nc6 だが少し根拠に欠ける。

15.Ne3

**********

15...Nc6

 2点。すぐに 15...Bh3 と交換を挑むのは 16.Bxf6 Bxf6 17.Nd5 がかなり厄介なので0点。それで黒はナイトを中央に引き戻してeポーンに紐をつけた。

16.Nd5

**********

16...Nxd5

 1点。

17.cxd5

**********

17...Ne5

 2点。17...Nd4(1点)は 18.e3 又は 18.Nf3 ですぐに中央の位置から追い払われるので本譜の手の方が少し良い。ポカの 17...Bxb2? は 18.dxc6 で駒損になるので6点減点。17...Ne5 に対して 18.f4 は 18...Ng4 で明らかに白が悪い。

18.Qc2

**********

18...Bh3

 1点。

19.Nc4

**********

19...Bxg2

 1点。

20.Kxg2

**********

20...Nxc4

 1点。この交換も必要である。20...Nd7(0点)は白のナイトがあまりに好位置だし、放っておくと 21.Nxe5 で二重ポーンと孤立ポーンができてしまう。

21.bxc4

**********

21...Bxb2

 1点。

22.Rxb2

**********

22...Rxb2

 2点。他の手ならば白は 23.Rfb1 でb列を支配し有利を勝ち取る。

23.Qxb2

**********

23...Qg4

 2点。駒交換にもかかわらず黒が優勢を保っている理由がはっきりする。このようなポーンの陣形はキングズ・インディアン防御などの序盤で黒が ...c5 と突いた型からよく生じる。白陣の弱点は連鎖ポーンの土台のc4が攻撃を受け易いことにある。これに反し黒の連鎖ポーンの土台のe7ははるかに守るのが容易である。ぱっとしない 23...Qc7 と 23...Qb8 は 24.Rb1 とされるので1点減点である。

24.Qc2

**********

24...Rb8

 1点。

25.e4

**********

25...a5

 3点。この手の狙いは 26...a4 27.Qxa4(取らないと 27...a3)Qxe4+ から ...Rb4 でポーン得することである。

26.h3

**********

26...Qh5

 3点。今度の狙いは 27...a4 28.Qxa4 Qe2 である。

27.f3

**********

27...Qe5

 2点。ついに白はルーク交換に追い込まれた。しかしクイーン+ポーンのエンディングでも黒は問題を抱えている。

28.Rb1

**********

28...Rxb1

 1点。

29...Qxb1

**********

29...a4

 3点。白は黒の作戦を妨げることはできない。例えば 30.a3 なら 30...Qc3 31.Qa2 Qb3 である。

30.Qc2

**********

30...a3

 1点。

31.Qe2

**********

31...g5

 この手と 31...h5 に5点。クイーン翼では当面これ以上何もすることがない(31...Qb2 は 32.Kf2 なので0点)。そこで黒は反対翼で侵入口を作るつもりである。

32.Kf2

**********

32...h5

 1点。

33.Qd2

**********

33...h4

 2点。

34.gxh4

**********

34...gxh4

 1点。

35.Kf1

**********

35...Kf8

 2点。35...Qg3? は 36.Qg2 で黒が劣勢のポーン・エンディングになるので6点減点である。

36.Ke2

**********

36...Ke8

 2点。

37.Ke3

**********

37...f5

 2点。黒はポーン・エンディングに移行する前にできるだけ陣形上の優位を拡大させておくつもりである。

38.Qc2

**********

38.Kf7

 この手と 38...f4+ に2点。

39.Qd3

**********

39...f4+

 1点。

40.Kf2

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40...Qb2+

 1点。白投了。この後の想定手順は 41.Qe2 Kf6 42.Kf1 Ke5 43.Qd3 Qa1+ 44.Ke2 Qxa2+ から 45...Qb2 で黒が簡単に勝つ。

診断 強い選手でも黒で自在に指しこなすのは非常に難しいものである。しかし経験豊かなマスターになるとそのような場合でも少しずつ陣形上の優位を積み重ねていく。本局の成績が悪かった場合、そもそも黒が有利であることを十分認識できていなかった可能性がある。引き分けの試合が非常に多い人は、くみ取るべき教訓ははっきりしているだろう。

2008年02月27日

あなたの棋力診断(6)

第3章 大局観

第6局

 本局のあなたは黒番で、指導パートナーはソ連のスエティンである。対戦相手はフランスのモニロである。この試合は1955年にリヨンで開催された世界学生団体選手権戦の1局である。局面図までの手順は次のとおりである。

1.e4 c5 2.Nf3 d6 3.Be2 Nf6 4.Nc3 Nc6 5.d4 cxd4 6.Nxd4 e5 7.Nb3 Be7 8.O-O O-O 9.Be3 a5 10.a4

YRate06.JPG

**********

10...Nb4

 3点。シチリア防御のボレスラフスキー戦法は今日では最も指されている戦法の一つになっている。それは黒のd列の出遅れポーンが何の支障にもならないことが実戦経験から分かってきたからである。白の 10.a4 を誘って黒はナイトをb4の強固な地点に据えることができた。このナイトは将来の ...d5 突きを助け、白クイーンを守りに縛りつけている。10...Be6 も同じくらい強い手で3点。

11.f4

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11...Be6

 1点。しかし 11...exf4 の方が正確なので3点。この後は 12.Bxf4 Be6 と進み 13...d5 と 13...Nxc2!(14.Qxc2 Qb6+)が狙いとなる。

12.f5

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12...Bd7

 2点。12...Bc8 と 12...Bxb3 は0点。このビショップはdポーン突きを助けなければならない。

13.Bf3

**********

13...Bc6

 1点。

14.Bg5

 14.Qe2 として黒が ...d5 と突いてくれば Rad1 で釘付けになるようにした方が良かった。

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14...Qc7

 2点。

15.Bxf6

**********

15...Bxf6

 1点。

16.Qe2

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16...Rad8

 この手と 16...Rfd8 に2点。

17.Rad1

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17...Rd7

 3点。17...b6(1点)に1手かけることはない。

18.Kh1

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18...Rfd8

 1点。

19.Nc1

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19...d5

 3点。もちろんこの一手である。これ以上の準備は必要ない。

20.exd5

**********

20...Nxd5

 1点。

21.Nxd5

**********

21...Bxd5

 1点。

22.Bxd5

**********

22...Rxd5

 1点。

23.Rxd5

**********

23...Rxd5

 1点。

24.Rd1

**********

24...Rxd1+

 この手と 24...Qd8、d7 又は d6 に2点。どれも良い手である。

25.Qxd1

**********

25...h6

 2点。短兵急な 25...Qd8 は 26.Qxd8+ Bxd8 27.Nd3 f6 28.Nc5 で白の勝ちが非常に困難になるので0点。

26.Ne2

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26...e4

 3点。この手に対して 27.c3 なら 27...Qc4 から ...Qd3 で白は指す手に困る。

27.Ng3

**********

27...Bxb2

 2点。

28.Nxe4

**********

28...Qf4

 3点。28...Qc4(2点)でも十分である。

29.Nc5

**********

29...Be5

 3点。

30.g3

**********

30...Qc4

 3点。30...Qxf5 は 31.Qd8+ Kh7 32.Qd3 で勝ち切るにはまだまだ大変なので1点。

31.Nd3

**********

31...Qd5+

 2点。

32.Kg1

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32...Bd4+

 1点。

33.Kf1

 33.Nf2 は 33...Bxf2+ でクイーンを素抜かれる。黒が 31...Qe4+ でなく 31...Qd5+ としたのはこのためである。

**********

33...Qh1+

 3点。33...Qxf5+ は1点。

 34.Ke2 と逃げても 34...Qg2+ 35.Ke1 Bc3+ があるので白はここで投了した。

診断 この試合は二つの段階に分けられるだろう。第1段階は19手目までで黒は ...d5 突きの実現に全力を注いだ。この部分の成績が悪かったら全ての指し手ごとに作戦計画に合っているか確認するようにするのが良い。第2段階は24手目から最後までで、陣形の優位を正確に認識する能力のテストである。

2008年03月05日

あなたの棋力診断(7)

第3章 大局観

第7局

 本局のあなたは黒番で、指導パートナーはフランス系ポーランド人のマスターで現在は米国に住んでいるステファン・ポペルである。対戦相手はイギリスで最も有望な若手選手の1人であるムーアである。この試合は1955-56年にヘースティングズで開催された第2最高メジャー大会の1局である。局面図までの手順は次のとおりである。

1.d4 Nf6 2.Nf3 e6 3.c4 Bb4+ 4.Bd2 Qe7 5.e3 O-O 6.Bd3 Nc6 7.a3 Bxd2+ 8.Nbxd2 d6 9.O-O e5 10.d5 Nb8 11.e4

YRate07.JPG

**********

11...Bg4

 2点。このような閉鎖的な局面ではビショップ、特に白のそれはとりわけ利きに乏しい。だから黒は自分のナイトが黒枡のc5、d4及びf4を占める機会を増やすために自分のビショップを相手のナイトと交換して構わない。11...a5 と 11...c5 も良い手なので1点。

12.Qc2

**********

12.Nbd7

 この手と 12...a5 は1点。

13.b4

**********

13...a5

 1点。

14.Rfc1

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14...axb4

 2点。a列を開けること自体には効果はない。だが黒は相手のクイーン翼を固定するための面白い作戦を立てている。それは数手で明らかになる。14...Rfc8 も2点。これも大局観に裏打ちされた手で ...Nf8-g6-f4 と ...c6 をもくろんでいる。

15.axb4

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15...c5

 2点。この手に対する白の応手は定まっている。実際 16.bxc5 Nxc5 と 16.b5 Nb6 は白のビショップが非常に無力な駒になってしまう。

16.dxc6e.p.

**********

16...bxc6

 1点。

17.Ne1

 17.Rxa8 Rxa8 18.c5 の方が積極性があって良かった。

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17...c5

 2点。これでクイーン翼を固定する黒の駒繰りは完了した。白に遠方パスポーンができるがこの局面ではあまり重要でない。それはこのポーンは長い間進むことができないからである。

18.b5

**********

18...Nb6

 1点。

19.Nf1

**********

19...Qb7

 3点。多目的の手である。Ra6 に備え、状況によりa列でのルーク交換とクイーンによるa列の占拠を準備し、白のeポーンをにらんでいる。

20.Ne3

**********

20...g6

 2点。20...Be6(1点)21.Nf5 Bxf5 22.exf5 でも黒が優勢であるが、白のeポーンを移動させない方が理にかなっている。

21.Nxg4

**********

21...Nxg4

 1点。

22.Be2

**********

22...Nf6

 2点。22...f5 は0点。この手では 23.exf5 gxf5 24.Qd2 から Bf3 の狙いで白の無力なビショップが息を吹き返す。

23.Bf3

**********

23...Rxa1

 1点。この局面での白のビショップのように戦略的に無能な駒をかかえていることによる不利益は駒交換によって際立ってくるのが普通である。

24.Rxa1

**********

24...Ra8

 1点。

25.Rd1

**********

25...Ne8

 2点。黒はどの駒で当たりのdポーンを守るのが良いかということである。クイーンとルークは明らかにa列からの侵入に必要である。b6のナイトはbポーンをせき止めながら白のcポーンを攻撃している。このcポーンは黒の最初の攻撃目標となる。

26.Be2

**********

26...Ra4

 2点。26...Ra5 と 26...Ra3 は1点。

27.f3

**********

27...Qa8

 この手と 27...Qa7 は1点。

28.Rd2

**********

28...Qa5

 2点。28...Ra1 は1点。

29.Kf2

**********

29...Kf8

 1点。黒は当面陣容を向上させることができそうにないので、収局に向けて自分のキングを中央に差し向ける。

30.g3

**********

30...Ke7

 1点。

31.Ng2

**********

31...Nxc4

 4点。前手か前々手でもこの手が成立していたのでいずれかで選んでいたら4点。

32.Bxc4

**********

32...Rxc4

 1点。

33.Qxc4

**********

33...Qxd2+

 1点。

34.Kf1

**********

34...Qd1+

 1点。35.Kf2 は 35...Qd4+ なので白はナイトを受けに使わなければならない。

35.Ne1

**********

35...Qb1

 1点。

36.Qa4

**********

36...Nc7

 2点。白投了。二つ目のポーンが落ちるので形勢は絶望的である。

診断 黒の素晴らしい大局観指法の主眼は白のビショップを無力にすることであった。黒は着実に(11,13,15及び18手目)黒枡の支配を強固にし、白のビショップを守勢一方に追いやり、その後a列から侵入した。多くの選手は内在する大局的な優位が局面にしっかり確立されるよりも前に攻撃しがちである。そういう人にとって本局はまたとない教訓となるであろう。

2008年03月12日

あなたの棋力診断(8)

第3章 大局観

第8局

 本局のあなたは白番で、指導パートナーはチェコスロバキアを代表する選手のミロスラフ・フィリップ博士である。対戦相手はヤン・セフツである。この試合は1956年にマリアンスケ=ラズネで開催された国際大会で指された。局面図までの手順は次のとおりである。

1.c4 e6 2.g3 d5 3.Bg2 dxc4 4.Qa4+ Bd7 5.Qxc4 Bc6 6.Nf3 Nd7 7.O-O Ngf6 8.Qc2 e5 9.Nc3 Bd6 10.e4 Bc5 11.Rd1 Ng4 12.Rf1 O-O 13.h3 Ngf6 14.Rd1 Qe7

YRate08.JPG

**********

15.d4

 4点。この局面での白の優位は中原ポーンが多いことと黒ビショップの位置の悪さにある。

15...exd4

**********

16.Nxd4

 1点。

16...Bxd4

**********

17.Rxd4

 1点。

17...Rfe8

**********

18.b4

 4点。黒のビショップが格好の攻撃目標となっているのでここでの少数派攻撃は特に有効である。

18...a6

**********

19.Bf4

 3点。19.a4 は2点。前の手で 18.Bf4 を選んでいたら4点。

19...Ne5

**********

20.Rad1

 2点。ここは非常に単純な手が優勢を維持する局面の一つである。黒はe5のナイトを損するのですぐにはd列を争えない。

20...Ng6

**********

21.Be3

 2点。21.Bg5(1点)h6 でも構わないがhポーンを突かせる方が良いというわけでもない。

21...Red8

**********

22.Qd2

 3点。この手もd列を支配するためである。

22...Rxd4

**********

23.Qxd4

 1点。

23...Re8

**********

24.f3

 1点。

24...h6

**********

25.a4

 4点。中原を支配下におさめたので白は少数派攻撃に戻ることができる。

25...b6

**********

26.Bf2

 3点。白はすぐに 26.b5(3点)と指すこともできたが急ぐ必要はない。黒が ...a5 又は ...b5 とポーンを突けばかえってその弱点が目立ってくる。

26...Bb7

**********

27.Kh2

 1点。27.b5 も1点。

27...Ne5

**********

28.b5

 1点。

28...axb5

**********

29.axb5

 1点。

29...Ng6

**********

30.Ne2

 6点。白の明白な攻撃目標は黒のcポーンである。しかし白がそれを攻撃しようとして単純にクイーンとルークをc列に移動すれば、黒はd列を占拠して反撃の機会を得る。そこで白の計画はまず Pg4 から Bg3 として敵のクイーンを弱いポーンの守りに縛り付けることである。しかしすぐに 30.g4 とすると 30...Nf4 と反撃される。従って 30.Ne2 が必要である。

30...Nf8

**********

31.Nf4

 4点。黒の狙いは 31...Ne6 としてクイーンをポーンの守りから解放することだった。

31...Ne6

**********

32.Nxe6

 1点。

32...Qxe6

**********

32.g4

 1点。

33...Qe5+

**********

34.Qxe5

 1点。

34...Rxe5

**********

35.Bf1

 2点。白のbポーンが当たりになっていることを見落としていたら5点減点。

35...Re7

**********

36.Bg3

 1点。

36...Kf8

 この手は黒の負けを早めた。しかし黒は次の白の狙いにもはや適切な応手がない。37.Rd8+ Kh7 38.Rb8 c5 39.bxc6e.p. Bxc6 40.Rxb6 ここでポーンは全部盤の同じ側にあるが白には2ビショップがあるので理論的に必勝の形勢である。

**********

37.Rd8+

 1点。

37...Re8

 つらい手である。しかし 37...Ne8 は 38.Rb8 c6 39.Bd6 である。

**********

38.Bxc7

 1点。完全な1ポーン得に加えてルークの交換と盤上を支配する2ビショップのために白の勝ちは容易である。以降の手順は 38...Rxd8 39.Bxd8 Nd7 40.Bc7 Ke7 41.Kg3 g5 42.Kf2 Ba8 43.Ke3 Bb7 44.Kd4 f6 45.Bc4 Ke8 46.Bd5 Bc8 47.Bc6 Ke7 48.Kd5 Ne5 49.Bd6+ Kf7 50.Bxe5 で黒が投了した。

診断 マスターの試合では適度に開放された局面の2ビショップは他の要因が互角ならばそれだけで勝勢に近い。白のビショップが並んで斜筋を支配したために黒はしだいに追い込まれていった。

2008年03月19日

あなたの棋力診断(9)

第3章 大局観

第9局

 本局のあなたは黒番で、指導パートナーはフランスのマスターで現在は米国に在住しているニコラス・ロッソリーモである。対戦相手は著者である。この試合は1950-51年にヘースティングズで指された。局面図までの手順は次のとおりである。

1.e4 c5 2.Nf3 d6 3.d4 cxd4 4.Nxd4 Nf6 5.Nc3 a6 6.f4 e6 7.Be2 Qc7 8.O-O Nc6 9.Be3 Bd7 10.g4(黒がキャッスリングする前なので時期尚早である。)

YRate09.JPG

**********

10...Nxd4

 2点。黒が第一に考えなければならないことは他の何よりもまずf6のナイトのg8以外の逃げ場所を用意するということである。本譜の手に代わる唯一の候補は 10...O-O-O(1点)11.g5 Ne8 である。しかしキャッスリングした側の延び過ぎた白ポーンは理論上は弱点であるが、実戦的には主導権が永続的に続くのでその不利益を上回る。

11.Bxd4

**********

11...Bc6

 1点。

12.Bf3

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12...e5

 2点。タイミングの良い中原での攻撃で黒枡ビショップの道が開けるか白ポーンが分離される。12...d5 は0点である。この手は白が 13.e5 と突いてくれれば 13...Ne4 でうまいが、13.exd5 exd5 14.Re1+ とされると具合が悪い。

13.Be3

**********

13...Be7

 1点。13...exf4 14.Bxf4 Be7 はdポーンが弱くなるのでやらずもがなである。

14.f5

 14.g5 の方が良かった。

**********

14...h6!

 この機敏な応手(3点)によって白の攻撃は完全に頓挫し、自分自身のポーンによって閉じ込められた不良白枡ビショップと幾つかの黒枡に弱点が残ってしまった。15.g5 と突いても 15...hxg5 16.Bxg5 Qb6+ から 17...Qxb2 と安全にポーンをかすめ取られる。

15.Qd2

**********

15...b5

 2点。本局と第24局を比べてみると良い。本局はキングを真ん中に留め置き側面から攻撃を行なうのが勝る珍しい例である。15...O-O(4点減点)は 16.h4 の後明らかに白から猛攻を食らう。15...O-O-O(0点)も 16.b4 で黒の反撃にとって好都合となる。

16.Rad1

**********

16...Rc8

 2点。16...b4(0点)は 17.Nd5 でやぶ蛇である。本譜の手の後ならば白のcポーンが浮いているのでこのナイト跳びを牽制している。16...Qb7 で白をeポーンの守りにつかせる手もあり得る。

17.a3

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17...Qb7

 1点。

18.Qd3

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18...Nd7

 3点。黒は新たなポーンの弱点を作らせて攻撃目標としようとしている。このナイトはc5又はc4に侵入することを狙っている。

19.b4

**********

19...Nb6

 1点。

20.Bc1

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20...Nc4

 1点。

21.Nd5

**********

21...Bxd5

 1点。

22.exd5

**********

22...Bg5

 2点。このおなじみの策略で黒は相手の「優良」ビショップと交換し、味方のポーンによって閉じ込められた精彩のない相棒を残させる。

23.Rfe1

**********

23.Qe7

 2点。23...Bxc1 は1点。

24.Be4

**********

24...Bxc1

 1点。

25.Rxc1

**********

25...h5

 3点。黒のみごとな戦略の総仕上げである。クイーン翼で順調に行なわれていた攻撃が反対翼でも行なわれる。25...Qg5 は1点。

26.Qg3

**********

26...hxg4

 2点。26...h4? は考えるまでもない手である(1点減点)。黒は素通しのh列を活用することができる。

27.Qxg4

**********

27...Qf6

 1点。黒は 28.f6 を防いだ。

28.Bd3

**********

28.Rh4

 1点。

29.Qg3

**********

29...Nb6

 2点。この手は単にdポーンを攻撃するだけでなく、反対翼の攻撃に投入するためでもある。29...Nxa3 は申し分ない手で3点(30.Ra1 Nxc2 31.Rac1 Nxe1 32.Rxc8+ Kd7)。

30.Re4

**********

30...Rh5

 2点。30...Rxe4 31.Bxe4 Rc4 32.Re1 は0点。

31.Rg4

**********

31...Nxd5

 2点。31...Kf8(1点)32.Be4 より簡明である。

32.Rxg7

**********

32...Nf4

 1点。32...Ke7 も1点。

33.Rg8+

**********

33...Kd7

 1点。

34.Rxc8

**********

34...Kxc8

 1点。

35.Qg8+

**********

35...Kb7

 1点。35...Kc7 36.Qa8 は0点。本譜の手に対して 36.Be4+ なら 36...d5 である。

36.Kh1

**********

36...Qh6

 3点。37.Qxf7+ Kb6 はh2が受からなくなる。それで次の手が必然である。

37.Qg1

**********

37...Nxd3

 2点。

38.cxd3

**********

38...Rxh2+

 3点。

 ここで白は投了した。この後のポーン・エンディングは形だけのものである。

診断 長い目で見ればポーンの弱点の不利益はポーンそれ自体でなく、それを守るために役駒が守勢になることにある。本局で黒はまずクイーン翼で相手の駒の利きを狭め、それから反対翼で決定的な攻撃を仕掛けることができた。

2008年03月26日

あなたの棋力診断(10)

第3章 大局観

第10局

 本局のあなたは黒番で、指導パートナーはアルゼンチンのグランドマスターのエルマン・ピルニクである。対戦相手はハンガリーのグランドマスターのラスロ・サボである。この試合は1955年にマル・デル・プラタで指された。局面図までの手順は次のとおりである。

1.d4 Nf6 2.c4 g6 3.Nc3 Bg7 4.e4 d6 5.f3 O-O 6.Be3 Nbd7 7.Qd2 c5 8.Nge2 Re8 9.dxc5 Nxc5 10.Nd4 Ne6 11.Be2

YRate10.JPG

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11...Nxd4

 2点。『一般的に交換は凝り形を楽にしてくれる。』

12.Bxd4

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12...Be6

 1点。攻撃的な 12...Qa5 も1点。

13.O-O

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13...Qa5

 1点。13...Rc8 は0点。この手に対して白は浮いている黒のaポーンに付け込んで 14.Nd5! Bxd5 15.exd5 と指すことができる。これでクイーン翼でポーンが多数になり、同時に黒に ...a6 または ...b6 でポーンの形を弱めさせることができる。

14.Rfd1

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14...Rac8

 2点。ここで 15.Nd5 ときても 15...Qxd2 16.Rxd2 Nxd5(黒のaポーンは今度は大丈夫である)17.exd5 Bxd4+ 18.Rxd4 Bd7 19.b4(19...a5 でポーンの進攻を止められるのを防ぐため)19...b6 20.a4! で、白は多数派ポーンを可動性のある状態に保てないから(多数そのものでなく可動性こそ重要な要因である)黒はこのエンディングを引き分けにできる。最後の 20.a4 の代わりに 20.a3 なら 20...a5 21.Rb1 Ra8 22.Kf2 axb4 23.axb4 Ra2 でやはり黒は適切に反撃できる。

15.b3

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15...a6

 1点。厳密にはこの手は必要ない。黒は 15...Nd7 または 15...Nh5(いずれも2点)で黒枡での反撃を目指すのがより理にかなった指し方だった。

16.Qb2

 この非中央化の手は序盤の「マロツィ縛り」(c4とe4のポーン対d6のポーン)の結果として白がここまで維持してきた優位の多くを失ってしまう。16.Qe3 が良い手だった。

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16...Nh5

 2点。16...Nd7 は 17.Bxg7 Kxg7 18.Nd5+ から 19.b4(物量の始動)だし、他の手も 17.Nd5 を許すので明らかにこの手が良い。

17.Bxg7

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17...Nxg7

 1点。

18.Rac1

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18...Rc7

 2点。黒の狙いは ...Rec8 から ...b5 である。黒は 19.Nd5 を警戒する必要はなくなっている。なぜなら 19...Bxd5 20.exd5(20.Rxd5 の方が良いが危害は無い)20...Qc5+ から 21...Nf5 で困るのは白の方である。本譜の手以外でもかまわない。例えば 18...Nh5、18...Qe5、18...Qg5 である(全て黒枡での反撃を意図している。これは白の16手目の緩着がe3の地点で交わる二つの黒枡の斜筋を弱めてから急に黒が利用できるようになった)。これらの手はいずれも1点である。

19.Kh1

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19...Qe5

 1点。19...Rec8 も1点。

20.Qa3?

 これも非中央化の緩着である。20.Qd2 が正着だった。

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20...Nh5

 1点。

21.Nd5

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21...Bxd5

 1点。

22.Rxd5

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22...Qf4

 2点。22...Qe6、22...Qf6 又は 22...Qg7(いずれも1点)23.Rcd1 よりも働きがある。

23.Rcd1

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23...Qh6

 3点。この尋常でない手は見え見えの 24...Ng3+ から ...Nxe2 又は ...Qe3# を狙っている。

24.Kg1

 これしかない。

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24...Qe3+

 1点。

25.Kf1

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25...Nf4

 1点。

26.R5d2

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26...Rc5

 3点。黒の狙いは痛烈な 27...Nh3! 28.gxh3 Rg5 である。ここまでの黒の最後の4手は全て黒枡だけで活動していることに留意されたい。

27.Qb2

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27...Nxg2!

 4点。27...Nh3 は 28.Qd4! で受かるので1点減点。

28.Rd5

 28.Kxg2 は 28...Rg5+ 29.Kh3(29.Kh1 は 29...Qf2 30.Bd3 Qxf3+ 31.Rg2 Qxd1+)29...Qf2 30.f4 Qg2+ 31.Kh4 Qxh2+ 32.Kxg5 Qg3+ 33.Bg4 h6+ 34.Kxh6 Qh4+ であと1手で詰みになる。

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28...Rxd5

 1点。

29.Rxd5

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29...e6

 精妙なこの手は3点。29...Nf4(2点)又は 29...Nh4(1点)よりも速やかに勝ちが決まる。

30.Rxd6

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30...Qf4

 1点。

31.Rd7

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31...Qxh2

 1点。

32.Qf6

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32...Rf8

 1点。

33.c5

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33...Nf4

 2点。33...Qh1+ 34.Kf2 と 33...Ne3+ 34.Ke1 ははっきりした勝ち筋はない。

34.Bc4

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34...Qg2+

 1点。34...Qh3+ 35.Kf2 Qg2+ 36.Ke3 は勝ちが難しくなるので0点。

35.Ke1

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35...Qxf3

 1点。

36.Qd4

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36...h5

 3点。前進あるのみ!このポーンをさえぎるものはない。

37.Rxb7

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37...h4

 1点。

38.Qe5

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38...Rd8

 5点。急転直下の終局となった(38...h3 は1点のみ)。39.Rb8(他の手なら 39...Rd1# で詰み)39...Ng2# で詰みなので白は投了した。

診断 本局は白ポーンがc4とe4、黒ポーンがd6にある時に出現する「マロツィ縛り」の局面の実地教育である。白の領域の優位は黒枡の弱点と引き換えに得られた。この弱点を十分に守らなかったのは黒の失敗で直接の敗因につながった。本局のあなたの得点が低かったら黒の攻撃がこれらの黒枡の弱点を利用したものであることを低く評価したのではなかったかと振り返って見るのが良いだろう。

2008年04月02日

あなたの棋力診断(11)

第3章 大局観

第11局

 本局のあなたは黒番で、指導パートナーはブラジルのカルバーリョである。対戦相手はイタリアのプリマベーラである。この試合は1952年にヘルシンキで開催された国際団体戦で指された。局面図までの手順は次のとおりである。

1.d4 d5 2.c4 e6 3.Nc3 c5 4.cxd5 exd5 5.Nf3 Nc6 6.g3 c4 7.Bg2 Bb4 8.O-O Nge7 9.Bf4 O-O 10.Ne1

YRate11.JPG

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10...Bg4

 3点。この局面の最も大きな特徴はクイーン翼で黒ポーンが多数派で可動性もあるということである。クイーン翼で多数派の側はほとんど常に収局を目指すべきである。そうすれば敵キングがまだ反対翼にいるうちに側面のポーンからパスポーンを作ることができる。しかし黒のクイーン翼の多数派と引き換えに白は中原で多数派となっている。そしてもし白が e4 と突くことができれば黒のcポーンは孤立し容易に攻撃目標となる。黒は e4 を 10...f5(1点)で直接防ぐことができた。しかしそうすれば黒のdポーンが白の小駒によって攻撃にさらされる。例えば 11.Nc2 Ba5 12.Ne3 Be6 13.Bg5 という具合である。そこで黒は e4 を間接的な手段で防いだ。もし白が適切な準備無しにポーンを突けば自分のdポーンが非常に弱くなってしまう。

11.Nc2

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11...Ba5

 1点。11...Bd6(1点減点)は 12.Nxd5 Nxd5 13.Bxd5 Bxf4 14.Bxc6 で良くない。

12.h3

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12...Be6

 2点。12...Bf5(1点)の方が融通が利いて良さそうに見えるが 13.e4! Bxc3(13...dxe4 は 14.Ne3)14.bxc3 Bxe4 15.Bxe4 dxe4 16.Qe2 でポーンを取り返して白が良い。

13.Kh2
 (13.e4 の方が良かったがそれでも黒は 13...f5! で局面を閉鎖的に保つ。)

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13...Qd7

 2点。これでほぼ展開を完了し、d列における自分の立場を強化してさらに e4 突きを抑止している。直接的な ...f5 は1点。後に Bg5-Bxe7 で白がいくらか楽になる。

14.f3

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14...Rad8

 2点。14...f5 は1点。

15.Qd2

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15...Ng6

 2点。これはe7のナイトが釘付けにされないようにして ...f5 と指すためである。

16.Bg5

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16...f6

 1点。一貫性のある継続手はもちろんこれしかない。

17.Be3

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17...f5

 1点。

18.Bg5

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18...Rde8

 2点。この位置は白のeポーン突きを依然としてくじくためである。しかし 18...Rb8(2点)でできるだけ早く ...b5 突きを狙うのも可能である。みずから釘付けに入る 18...Nce7 と 18...Nge7 は2点減点である。

19.e3

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19...b5

 1点。釘付けのおかげで多数派ポーンの動員は特に準備が要らない。

20.a3

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20...a6

 1点。2手前に ...Rdb8 と指していれば良かった理由はbポーンをさらに突き進めるためにこの準備が必要なかったことである。つまり 20...Bc7 と指してその後すぐに ...a5 と指すことができた。

21.Rae1

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21...h6

 1点(前の手でこの手を選択していたらその手も1点)。黒はまず2ビショップ体勢にしてから次の段階に進む。

22.Bf4

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22...Nxf4

 1点。

23.exf4?

 これは黒にとって大助かりである。23.gxf4 がはるかに良かった。

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23...Bf7

 3点。駒交換が進んで収局に近づくと遠方の多数ポーンがほとんど常に大切になってくる。それで黒は唯一の開通列で大駒の総交換をしむける。白はほとんど拒めない。さもないと黒はe列でクイーンとルークを2重または3重に重ねてついには敵陣に侵入してくる。23...Bb6(2点)も白をdポーンの守りに縛り付けて強い手である。23...b4? は1点減点である。理由は将来的にパスポーン作りを容易にするためにはポーンを連結させておくのが黒にとって非常に大切だからである。

24.Rxe8

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24...Rxe8

 1点。

25.Re1

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25...Rxe1

 この手と 25...Re7、25...Re6 はどれも1点。

26.Qxe1

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26...Qe6

 1点。

27.Qxe6

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27...Bxe6

 1点。

28.Kg1

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28...Bb6

 2点。白のdポーンが弱いので黒は多数派ポーンを楽に進攻させることができる。これはつまり白が23手目でeポーンで取ったのが悪手であったことの現れである。

29.Ne2

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29...a5

 1点。

30.Kf2

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30...b4

 1点。

31.axb4

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31...axb4

 1点。

32.Ke3

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32...Kf7

 1点。

33.g4

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33...g6

 1点。もちろん黒は 33...fxg4?(3点減点)で相手の二重ポーンを解消してやることはない。

34.h4

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34...h5

 3点。これで最終的にキング翼のポーンが固定され、白の最後の希望である Bh3 から h5 で暴れる手を防いでいる。

35.g5

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35...Bc8!

 3点。35...Ba5(1点)や 35...b3(36.Na3! Ba5 37.Nb1 で黒は敵陣突破が容易でなくなるので1点減点)よりも残りの小駒を働かせる方がずっと確実である。

36.Bf1

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36...Ba6

 1点。

37.Kd2

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37...Ke6

 1点。

38.Ke3

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38...Bb5

 1点。前の手でこの手を選んでいたらそれも1点。

39.Bh3

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39...Ba4

 1点。

40.Na1

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40...Bd1

 2点。白の1ポーンが落ちる。

41.Bg2

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41...Bxe2

 1点。

42.Kxe2

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42...b3

 2点。すぐにポーンを取る(1点)よりもずっと強い手である。

42.Kd2

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43...Bxd4

 1点。

 白投了。

診断 基本的にこの試合から得られる教訓は簡単である。クイーン翼でポーンが多数で、それが可動性があり攻撃にさらされていなければ、自信を持って駒を交換して収局に向かうことができる。本局での成績が悪かったらこの原則の理解が不十分であることを示している。

2008年04月09日

あなたの棋力診断(12)

第3章 大局観

第12局

 本局のあなたは白番で、指導パートナーは元世界選手権挑戦者でグランドマスターの中でも最も気さくで好かれている一人のダビッド・ブロンシュテインである。対戦相手は元英国選手権者のハリー・ゴロンベックである。この試合は1956年にモスクワで開催されたアリョーヒン記念大会で指された。局面図までの手順は次のとおりである。

1.d4 Nf6 2.c4 e6 3.Nc3 Bb4 4.Nf3 b6 5.e3 Bb7 6.Bd3 Ne4 7.O-O Bxc3 8.bxc3 O-O 9.Ne1 f5 10.f3 Nf6 11.a4 Nc6

YRate12.JPG

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12.e4

 2点。このような陣形の局面はニムゾ・インディアン防御から良く生じ、白黒双方にとって重要な形である。両者とも自分の作戦を速やかに遂行しなければならない。白の作戦は自分の双ビショップのために中央を開放状態にし、最終的にはキング翼攻撃を行なうことである。黒は相手をc4のポーンの守りに縛り付けるように努めなければならない。そのための手段は ...Na5、...Ba6、...c5、...Rc8 である。従って 12.Nc2 のような受身の手は0点である。12.Qc2、12.Qe2、12.Ba3 はどれも1点である。

12...fxe4

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13.fxe4

 1点。

13...e5

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14.Bg5

 3点。

 14.d5(1点)は 14...Na5 で局面を閉鎖状態にしてしまい(白の双ビショップにとっては好ましくない状況)、黒のナイトを元々行きたかった地点に行かせてしまう。14.dxe5(0点)は黒の二つのナイトを動き易くさせてしまう。14.Nf3 と 14.Be3(どちらも2点)も十分考えられる手だが本譜の手よりは積極性が劣る。

14...Qe7

 14...exd4 15.cxd4 Nxd4? は 16.e5 があるのでだめである。

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15.Nc2

 1点。

 攻撃されているdポーンを守った。

15...Qd6

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16.Bh4

 4点。黒はdポーンを取る手を狙っていた。この手はそれを間接的に防いでいる。16...exd4 は 17.Bg3 Qc5 18.cxd4 Nxd4? 19.Bf2 で失敗する。16.d5 は1点、16.dxe5 は0点である。

16...Rae8

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17.Bg3

 2点。明らかに最善手である。eポーンが釘付けになっているので黒は15手目を引っ込めるしかない。

17...Qe7

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18.Ne3

 3点。白はまたしても中原ポーンの固定化を巧い手筋で回避している。即ち 18...exd4 なら 19.Nf5 である。18.d5 と 18.dxe5 は共に0点である。

18...d6

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19.Bh4

 4点。ビショップの行ったり来たりは奇妙に思われるかもしれない。しかし双ビショップ体勢にすることが白の作戦であることを考えればきわめて理にかなっている。19.Nf5、19.Nd5、19.Ra2(ルークを重ねる準備)はどれも2点である。これらはどれも合理的な手だが本譜の手より迫力に欠ける。

19...Nd8

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20.Nd5

 1点。

20...Bxd5

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21.cxd5

 2点。こちらのポーンで取る方が 21.exd5(0点)よりはるかに良い。白の狙いは 22.Bb5 である。双ビショップ体勢になった白の次の課題は双ビショップが十分に効果を発揮できるように局面を開放状態にすることである。

21...c6

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22.Qb3

 3点。22.dxc6(2点)も当然の良い手である。しかし白はこの手を指す前にさらに自陣を強化する余裕がある。本譜の手に対して 22...cxd5 と来ればやはり 23.Bb5 が成立する。

22...Kh8

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23.Rae1

 2点。23.dxc6、23.Rf2、23.Ra2 はどれも1点。

23...h6

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24.Qa3

 5点。多分本局で一番難しい手である。この手は黒クイーンに対して隠れた狙いを持っているので黒は ...g5 から ...Nh5 で自陣をくつろげることができない。具体的には 24...g5 25.Bg3 Nh5 26.dxe5 dxe5(26...Nxg3 なら 27.exd6)27.Bxe5+ である。すぐに 24.Bg3(1点)とするのは 24...Nh5 で同じ変化にはならない。24.dxc6 は2点である。24.dxe5 dxe5 25.c4 は 25...c5 で白に保護パスポーンができるが黒はナイトをd6に配置してせき止めることができるのでかえって黒が楽になる。

24...g5

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25.Bg3

 1点。

25...Nd7

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26.dxc6

 2点。他の手なら黒は 26...cxd5 と取れるので今取る必要がある。

26...Nxc6

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27.Bb5

 2点。

27...Rxf1+

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28.Rxf1

 1点。

28...Ncb8

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29.Bc4

 2点。この手の狙いは 30.Rf7 である。白の双ビショップが本領を発揮し始めた。

29...Rf8

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30.Rxf8+

 1点。

30...Qxf8

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31.dxe5

 1点。これで1ポーン得になる。黒が 31...Nxe5 と取るのは駒損になる。

31...Nc5

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32.exd6

 1点。

32...Nxe4

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33.d7

 3点。33.Be5+ も速い手なので3点。

33...Nc5

 33...Qxa3 なら 34.d8=Q+ で白が勝つ。

**********

34.Be5+

 1点。

34...Kh7

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35.Bd3+

 2点。黒投了。35...Kg8 と逃げても 36.Qa2+ で決まる。

診断 本局では戦略の目標(ここでは双ビショップ体勢の確立と自分に都合の良い局面の開放)が戦術的手段によってどのように達成されるかが示されている。このような状況はアマチュアの選手にとって最も苦手な分野の一つである。それは大局的な判断と同時に具体的な変化を読まなければならないからである。

2008年04月16日

あなたの棋力診断(13)

第3章 大局観

第13局

 本局のあなたは黒番で、指導パートナーはソ連外の最強選手のサミュエル・レシェフスキーである。対戦相手はエイブ・ターナーである。この試合は1956年にニューヨークで開催されたローゼンワルド大会で指された。局面図までの手順は次のとおりである。

1.d4 Nf6 2.c4 e6 3.Nc3 Bb4 4.Qc2 c5 5.dxc5 O-O 6.Bf4 Bxc5 7.e3 Nh5 8.Bg3 Nc6 9.Be2 Nxg3 10.hxg3

YRate13.JPG

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10...h6

 2点。このような詰みの狙いをどのように受けたらよいかは常に問題となる。この局面では 10...g6 と受けるのは黒のポーンが余りにも白枡に片寄って自分の白枡ビショップの障害になりいつか白クイーンがh6に侵入してくる危険性を排除できなくなる。10...f5 は明らかな悪手で 11.g4 で黒の二重ポーンを解消させるし、ますます自分のキング翼を薄くしてしまう。

11.Rd1

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11...b6

 2点。白の小駒は容易に攻撃に加われないので黒は今のところは素通しのh列をあまり気にする必要はない。この手は ...d6 から ...Bd7 と展開する手よりも積極的な手段である。

12.Nf3

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12...Bb7

 1点。

13.g4

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13...Be7

 1点。白の狙いは g5 突きである。黒はこの狙いを防ぐためにポーンを動かして自分のポーンの形をさらに崩すのを嫌った。

14.Qb1

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14...Rc8

 2点。黒は自分のポーンの形を決める前にインディアン防御によく出てくるのだが役駒を動かして敵のポーンの形に隙を作らせる良く知られた戦略に従っている。14...d6(1点)も考えられる手である。しかし 14...Qc7 は 15.Nb5 と来られ、クイーンがb8に引っ込むと隅のルークが動けなくなり、他の所へ行けば白のナイトがd6に居座ってしまう。

15.O-O

 自らの攻撃に将来性がないことを認めた手である。

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15...d6

 1点。今度は 15...Qc7(1点)も可能である。16.Nb5 と来ても 16...Qb8 でよい。

16.Rc1

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16...Qc7

 1点。白の次の手を避けた 16...Qd7 は2点である。

17.Nd5

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17...Qd7

 2点。17...exd5 18.cxd5 は0点である。白は駒を取り返した後f5の地点を自分のナイトのための拠点として利用できるようになる。

18.Nc3

 一貫性のない手である。白は 18.Nxe7+ と指すべきで互角の形勢である。白は 18...Qc7 19.Nd5 と同じ手を繰り返して黒が引き分けに同意してくれることを期待していた。

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18...Rfd8

 この手と 18...Bf6 は2点。

19.Rfd1

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19...Bf6

 1点。

20.Ne4

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20...Qe7

 2点。21.Nxf6+ と取ってくれば 21...Qxf6 でクイーンが攻撃的な位置を占める。代わりに 20...Be7 と守ると 21.c5 で白にとってありがたい。

21.Nc3

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21...Na5

 2点。黒は展開が完了したので相手のポーンの形を組織的に弱めていく作戦を開始した。

22.Nb5

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22...a6

 1点。23.Na7? と入ってくれば 23...Ra8 で取られる。

23.Nbd4

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23...g6

 1点。黒は欠陥のない陣形でさらなる展開を見据えている。白はとっくの昔にキング翼での攻撃を断念しているのでこの手は陣形を弱めることにはならない。23...Rc7 と 23...Nc6(どちらも1点)も良い手である。

24.b4

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24...Nc6

 1点。

25.a3

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25...Kg7

 この手と 25...Nxd4 及び 25...Rc7 はどれも1点。

26.Bd3

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26...Nxd4

 この手と 26...Rc7 は1点。

27.Nxd4

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27...Rc7

 1点。

28.Be2

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28...Rdc8

 1点。黒が白のcポーンを取れる見込みは当分ないが圧力をかけることによって白の駒をその守りに縛り付ける。

29.Nb3

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29...Be5

 3点。この手はさらに白のポーンの弱体化を誘う目的で指された。30.f4 なら 30...Bf6 で黒はビショップまたはクイーンをg3に潜り込ませる狙いである。しかしこの方が本譜の白の手よりも良かった。

30.Nd2

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30...Qf6

 3点。...Bb2 が常に狙いとして浮かび上がった。

31.Nf1

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31...Bc6

 3点。黒の狙いは ...Ba4 である。32.b5 なら 32...axb5 33.cxb5 Bd5 でいずれにしても黒の二つのビショップは理想的な平行または交差した斜筋で威力を発揮する。

32.Re1

**********

32...Ba4

 1点。

33.Bd1

 この手は見落としによる悪手だった。33.Qa2 ならまだねばれた。

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33...Bxd1

 1点。

34.Rcxd1

**********

34...Rxc4

 1点。

35.f3

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35...d5

 この手と 35...Rc2 は1点。

36.Rd3

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36...Rc2

 1点。

37.Red1

**********

37...Rb2

 2点。白はクイーンを取られてしまう。

38.Qa1

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38...Rxg2+

 1点。

39.Kxg2

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39...Bxa1

 1点。

40.Ng3

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40.Rc2+

 この手と 40...Qb2+ 及び 40...Rc3 は1点。

41.R1d2

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41...Qb2

 この手と 41...Rxd2+ は1点。

42.Nf1

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42...Rxd2+

 1点。

43.Rxd2

**********

43.Qxa3

 1点。

 白投了。

診断 この試合は相手が主導権を取る努力をしようとせず、あなたの方から相手を捕まえるのを待っている時に取るべき技法を示している。このような状況では全面攻撃を開始する前に自分の駒を最も攻撃的でお互いに協力し合う位置に配置し直す時間がある。特に注目すべきは23,25,29,30及び31手目のように少しずつではあるが確実に自分の陣形をじっくり良くしていく指法である。このような手は大局観指法の真髄である。

2008年04月23日

あなたの棋力診断(14)

第3章 大局観

第14局

 本局のあなたは白番で、指導パートナーは世界ジュニア選手権者で既に一流のマスターと認められているソ連のボリス・スパスキーである。対戦相手はパウル・ケレスである。この試合は1957年の全ソ連選手権戦で指された。局面図までの手順は次のとおりである。

1.d4 Nf6 2.c4 e6 3.Nc3 Bb4 4.Bg5 h6 5.Bh4 c5 6.d5 d6 7.e3 e5 8.Qc2 Nbd7

YItte0143.JPG

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9.Nge2

 2点。この戦型では局面が閉鎖的になり易く、それゆえにビショップよりもナイトの方が使い易い。だから黒は局面を閉鎖的に保とうと努め、白は相手の黒枡ビショップを交換させ斜筋を通して自分の双ビショップに活躍させようとする。もちろん白はその過程で二重ポーンをできるだけ避けようとする。その意味で 9.a3(0点)は 9...Bxc3+ 10.Qxc3? Nxd5! で間違いである。本譜の手は棋理にかなっている。

9...Nf8

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10.a3

 1点。

10...Bxc3+

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11.Nxc3

 1点。

11...Ng6

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12.Bg3

 1点。12.Bxf6 はもちろん全然筋の通らない手である。

12...Nh5

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13.Bd3

 1点。この手の後黒が 13...Nxg3 と白のビショップを取れば 14.hxg3 Ne7(14...Qf6 ならば 15.Nb5)15.f4 f6 16.Bg6+ となって陣形が乱れる。他の手は黒が安全に ...Nxg3 とできるので0点。

13...Ne7

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14.f4

 1点。白はまだ前の手の変化になってもかまわない。14.Bh4 は 14...g5 15.Bg3 f5 から ...f4 を狙われるので良くない。

14...exf4

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15.exf4

 1点。この手でも又は 15.Bxf4(1点)g5 16.Bg3 Nxg3 でもg列に二重ポーンができるがどちらの形の方が弱いのかは一概に言えない。

15...f5

 このポーンは攻撃目標となるばかりでなく味方のビショップの利きも妨げている。15...O-O の方が良かった。

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16.O-O

 2点。16.O-O-O(1点)はここではかなり危険である。黒は ...a6 から ...b5 ですぐに反撃に移れる。

16...Nxg3

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17.hxg3

 1点。

17...O-O

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18.Rae1

 この手と 18.Rfe1 は1点。18.Nd1 も1点で次に Ne3 で黒の弱いfポーンに圧力をかける。

18...Bd7

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19.Re2

 この手と 19.Nd1、19.Rf2 は1点。

19...Kh8

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20.Rfe1

 1点。

20...Ng8

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21.Nd1

 1点。

21...Qf6

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22.Qc3

 4点。素晴らしい判断である。弱いポーンのような陣形上の弱点や「不良」ビショップは収局で付け入るのが一番良い。理由は駒の交換が進むほど弱点が露わになり攻撃し易くなるからである。22.Ne3(1点)は 22...Rae8 で白の次の手が難しくなる。それから Qc3 とするのはクイーン交換されて白自身のポーンの形が乱れてしまう。

22...a6

 22...Qf7 と交換を避ける方が良かった。もっとも 23.Ne3 の後自然な 23...Rae8 は 24.Qa5 で黒ポーンの形がさらに緩んでくる。

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23.Qxf6

 1点。

23...Nxf6

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24.Ne3

 1点。

24...Ng8

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25.b4

 2点。「陽動作戦」の別の例で、現代のマスターの手法の特徴となっている。片翼で黒を弱点の守りに釘付けにした白は他翼の方に注意を向ける。25.Rb1(1点)と準備してから行くのは 25...a5 26.b4 axb4 で黒が素通しのa列から反撃してくるのであまり良くない。25.Kf2(1点)のようなどっちつかずの手は黒に同様の手でクイーン翼を守る余裕を与える。

25...Rac8

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26.Rb1

 1点。次の狙いは bxc5 である。すぐに 26.bxc5(1点)と取っても良い。

26...b5

 戦略的に押しまくられている黒は戦術で死中に活を求めようとする。

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27.cxb5

 この手と 27.bxc5 は1点。

27...axb5

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28.bxc5

 1点。これで黒はb列に二つ目の弱いポーンが残される。

28...Rxc5

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29.Reb2

 2点。この手は良い手というだけでなく黒が 29...Rc3 で単純化により引き分けの局面を狙っているので必要な手でもある。本譜の手の後ならば白は 30.Rb3 で応えることができる。

29...Re8

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30.Bxf5

 3点。30.Kf2(1点)も長引くが白が勝つ。しかし 30.Nxf5(2点減点)は 30...Rxd5 があるので悪手である。本譜の手に対して 30...Bxf5 ならば 31.Nxf5 Rxd5 32.Rxb5 Rxb5 33.Rxb5 で白のaポーンが勝負を決める。

30...Rxe3

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31.Bxd7

 1点。

31...Rxg3

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32.Rxb5

 1点。この手に対して 32...Rxb5 とくれば 33.Rxb5 Rxa3 34.Rb8 Kh7 35.Bf5+ g6 36.Bxg6+ Kxg6 37.Rxg8+ Kf7 38.Rd8 Ke7 39.Rh8 Rd3 40.Rxh6 Rxd5 となり、ルーク+2連結ポーン対ルーク+1ポーンの収局は白の勝ちである。

32...Rc2

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33.Bh3

 2点。

33...Rxa3

**********

34.Rb8

 1点。

34...Rxh3

 負けを覚悟の乱暴である。34...Raa2 としても 35.Rd8 で白の勝ちは動かない。

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35.gxh3

 1点。

35...Rd2

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36.Rd8

 1点。この攻め合いを目指す手が最も確実である。白は黒ナイトを取る手を狙っている。

36...Kh7

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37.Rxd6

 1点。

37...Ne7

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38.Rd7

 3点。黒の交換損戦術の骨子はこの収局は白がちょっとでも安易な手を指せば簡単に引き分けになってしまうことにあった。例えば 38.Rb7? なら 38...Rxd5 39.Rxd5 Nxd5 で引き分けの形である。白は 38.Rb5(2点)でも勝てるが本譜の手のほうがすっきりしている。もし黒が 38...Nxd5 なら 39.f5!(39.Rb5 は 39...Rd1+ 40.Kf2 Ne3、39.Rbb7 も 39...Kg6 40.Rxg7+ Kf5 で黒が助かる可能性が大きい)39...Nc3 40.Rxd2 Nxb1 41.Rd3! で黒のナイトが動けず白キングによって簡単に取られてしまう。

38...Nf5

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39.Rb6

 2点。この手も黒キングが ...Kg6-h5-h4 と逆襲してくる手段を防いだ正確な手である。

39...Ne3

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40.d6

 2点。

40...Nf5

**********

41.Kf1

 1点。41.Rd8 も同じく1点。

41...Nd4

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42.Ra7

 1点。他には 42.Re7、42.Rd8、42.Rc7、42.Rdb7 もみな1点。

42...Ne6

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43.f5

 1点。

43...Nc5

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43.f6

 1点。

 黒投了。

診断 本局は白の理詰めの勝利といえる。黒が自陣に弱点を作り出すと黒の駒はまずその守りに縛り付けられた。それから白は反対翼で勝利につながる敵陣突破を果たした。本局の成績が悪かったらあなたが戦略の主題とは無縁な手を指す傾向があることを示している。これを避けるには実際に手を指す前にそれが作戦に合った手かどうかを必ず確かめるのが良い。

2008年04月30日

あなたの棋力診断(15)

第4章 攻め方

第15局

 本局のあなたは白番で、指導パートナーは元世界選手権者のマックス・エイベ博士である。対戦相手はイタリアのマスターのネストレルである。この試合は1956年のレンツァハイデ(スイス)団体戦大会で指された。局面図までの手順は次のとおりである。

1.d4 Nf6 2.c4 d6 3.g3 Nbd7 4.Bg2 e5 5.Nf3 c6 6.O-O Be7 7.Nc3 O-O 8.Qc2 Qc7 9.b3 Re8 10.Bb2 Nf8

YRate15.JPG

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11.c5

 5点。この意表のポーン突きで数手後には中原が白の優位に変わる。理にかなったゆっくりした手は 11.e4、11.Rfd1、11.Rad1 である(それぞれ2点)。しかし 11.dxe5 は0点である。キング翼インディアン防御と古インディアン防御から通常現れるこのような局面の中原での単純なポーン交換はすぐに互角の形勢に至ってしまうことが経験によって知られている。

11...Ng6

 11...dxc5 は 12.dxe5 N6d7 13.Ne4 Ng6 14.Qc3 Bf8 15.Nd6! となる。一方 11...exd4 に対してエイベ博士の用意していた手は 12.cxd6 Qxd6 13.Rad1 c5 14.e3 で、有利な態勢でポーンを取り返せる。

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12.cxd6

 1点。

12...Bxd6

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13.Rac1

 2点。最強の手である。覚えておいた方が良い軽い手筋の 14.Nb5! で双ビショップ体勢を得ることと同時に局面を開放させる狙いをもっている。

13...Qe7

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14.dxe5

 1点。今取らないと黒の 14...e4 による反撃が厳しくなる。

14...Nxe5

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15.Nxe5

 1点。

15...Bxe5

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16.e4

 3点。16...Bxc3 は 17.Qxc3 で詰みの狙いがあるので黒はポーンを取れない。この局面の特徴はお互いの多数派ポーンの価値にある。黒はクイーン翼で3対2の優位にある。経験の教えるところによると他の条件が同じならばクイーン翼での多数派の方が有利である。しかしこの局面では二つの要因がこの判定よりも重要である。一つ目は白が半開放c列と白枡の対角筋を支配しているので黒が自分の多数派ポーンを活動させるのはきわめて難しい。二つ目は白の多数派ポーンが黒にとって非常に脅威である。即ち白は f4 から e5 と先手でポーンを突ける可能性があり、しかもこれらの多数派ポーンがb2のビショップから支援されている。実際エイベ博士はこの局面は戦略的に白の勝ちであると考えていた。

16...Bd7

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17.h3

 2点。軽率な 17.f4 Bd4+ 18.Kh1 Ng4 は2点減点である。

17...h6

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18.f4

 1点。

18...Bd4+

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19.Kh2

 2点。gポーンとhポーンの守りにもなるので 19.Kh1(1点)よりわずかに良い。

19...Bb6

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20.e5

 1点。

20...Nh7

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21.Rce1

 2点。この地点が多数派ポーンをさらに f5 と進めて行く準備のための自然な場所である。21.Rcd1(1点)は必然性に欠ける。

21...Ba5

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22.f5

 1点。

22...Bc7

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23.Na4

 3点。23.f6(1点)は 23...gxf6 24.exf6 Qd6 で黒のビショップ群が白キングの方面を直射しているので黒に反撃を許す。しかし白は f6 突きを急ぐ必要はない(黒は ...f6 と突くと e6 と突き越されるので実際はできない)。だからまず自分の駒をもっと良い地点に移動させる。23.Nb5 と 23.Nd5(共に1点)は可能だが 23...cxb5(cxd5)24.Qxc7 Bc6 で白はそれほど有利でなくなる。

23...Rad8

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24.Nc5

 2点。

24...Bc8

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25.Nd3

 1点。これでナイトがキング翼での作戦に加わる用意が整った。

25...Qd7

**********

26.Rd1

 2点。26.Be4(0点)は 26...Ng5 でだめである。本譜の手で白は 27.Nf4 Qxf5? 28.Be4 を狙っている。

26...Qe7

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27.h4

 2点。白はまだ f6(1点)を急がない。白は局面が開放状態になった時に備えてまず黒の反撃の可能な芽を全部摘み取っておく。本譜の手は黒ナイトがg5に出て来れないようにした。

27...g6

 この手は負けを早めた。しかし他の手ならば白は 28.Qc1 でh6のポーンを狙って f6 突きをもっと強力にする。

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28.fxg6

 2点。28.e6(2点減点)は 28...Qxh4+! がある。

28...fxg6

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29.Nf4

 2点。

29...Bf5

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30.Qc4+

 2点。これで白の1ポーン得になる。30...Qf7 は 31.e6 Bxe6 32.Qc3 で白の勝ちである。30...Kg7 は 31.e6+ Nf6 32.Nh5+ gxh5 33.Rxf5! Rf8 34.Rdf1 である。この手順中 31...Kg8 なら 32.Rd7 Rxd7 33.exd7+ がひどい。

30...Be6

**********

31.Nxg6

 4点。31...Bxc4 なら 32.Nxe7+ Rxe7 33.Rxd8+ Bxd8 34.bxc4 で白が収局で勝つ。

31...Qg7

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32.Rxd8

 4点。32.Qc2 は3点。本譜の手は 32...Bxc4 ならば 33.Rxe8+ で良い。

32...Bxd8

**********

33.Qc2

 1点。

33...Bc7

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34.Nf4

 2点。狙いは Nxe6 と Nh5 である。

34...Bxe5

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35.Bxe5

 1点。

 黒投了。

 黒の最後の手は見落としで 35...Qxe5 36.Qg6+ で少なくともルークを取られる。

診断 本局から得られる大きな教訓は相手が2ビショップのような駒を持っている場合は局面が開放状態になると急に威力を発揮するので攻撃は入念に準備しなければいけないということである。あなたが白の17,23,24,27,28手目でもっと明白で強制的な手を選んでいたらそれは攻撃をあせって十分な準備を怠るからかもしれない。白の30,31,32手目で間違えたらその局面で戦術的な手の可能性や決め手となるような手筋が存在するかどうか全力で読んでみるようにしなければならない。

2008年05月07日

あなたの棋力診断(16)

第4章 攻め方

第16局

 本局のあなたは黒番で、指導パートナーはユーゴスラビアの伸び盛りの若者のデゥラセビッチである。対戦相手は1955-6年のヘースティングズ大会で同点優勝したビクトル・コルチノイである。この試合は1956年のベオグラードでのソ連対ユーゴスラビア戦で指された。局面図までの手順は次のとおりである。

1.d4 Nf6 2.c4 e6 3.Nc3 Bb4 4.Bg5 c5 5.d5 h6 6.Bh4 b5 7.e4 d6 8.Qc2 O-O 9.dxe6 Nc6 10.Nf3 Bxe6 11.cxb5

YRate16.JPG

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11...Nd4

 2点。ギャンビット特有の指し方である。黒の6手目のポーンの犠牲は白のキングの露出と釘付けのクイーン翼ナイト、それに黒が展開でかなり差をつけていることに基づいている。

12.Nxd4

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12...cxd4

 1点。

13.a3

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13...Ba5

 4点。13...Qa5(1点)の方がもっと良さそうに見えるが実際は 14.Bxf6(指し手が進むに従い働きの増す黒の小駒を交換で消してしまう)14...gxf6 15.Rc1 dxc3 16.axb4 で黒の攻撃態勢は急に消えうせてしまう。

14.b4

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14...g5

 5点。黒は1ポーン損しているので一手一手大切に指さなければならない。14...Bxb4(2点)は 15.axb4 dxc3 16.Qxc3 Rc8 17.Bxf6! gxf6 18.Qg3+ Kh8 19.Be2 で白がちょうど危機を脱する。14...dxc3(3点)は 15.bxa5 Qxa5 16.Bxf6 gxf6 17.Bd3 で黒のc列のパスポーンは強力だが黒のキング翼がばらばらなので白にも反撃の可能性がある。

15.Bg3

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15...Rc8

 5点。もし前の手でこの手を選んでいたらそれも可能なので6点。他の手はそれほどはっきりしない。例えば 15...dxc3(2点)は 16.bxa5 Qxa5 17.Bxd6(Bb4 の狙い)、15...Bxb4(1点)は 16.axb4 dxc3 17.Qxc3 Nxe4 18.Qd4 である。

16.bxa5

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16...Rxc3

 2点。

17.Qd2

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17...Nxe4

 2点。

18.Qxd4

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18...Qxa5

 4点。19.Qxe4 と取ってくれば 19...Rc1+ がある。

19.Qb4

**********

19...Qxb4

 2点。

20.axb4

**********

20...Re8

 5点。e列の隠された狙いのために白は展開を完了させることができない。例えば 21.Be2 なら 21...Bc4! 22.Bxc4 Nxg3+ 23.Kd2 Ne4+ から ...Rxc4 である。

21.f3

**********

21...Re3+

 4点。21...Nxg3 は 22.hxg3 Bc4+ 23.Kf2 ではっきり決まらないので0点。

22.Kd1

**********

22...Bb3+

 3点。

23.Kc1

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23...Rc8+

 3点。

24.Kb2

**********

24...Rc2+

 2点。

25.Ka3

**********

25.Rd2

 6点。この落ち着いた手で白がすぐに投了した。

診断 本局はポーンを犠牲にして攻撃を行なっている時は一手一手を大切に指す必要性を非常にはっきり示している。13,14または15手目で間違えたなら、いろいろな変化をもっと注意深く且つ完璧に読まなければならないことを示している。本局に現れている他の原則はクイーン同士が交換されても残りの攻撃駒の連係が良く取れていれば攻撃が成功を収めるということである。最後に白の苦戦は序盤で早くキャッスリングをすることを怠ったことに原因があった。キングが原位置に留まっているうちに中央列の筋が通るといろいろな駒捨ての手筋が可能になってくる(第27局と比較するとよい)。

2008年05月14日

あなたの棋力診断(17)

第4章 攻め方

第17局

 本局のあなたは白番で、指導パートナーはチェコのベテラン選手のレイフィルである。対戦相手はオーストリアの国際マスターのヨセフ・ロクベンツである。この試合は1956年のチェコスロバキア対オーストリア戦で指された。局面図までの手順は次のとおりである。

1.c4 Nf6 2.Nc3 g6 3.e4 d6 4.d4 Bg7 5.f3 O-O 6.Be3 e5 7.d5 Nh5 8.Qd2 f5 9.exf5 gxf5 10.O-O-O Nd7 11.Nh3 Ndf6 12.Bg5 Qe8 13.Bd3 Qf7

YRate17.JPG

**********

14.Rhg1

 2点。キング翼インディアン防御のこの型では白はクイーン側にキャッスリングし攻撃のためにキング翼の縦筋を開けることを目指す。そのための作戦として二つの方法がある。一つはf列のポーンを突くことともう一つはg列のポーンを突くことである。g列のポーンを突く方が勝る理由は攻撃が黒キングを直撃することと本局のように黒が ...f4 で反撃すると白がe4の地点を確保できるということである。本譜と同じ意図の 14.Nf2 と 14.Rdg1 も同じ2点である。

14...c6

**********

15.Rdf1

 3点。f列の隠れた釘付けのために g4 突きが既に黒の脅威となっている。大局的な悪手の 15.dxc6 bxc6 は1点減点である。こうなると素通しのb列、中央の可動性のある多数派ポーン、それから攻撃目標となる白のc列のポーンのために黒が非常に有望となる。本譜の手の後 15...cxd5 16.cxd5 Nxd5?? は 17.Bc4 でだめである。

15...f4

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16.Nf2

 1点。16.g4? は 16...fxg3e.p. と取られるので4点減点である。

16...cxd5

**********

17.cxd5

 1点。

17...Qc7

**********

18.g4

 2点。

18.fxg3e.p.

**********

19.hxg3

 1点。

19...Bd7

 19...Nxd5 は 20.Bxh7+ Kxh7 21.Qxd5(次に Rh1 の狙い)が決まる。

**********

20.Kb1

 3点。白は注意が必要である。すぐに 20.g4?(1点減点)と突くのは 20...Nf4 21.Bxf4 exf4 22.Qxf4 Nxd5 となって弾みがつくのは黒の攻撃の方である[訳注 23.Qc4 で白が良いようです]。代わりに 20.f4(0点)ならポーンを犠牲に 20...e4 21.Nfxe4 Nxe4 22.Bxe4 Rac8 でやはり黒が局面の支配権を握ることができる[訳注 ここも 23.g4 で白が良いようです]。一般的にこの戦法では黒の黒枡ビショップの斜筋を開けさせないように白は最大限の注意を払わなければならない。

20...b5

**********

21.Rc1

 1点。白は今のところキング翼での活動を抑えられているので反対翼に目を向けて素通しのc列の活用に期待をかける。しかし 21.Bh6(3点)ならもっと一貫性のある指し方だった。

21...Qb6

**********

22.Be3

 この手または 22.Bh6 は2点[訳注 22.Bh6 は 22...Bxh6 23.Qxh6 Qxf2 で白が良くないようです]。

22...Qb7

**********

23.Bh6

 1点。

23...Rf7

**********

24.Rg2

 3点。h5のナイトをいじめたいので 24.Bxg7(1点)より強い手である。

24...Ne8

**********

25.Rh2

 3点。25.Rh1(2点)よりもこの手の方が勝る理由は 25...Nxg3 と取ってくれば 26.Bxh7+! Kxh7 27.Bxg7+ Kxg7 28.Qg5+ Kf8 29.Rh8# で頓死させることができるからである。

25...Nhf6

**********

26.g4

 2点。白はキング翼での全面攻撃を再開する。26.Bxg7(1点)はまだ急がなくても良い。黒から 26...Bxh6 と取ってくれば 27.Qxh6 で白のお手伝いになるし 26...Bh8 は 27.Qg5+ でなおさら良くない。

26...Nc7

**********

27.g5

 3点。dポーンを守る手は0点である。本譜の手に対して黒は 27...Nfxd5 とはできない。それは 28.Nxd5 Nxd5 29.Be4 Be6 30.Rd1 で駒損になる。27.Rg1 は2点である。

27...Ne8

**********

28.g6

 4点。列をもう一つこじ開ける。黒陣は重大な事態である。28.Rg1 は 28...Bf5 で黒が抵抗できるので1点である。

28...hxg6

**********

29.Bxg6

 1点。

29...Bf5+

**********

30.Bxf5

 1点。

30...Rxf5

**********

31.Rg1

 2点。

31...Rd8

**********

32.Bxg7

 2点。32.Rhg2 も同じく2点。

32...Nxg7

**********

33.Rxg7+

 4点。しかし即詰みになる 33.Rh8+! は7点である。以下 33...Kf7(33...Kxh8 は 34.Qh6+ で次に詰む)34.Rxg7+! Kxg7 35.Qh6+ Kf7 36.Qh7+ Kf6 37.Ne4# で詰む。

33...Kxg7

**********

34.Qh6+

 1点。

34...Kf7

**********

35.Qh7+

 1点。

35...Ke8

 35...Kf6 は 36.Ne4# で詰んでしまう。

**********

36.Qxf5

 1点。

 黒投了。

診断 本局の主題は敵陣に通じる縦筋の開通を伴うキング翼攻撃の手法である。本局の成績が悪かったら白の主要な作戦をやり遂げることに集中しないで盤の他の方面に気を取られたことを示している。

2008年05月21日

あなたの棋力診断(18)

第4章 攻め方

第18局

 本局のあなたは白番で、指導パートナーはオックスフォード大学での3年間に英国での大会で活躍したイスラエルの若い学生のラーフィ・ペルシッツである。対戦相手はフランスのガリュラである。この試合は1956年にウプサラで開催された世界学生団体選手権戦で指された。局面図までの手順は次のとおりである。

1.e4 c5 2.Nf3 Nc6 3.d4 cxd4 4.Nxd4 g6 5.Nc3 Bg7 6.Be3 d6 7.Qd2 h5

YRate18.JPG

**********

8.f3

 この手と 8.O-O-O は2点。本譜の手はいつか ...Ng4 でe3のビショップを交換されるのを防いでいる。8.f4 は0点である。続いて 8...Nf6 9.h3(他の手なら 9...Ng4)9...h4 で黒はg3の地点の占拠を目標にできる。

8...Nf6

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9.O-O-O

 2点。どちらへキャッスリングしたら良いかは常に一部の選手を悩ます問題である。白の選択した手は黒がキング翼にキャッスリングすればキング翼で攻撃の行動を起こし黒キングが原位置に留まれば中央で攻撃の行動を起こそうという意図である。黒キングがクイーン翼にキャッスリングする可能性は黒のcポーンが欠けていることを考えればあり得ない。

9...Bd7

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10.Be2

 1点。この手は手堅い手だが、10.Bc4(3点)はもっと攻撃的である。10.Nxc6 は 10...Bxc6 で交換により黒の陣形をくつろがせてしまうので0点である。

10...a6

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11.Nd5

 2点。白は黒の直前の手により発生した新たな弱点につけ込む。狙いは 12.Nxc6 の後 Bb6 から Nc7+ である。

11...Nxd5

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12.exd5

 1点。

12...Ne5

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13.h3

 2点。中央に陣取った黒のナイトは黒の唯一の働きのある駒である。そこで白はすぐにこの駒を追い払いにかかる。13.f4 は 13...Ng4 14.Bg1 でこのナイトが好所のf6に退却できるので0点である。

13...Qc8

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14.b3

 1点。前の手と同じ意図である。

14...f5

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15.f4

 1点。黒ナイトは働きのない地点へ行かなければならないのでこの手は当然である。

15...Nf7

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16.g4

 4点。この突っ掛けは白のこれまでの戦略の論理的な帰結である。黒のルークは連結しておらず、黒クイーンはおかしな地点にいるし、e6の地点は弱点になっている。白の方は中央をしっかり掌握し局面の開放は好所にいる白の小駒の方にだけ有利に働く。

16...hxg4

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17.hxg4

 1点。

17...Nh6

 17...fxg4 は 18.Rxh8+ から 19.Rh1 で白の攻撃に拍車をかけてしまう。

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18.g5

 2点。18.gxf5?(0点)は 18...Nxf5 で黒の駒が重要な中原の地点に利くようになる。本譜の手では白が1列しか攻撃に利用できないという疑問があるが、実際はh7の地点が確実に侵入口として利用できe列も素通しとなることが期待できる。

18...Nf7

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19.Rxh8+

 2点。h列でルークを重ねる手段はない。

19...Bxh8

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20.Rh1

 1点。

20...Bg7

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21.Rh7

 1点。

21...Kf8

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22.Ne6+

 7点。この手に伴うポーンの犠牲によって白はクイーンとビショップを攻撃に参加させ活躍させることができる。すぐに明らかな勝ちが見えなければ兵力を犠牲にすることに尻込みする読者のために指摘すると、他の手では攻撃を続けることができない。22.Bc4 と 22.c4 は 22...b5 と応じられる。22.Qe1 から Qh1 としてもh列で突破口を開くことはできない。マスターは Ne6+ の後の全ての変化を読みきることは通常しない。彼にとっては自分の二つのビショップが斜筋で黒キングをにらむことを見通せれば十分なのである。

22...Bxe6

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23.dxe6

 1点。

23...Qxe6

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24.Bc4

 2点。

24...Qc8

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25.Bd4

 5点。25.Bxf7(0点)はそれほど良くない。以下 25...Kxf7 26.Bd4(26.Qd5+ は 26...e6[訳注 27.Qd4 で 28.Qf6+ の狙いで白の必勝形のようです])26...e5 27.fxe5 Kg8! 28.Rxg7+ Kxg7 29.e6+ Kf8! 30.Qh2 Ke7! で黒がしのげる[訳注 29.Qh2 で白の勝勢のようです]。25.Qd5 は2点である。以下 25...e6 26.Qxe6 でエンディングで白が勝てるはずだが黒は本譜の手順よりもはるかに長く粘ることができる。

25...e5

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26.fxe5

 1点。

26...dxe5

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27.Bxe5

 5点。27...Nxe5 なら 28.Qd6+ で白が勝つ。

27...Bxe5

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28.Rxf7+

 1点。

28...Ke8

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29.Qb4

 3点。

 黒投了。

診断 時々相手が積極的な反撃を避けて完全に受身の体勢を築くことがある。これは「さあやって来い」と言っているようなものである。そのような局面で十分な準備をしないで攻撃を仕掛けたり相手の反撃力のなさにつけ込まないでいる選手が多く見かけられる。本局と第31局(フロール対フリドマン)はそのような場合にどう指し進めるべきかのお手本である。もしこれらの2局で成績が悪かったらその2局をていねいに勉強するのが良い。

2008年05月28日

あなたの棋力診断(19)

第4章 攻め方

第19局

 本局のあなたは黒番で、指導パートナーはアイスランドの若き新星のフリドリック・オラフソンである。対戦相手はデンマーク選手権者のベント・ラルセンである。この試合は1956年のスカンジナビア選手権戦で指された。局面図までの手順は次のとおりである。

1.Nf3 f5 2.g3 Nf6 3.Bg2 e6 4.O-O Be7 5.c4 O-O 6.d4 d6 7.Nc3 Qe8 8.b3 a5 9.Bb2 Na6 10.a3 Bd7 11.Ne1

YRate19.JPG

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11...c6

 2点。...d6 型のオランダ防御では黒は早めに中原で ...e5 突きを狙うのが普通である。本譜の手はその際に白駒がd5の地点を占めるのを防いでいる。11...Bc6? は 12.d5 exd5 13.Nxd5 で白が優勢になるので1点減点である。受身の 11...Rb8 は0点である。

12.Nd3

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12...Bd8

 2点。まだ ...e5 を狙っている。同時にこのビショップをc7かb6へ回してもっと強力な斜筋につけるようにしている。

13.e4

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13...e5

 3点。今この手を指さなければ機会は二度と来ない。13...fxe4(0点)は 14.Nxe4 で白のb2のビショップが ...e5 突きへの抑止力として加わってくる。

14.dxe5

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14...dxe5

 1点。

15.Qe2

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15...f4

 8点。この手はマスターが指すと必ず論理的に必然のように見えるが自分の試合では結果がはっきり読めないために指すのをためらってしまう類の手である。そこでこの手の背後にある黒の読みの過程を分析してみよう。

 1.白の狙いは単純で 16.exf5 から 17.Qxe5 又は 17.Nxe5 で黒の大切なポーンを取ってしまうことである。

 2.黒の読みによると当たり前の 15...fxe4 16.Nxe4(狙いは 17.Nd6)16...Bc7 でポーンを守ると 17.Ndc5! Nxe4 18.Nxe4 で白はこの難攻不落のe4の地点を得てすぐにd列の占拠とd6への侵入を望むことができる。

 3.単に 15...Bc7 とすると 16.exf5 Bxf5 17.Ne4 で白は黒にとって厄介な中原の橋頭堡を得てc5とd6の地点もみはらすことができる。

 4.そこで黒は白にこの重要な地点のe4を明け渡さないような何らかの手段を探す。黒は多分この時点まで ...f4 は考えなかっただろう。しかし今は以下のような利点に気付いている。

 A.白のe4の地点はポーンによってふさがれたままである。

 B.黒のe5の地点は自分の駒の行ける地点になる。

 C.黒の二つのビショップは絶好の斜筋を得て白キングをにらむことになる。

 D.白キングは守りのポーンの一つを失うことになる。

 以上を総合して 15...f4 は最も理にかなった手に見え始める。それに一般的なことを言うとほとんどのマスターはいつかは負けることが確実な守勢の防御よりもポーン損だけれど有望な反撃策のある方を選択するものである。

16.gxf4

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16...exf4

 1点。

17.Nxf4

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17...Nc5

 ナイトを働かせるこの手は2点。17...Ng4(0点)は良さそうに見えるが 18.Nd3(18...Qh5 なら 19.h3)で何も成果がない。17...Bc7 も 18.Nd3 と応じられる。

18.Rad1

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18...Bc7

 4点。欲張りの 18...Nxb3 は2点減点である。この手に対して白は 19.e5! Ng4 20.e6 Rxf4 21.exd7 で絶好の反撃の態勢を得る。白の18手目はこのパスポーンを守るのを見越していた。

19.b4

(19.Nd3 は 19...Nxb3 20.e5 Ng4 で 21.e6 と突けないので黒が良い。)

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19...axb4

 2点。もう一つ列を開けても全然問題ない。

20.axb4

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20...Bxf4

 3点。ナイトを引く手(1点減点)は白が 21.Nd3 で自陣を固めるので本譜の手の方がはるかに強い手である。

21.bxc5

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21...Bg4

 4点。21...Ng4(2点)よりもずっと良い。

22.f3

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22...Qh5

 8点。全てを読み切った手である。23.fxg4 と取ってくれば 23...Qxh2+ 24.Kf2 Qh4+ 25.Kg1 Bh2+ 26.Kh1 Bg3+ で黒の勝ちである。

23.Bh1

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23...Qxc5+

 4点。

24.Kg2

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24...Bh3+

 6点。ここで白が投了した。25.Kxh3 と取っても 25...Qh5+ 26.Kg2 Qxh2# で即詰みである。

診断 白のゆっくりした展開(特に11手目と12手目の手数をかけたナイトの移動)のために黒はキング翼攻撃を準備することができた。その目標は白陣の弱点のh2であった(守っていたナイトが移動したため)。15...f4 は局中で一番難しい手であったが、一部は弱点のh2を意識したことと一部は他の手では自分の弱いeポーンの守りに永久に縛り付けられることに気付いて発見できたに違いない。マスターは狭小な陣形それ自体を拒否することはない。しかし一般的には駒の損得がなくても陣形の弱点の防御に縛り付けられるよりもポーン損でも駒の働きの良い局面の方がはるかに良いと考えるものである。

2008年06月04日

あなたの棋力診断(20)

第4章 攻め方

第20局

 本局のあなたは白番で、指導パートナーはロシア人のグランドマスターのアレクサンドル・コトフである。対戦相手はバストリコフである。この試合は1954年にエレバンで開催された全ソ連選手権戦の準決勝で指された。局面図までの手順は次のとおりである。

1.d4 Nf6 2.c4 e6 3.Nc3 c5 4.d5 exd5 5.cxd5 d6 6.e4 Be7 7.Bd3 O-O 8.Nf3 Bg4 9.h3 Bh5

YRate20.JPG

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10.g4

 2点。白は中原の過半を占領しているので黒が直前の手で 9...Bxf3 を避けた誤りに乗じて堂々とこのポーンを突くことができる。10.O-O と 10.Bf4 は1点である。

10...Bg6

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11.Nd2

 2点。この手も最も厳しい継続手である。不運なビショップは白のfポーン突きでさらにいじめられることになる。状況によりこのナイトはc4の好所に行くかもしれない。ありきたりの 11.Bf4 と 11.O-O は0点である。11.Nh4? は 11...Bxe4! があるので2点減点である。

11...Nfd7

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12.f4

 1点。

12...f6

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13.O-O

 1点。13.f5?(1点減点)は陣形的に誤りで黒は 13...Ne5! でこのナイトを中原の拠点に据えることができる。13.Nf3 と 13.Nc4(どちらも1点)は適切な手である。

13...Re8

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14.b3

 この手と 14.Nc4 及び 14.Nf3 は1点である。

14...Na6

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15.Bb2

 この手と 15.Nc4 及び 15.Nf3 は1点である。

15...Nc7

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16.Qf3

 3点。これでクイーンが戦いに加われる。16.Nc4、16.Nf3、16.a4 及び 16.h4(いずれも1点)よりも想像力豊かな手である。

16...Qb8

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17.a4

 2点。他の手は黒が 17...b5 で反撃してくるので0点である。

17...a6

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18.h4

 1点。18.a5 も白の指せる手なので1点。もっとも本譜の手の後で 18...b5 は黒が1ポーン損をする。

18...h6

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19.Qh3

 3点。この手は次に 20.g5 でポーンのぶっつけとナイト当たりを見ている。

19...Nf8

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20.Rf2

 2点。この局面でも妥当な手はたくさんある。このような状況で難しいのは良いを見つけることではなくて、敵陣突破に一番効果的な最良の陣形を判断することである。20.Kh1、20.Nf3、20.f5、20.Ne2 及び 20.Rae1 も2点である。

20...b6

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21.Ne2

 2点。21.Rg2、21.Raf1、21.Re1、21.f5 及び 21.Nf3 も2点である。

21...Qc8

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22.f5

 1点。22.Rg2、22.Raf1 及び 22.Nf3 も1点である。

22...Bf7

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23.Nf3

 1点。23.Raf1、23.Rg2 及び 23.Nf4 も1点である。

23...Nh7

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24.Nf4

 1点。24.Rg2 も1点である。

24...b5

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25.a5

 3点。白は全部の駒をキング翼に向けているので反対翼では当然ながら完全に閉鎖状態を保ちたい。

25...Qb7

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26.Bc2

 1点。26.Kh1、26.Rg2 及び 26.Raf1 も1点。

26...Rec8

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27.Rg2

 1点。27.Kh1 も1点。

27...Ne8

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28.g5

 6点。ついにこの敵陣突破に乗り出す前に白があらゆる準備をしておいたことに注意しなければならない。敵の反撃の ...c4 に煩わされないようにd3にいたビショップを引いておいたのもそのためである。

28...fxg5

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29.hxg5

 1点。

29...Nxg5

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30.Nxg5

 1点。

30...Bxg5

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31.Rxg5

 3点。このルーク切りは敵陣突破の仕掛けの要である。

31...hxg5

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32.Ng6

 2点。

32...Bxg6

**********

33.fxg6

 1点。

33...Nf6

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34.Qe6+

 3点。34.Bxf6? は 34...gxf6 35.Qe6+ Kg7 で逆に白が負けるかもしれないので1点減点である。本譜の手に対して 34...Kh8 なら 35.Kg2 である。

34...Kf8

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35.Bxf6

 1点。

35...gxf6

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36.Rf1

 3点。

 黒投了。

 もう少し続ければ 36...Kg7 37.Qxf6+ Kg8 38.Qe6+ Kh8 39.Rf2 で黒は受けなしになる。

診断 引きこもった陣形をどのように攻撃したら良いかについて本局を第18局および第31局と比較してみよ。白は自分の全ての駒が最良の位置につくまで敵陣突破を仕掛けなかった。

2008年06月11日

あなたの棋力診断(21)

第4章 攻め方

第21局

 本局のあなたは白番で、指導パートナーは23歳のエセックス出身のピーター・クラークである。彼は1956年モスクワでの国際団体戦に出場し1度も負けないで英国チームのヒーローの1人となった。対戦相手はスペインの最強マスターのロマン・トランである。この試合は1956-7年のヘースティングズ大会で指された。局面図までの手順は次のとおりである。

1.e4 c5 2.Nf3 d6 3.d4 cxd4 4.Nxd4 Nf6 5.Nc3 a6 6.f4 e5 7.Nf3 Nbd7

YRate21.JPG

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8.Bc4

 2点。8.Bd3 も同じく2点。しかし 8.Be2 は1点である(8...b5 から 9...Bb7 と構えられて白のeポーンが攻撃目標になる)。8.fxe5 dxe5 は黒の黒枡ビショップを絶好のc5の地点に出させてしまうので0点である。

8...Be7

 黒は 8...Qc7 9.Qe2 b5 10.Bd5 Bb7 でd5の地点の支配を争うべきである。

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9.a4

 3点。白は作戦の一部として黒に ...b5 でクイーン翼での主導権を握らせないことである。9.O-O と 9.Qe2 は1点である。しかし 9.Be3 は黒に 9...Ng4 10.Bd2 Qb6 で引っ掻き回す手があるので0点である。

9...O-O

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10.Qe2

 3点。10.O-O(1点)はそれほどはっきりしない手である。黒から 10...exf4 11.Bxf4 Qb6+ 12.Kh1 Qxb2 とされるとポーン損の代償が明らかでない。10.fxe5(1点)は中原の争点の解消が早過ぎる。10.f5(0点)は白枡の支配を強める戦略的な目的であるが 10...Nc5 11.Qe2 Ncxe4 12.Nxe4 d5 で戦術的に反撃される。

10...b6

 この手は黒の二つ目の消極的で悪い手だった。黒は 10...exf4 11.Bxf4 Nc5 12.O-O Be6 と反撃に努めるべきであった。

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11.O-O

 2点。

11...Bb7

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12.fxe5

 3点。12.Nd5 は 12...Nxd5 13.Bxd5 Bxd5 14.fxd5 となるので0点である。d5の地点は白の役駒が占拠して役に立つのであり、ポーンでふさいでしまってはならない。12.f5(1点)は考えられる手だが白はc4のビショップの好位置を活かしてf列を開けた後黒のf7の地点を攻撃した方が良いと考えた。12.Be3(0点)は 12...Ng4 13.Bd2 exf4 14.Bxf4 Nge5 と捌かせてしまう。

12...dxe5

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13.Bg5

 3点。白はまだd5の地点を支配する観点から手を考えている。その点でこの手は 13.Be3(1点)より勝っている。13.Be3 は黒に 13...Bc5 と捌く余地を与える。13.Kh1(0点)などの他の手は黒に陣形を整える時間を与えてしまう。

13...Nh5

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14.Rad1

 5点。読みの入った手で黒陣の不安定さを見越している。この手に対して 14...Bxg5 なら 15.Nxg5 Nf4 16.Rxf4 exf4 17.Qh5 Nf6 18.Bxf7+ Kh8 19.Rxd8 Nxh5 20.Rxf8+ Rxf8 21.Bxh5 で白の駒得になる。又 14...Bxg5 15.Nxg5 Nhf6 なら 16.Rxf6 gxf6 17.Nxh7 Kxh7 18.Qh5+ Kg7 19.Qg4+ から Rd3 で白が勝つ。

 14.Bxe7 は 14...Qxe7 で ...Nf4 を狙われるので1点である。14.Be3 は 14...Bc5 でやはり ...Nf4 を狙われるので0点である。ポカの 14.h4 Ng3 は2点減点である。

14...Bc5+

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15.Kh1

 2点。15.Be3 は 15...Nf4 とされるので0点である。

15...Qc7

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16.Rxd7

 9点。この読み切りのルーク切りで白の必勝形になる。16.Nd5 は4点である。この手も陣形的にはっきり優勢になる。16.Bd5(3点)も同じである。白の他の手では黒は ...Nf4 でf列を封鎖して一息つける。

16...Qxd7

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17.Nxe5

 2点。

17...Qc7

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18.Nxf7

 2点。18.Qxh5 は 18...Qxe5 19.Rxf7 Rxf7 20.Bxf7+ Kh8 21.Bg6 h6 で決まらない。

18...g6

 即負けを逃れるにはこの手しかない。18...Nf6 は 19.Bxf6 gxf6 20.Qg4# で即詰みとなる。

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19.Nd5

 6点。すぐにf7のナイトで開きチェックをしても決まらないが、この手で黒は受け無しになる。黒は本譜の手以外は 19...Qb8 しかない。それは 20.Nf6+ Nxf6 21.Bxf6 で 22.Nh6# の狙いが受からない。例えば 21...Rxf7 なら 22.Bxf7+ Kxf7 23.Be5+、21...h5 なら 22.Ng5+ である。

19...Bxd5

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20.Bxd5

 2点。

20...Ra7

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21.Nd6+

 3点。

21.Kg7

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22.Rxf8

 3点。黒はここで投了した。22...Kxf8 と取っても 23.Qf3+ Kg7 24.Ne8+ でクイーンを取られてしまう。

診断 白は重要な列(d列とf列)を支配し、同様に重要な斜筋(a2からg8)も支配したので猛攻が可能になった。その後の手筋もこれらの開いた筋の支配によるものだった。つまりは陣形で優位を獲得すれば戦術上の成果がやってくるということである。本局の得点が悪かったら白の根本的な作戦に十分な注意を払わなかったか、あるいは後半の駒捨ての着想の効果をきちんと読まなかったからかもしれない。

2008年06月18日

あなたの棋力診断(22)

第4章 攻め方

第22局

 本局のあなたは白番で、指導パートナーは現代の最も華麗な手筋派選手の一人のアレクサンドル・トルシュである。対戦相手はアントシンである。この試合は1957年の全ソ連選手権戦で指された。局面図までの手順は次のとおりである。

1.e4 e6 2.d4 d5 3.Nc3 Bb4 4.e5 Qd7 5.a3 Bxc3+ 6.bxc3 b6 7.Qg4 f5 8.Qg3 Ba6 9.Bxa6 Nxa6

YRate22.JPG

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10.Ne2

 この手と 10.Nh3 は2点である。白のナイトは自然な拠点のf4の地点を目指す。そこからは黒の連鎖ポーンの土台に利きが及ぶ。お決まりの手の 10.Nf3 は1点のみである。無筋の悪手の 10.f4 は0点である。この手はナイトから最良の地点を奪い自分自身のビショップも閉じ込めてしまう。ビショップを動かす手や 10.a4 は0点である。今の時点ではビショップが盤のどちら側で良く働くか分からない。

10...Nb8

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11.Nf4

 1点。

11...Qf7

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12.c4

 この優れた着想は2点。この手は 12...dxc4 13.d5 exd5 14.Bb2 で2ポーンを犠牲にして猛攻をもくろむ。しかし 12.Nxe6! なら4点である。この後の主手順は 12...Qxe6 13.Qxg7 Qg6 14.Qxh8 Nd7 15.h4! O-O-O 16.h5 Qf7 17.h6 Nxh6 18.Qxd8+ Kxd8 19.Rxh6 で白の勝勢である。

12...Ne7

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13.cxd5

 1点。白の作戦はこの戦型につきものの二重ポーンの解消につながった。

13...Nxd5

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14.Ne2

 3点。14.Nxd5(1点)は 14...exd5 の後白ビショップの黒枡上の利きが通るが白のポーンは動けないままで敵陣突破も容易でない。本譜の手の後白の狙いは c4 から d5 で黒はポーンを弱体化させるはめになる。

14...b5

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15.Qb3

 この手と 15.Rb1 は2点。白はただちに弱点を突く。15.a4 も強い手で1点である。15.O-O は0点である。いずれ分かるようにb列での白の素早い行動は手筋による攻撃に都合が良い。

15...Qd7

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16.Rb1

 1点。

16...c6

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17.a4

 3点。この手は非常に強硬な手で黒は 17...b4 とはできない。それは 18.c4 bxc3e.p. 19.Qxb8+ で白の駒得になる。17.c4(3点)も同様に強い手である。

17...a6

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18.c4

 1点。

18...Nb6

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19.axb5

 この手と 19.cxb5 は1点。ポーン得自体には大して価値がない。大事なのは白ビショップが素晴らしい利き筋を得るということである。

19...axb5

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20.cxb5

 1点。

20...O-O

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21.Ba3

 3点。21.bxc6 は0点である。この手は 21...Nxc6(22.Qxb6? Rab8)で黒の展開を助けるだけである。

21...Rd8

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22.Bc5

 3点。白は1ポーン得だが黒がd5にナイトを据えることができれば白のこれ以上の進攻は難しくなる。22.Nf4 は 22...Nd5 23.Nxd5 Qxd5(...Qxb3 から ...cxb5 の狙い)24.Qxd5 Rxd5 で黒がポーンを取り返すので0点である。22.Bd6(22...cxb5 23.Qxb5?? Qxb5 24.Rxb5 Ra1+)も0点である。本譜の手に対して 22...Nd5 ならば白は 23.b6 と突いて非常に強力なパスポーンができる。また 22...cxb5 ならば 23.Bxb6 で良い。

22...Na4

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23.Bd6

 1点。

23...Ra5

**********

24.O-O

 3点。トルシュのような偉大な攻撃的選手は価値のはっきりしないポーン得よりも永続する主導権の方をよく好む。24.bxc6(3点)よりも本譜の手を選んだのはそのためである。24.Nf4? には 24...Rxb5、24.b6 には 24...Rb5 25.Qc2 Nxb6 で応えられるので共に0点である。

24...cxb5

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25.Nf4

 2点。まず黒のルークが受けに縛り付けられる。

25...Re8

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26.d5

 3点。白は攻撃のためにさらに筋をこじ開ける。26.Rfc1 も同じく3点。

26...exd5

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27.Rfc1

 この手と 27.Qxd5+ は2点。27.Nxd5 は 27...Qf7 で抵抗の余地を与える。

27...Nb6

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28.Rc7

 1点。

28...Qd8

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29.Qc3

 3点。29.Qg3(3点)も 29...N8d7 30.e6 で早く勝てる。しかし本譜の方がきれいである。

29...Ra4

(29...Nc4 なら 30.Qg3 Nd7 31.Nh5 g6 32.Rxd7! で決まる。)

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30.Rxg7+

 5点。この鮮やかなルーク切りが決め手である。30...Kh8 なら 31.e6 Qxd6(31...d4 なら 32.Be5!)32.Re7+ d4 33.Rxe8+ Kg7 34.Qg3+ で詰みになる。

30...Kxg7

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31.e6+

 1点。

31...Kh6

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32.Qh3+

 1点。

32...Kg7

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33.Be5+

 2点。

 黒投了。どう逃げても即詰みである。33...Kg8 なら 34.Qg3+ Kf8 35.Qg7#、33...Kf8 なら 34.Qh6+ Ke7 35.Qf6# である。

診断 本局の主題は白駒の機動力である。それは犠牲にしたポーンの静的なマイナスをはるかに凌いでいる。本局での成績が悪かったら戦力で優勢の時その優勢を維持しようとして消極的になりがちで、得した戦力を返して攻撃で必勝形を得るか勝勢のエンディングを得るために真剣に手段を求めようとしないことにあるのだろう。これを直すには戦力で上回っているが次第に主導権を奪われていっていると感じた時にはいつもそのような機会を見つけるように努めることが大切である。

2008年06月25日

あなたの棋力診断(23)

第5章 受けの技法

第23局

 本局のあなたは白番で、指導パートナーはドイツの最強選手の一人のロータル・シュミットである。対戦相手はバルトである。この試合は1947年にドレスデンで指された。局面図までの手順は次のとおりである。

1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5 a6 4.Ba4 Nf6 5.O-O Be7 6.Re1 b5 7.Bb3 d6 8.c3 Bg4 9.d3 O-O 10.Nbd2 d5 11.h3 Bh5

YRate23.JPG

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12.exd5

 この手と 12.g4 は2点である。12.Nf1? は0点で 12...dxe4 13.dxe4 Qxd1 14.Rxd1 Bxf3 でポーンの形が崩れるので白の展望はぱっとしない。

12...Nxd5

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13.g4

 2点。13.Nf1 は1点である。本譜の手で白はポーンを1個得することができるがその価値があることを実証するには達人級の受けが必要である。

13...Bg6

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14.Nxe5

 1点。

14...Nxe5

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15...Rxe5

 1点。

15...Nf4

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16.Ne4

 5点。全てを守ろうとする 16.Qf3 は0点である。この手は1944年のバルト対シュミット戦(同じ選手で色が逆だった)で指され以下 16...Nxd3 17.Rd5 Bd6! 18.Nf1 c6 19.Rd4 c5 20.Rd5 c4 21.Bd1 Qe7 22.Ng3 Bxg3 23.fxg3 Qe1+ となって白が投了した。

16...Nxh3+

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17.Kg2

 3点。17.Kh2 は 17...Bxe4 があるので2点減点である。17.Kh1?? は 17...Bxe4+ があるので4点減点である。

17...Bxe4+

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18.dxe4

 2点。18.Rxe4?(1点減点)は 18...Ng5 でナイトに逃げられる。

18...Bd6

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19.Rd5

 3点。19.Rf5(2点)19...g6 20.Rxf7 Rxf7 21.Bxf7+ Kxf7 22.Kxh3 よりも本譜の手の方が鋭いがこの手も手数はかかっても勝つはずである。19.Rh5? は 19...Nf4+ でナイトに逃げられ黒が有利になるので3点減点である。

19...Nxf2

 巧みな手段である。代わりに 19...Qh4 20.Qf3 Nxf2? は 21.Rh5 がある。

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20.Kxf2

 3点。これでも勝ちは動かない。しかし実戦的には 20.Qf3(6点)の方が簡明だった。この手ならさまよえるナイトが逃げられない。

20...Qh4+

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21.Ke3

 5点。白はチェックの千日手から逃れるためにはクイーン翼に逃げなければならない。

21...Rae8

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22.Qf3

 6点。22.Bd2?(0点)は 22...Qg3+ 23.Qf3 Rxe4+! 24.Kxe4 Re8+ でつぶされる。22.Kd3?(0点)も 22...Qg3+ 23.Be3 Bf4 24.Qe2 Rxe4! で同様である。

22...Qe1+

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23.Kd3

 3点。23.Qe2?(3点減点)には 23...Rxe4 がある。

23...Re7

 攻撃が続かないことを認めた手である。

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24.Rxd6

 4点。白はさらに戦力的に優位に立つ。

24...cxd6

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25.Bg5

 2点。

25...Qxa1

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26.Bxe7

 1点。

26...Rc8

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27.Qxf7+

 1点。

27...Kh8

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28.Bf8

 3点。黒投了。

診断 白が黒のポーン捨てを受け入れたのは自軍の展開に自信があったからである。しかし白キングが中央に引きずり出される変化を全て正確に読んでクイーン翼に安全地帯を見つけることができることを確認できていなかったらこれは無謀である。16、17、18、19、20及び22手目で間違えていたら、難解な局面では一般的判断に頼る必要性を減らしそれぞれの手の正確な結末を全力で読み切るように努めるべきである。

2008年07月02日

あなたの棋力診断(24)

第5章 受けの技法

第24局

 本局のあなたは黒番で、指導パートナーはサロ・フロールである。彼はその生涯において世界で最も負かし難い選手の1人である。対戦相手はチェコスロバキアのラディスラフ・アルステルである。この試合は1956年にマリアンスケ・ラズネでの大会で指された。局面図までの手順は次のとおりである。

1.e4 c5 2.Nf3 a6 3.c4 Nc6 4.d4 cxd4 5.Nxd4 Qc7 6.Nc3 e6 7.Be3 Nf6 8.a3 b6 9.Rc1 Nxd4 10.Bxd4 Bb7 11.f3 d6 12.Be2 Be7 13.O-O O-O 14.Qd2

YRate24.JPG

**********

14...Nd7

 4点。本局の白の構えも「マロツィ縛り」である(第10局を参照)。違いは黒の黒枡ビショップがフィアンケットでなくe7にいることである。しかし黒の反撃策はやはり黒枡にあり、それが黒枡ビショップ同士を交換しようとする理由である。14...Rac8 又は 14...Rfd8(どちらも2点)のようなお決まりの手では強攻策(15.g4)又はクイーン翼の圧迫(15.Qe3)の選択を白に許してしまう。

15.Rfd1

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15...Rac8

 この手と 15...Rfd8 は2点である。すぐに 15...Bf6? と指すのはdポーンを損することに気がつかなかったら5点減点である。

16.b4

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16...Qb8

 3点。16...Rfd8 は2点。白のクイーン翼の進攻は自分のポーンが立ち往生し弱体化するかもしれない危険性を抱えている。そしてこのクイーンの動きは「安定化作戦」の ...b5 の予兆である。

17.f4

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17...Bc6

 2点。同じ意図である。17...Rfd8 は1点。

18.Qd3

 この手は 18...b5 を防いでいる。そこで黒は当初の作戦に戻る。

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18...Rfd8

 2点。

19.Qh3

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19...Bf6

 2点。

20.Bxf6

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20...Nxf6

 1点。

21.Bd3

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21...Nd7

 3点。多くの選手が白の攻勢に恐怖を抱いて 21...h6(0点)のような手を指してしまいがちであるがそれは Pg4-g5 にはずみがついてしまう。同様に 21...g6(0点)も 22.g4 の後 Qh4 から Re1-e3-h3 で攻撃が順調に進む。

22.Rf1

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22...b5!

 5点。黒はすぐに反撃の糸口をつかんだ。23.cxb5 axb5 となれば黒のルークはすぐに弱いaポーンに狙いを定める。

23.e5

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23.Nf8

 3点。ここでも黒はポーンの前線を弱めないようにしている。

24.f5

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24...bxc4

 5点。ポーンが複数箇所で当たっていてどれを取ったら良いか迷うが明らかにこの手が最善である。それは他の手と比べてみると分かる。
(1)24...exf5 25.Bxf5 Rc7 26.exd6 Rxd6 27.c5 白の「弱い」クイーン翼のポーンが急に強力になる。
(2)24...dxe5 25.fxe6 fxe6 26.Rxf8+! Kxf8 27.Rf1+(27.Qxe6 は 27...Rxd3 28.Rf1+ Bf3 でだめである)27...Ke8(27...Ke7 は 28.Qh4+ Ke8 29.Qh5+ で同じになる)28.Qh5+ g6 29.Bxg6+ hxg6 30.Qxg6+ Kd7 31.Qf7+ Kd6 32.c5# で詰みになる。

25.fxe6

 25.Bxc4 は 25...Qb6+! 26.Kh1 Qd4! 27.Bd3 dxe5 で攻め足が止まる。

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25...cxd3

 1点。

26.Rxf7

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26...Re8

 3点。26...Be8? は 27.Rxf8+! Kxf8 28.Rf1+ Kg8(28...Ke7 は 29.Nd5# で詰み)29.e7 となるので2点減点である。[訳注 29...Qa7+ で黒の勝ちです。正着は先に 28.e7+ です。]

27.Rcf1

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27...Nxe6

 2点。27...Rxe6?(4点減点)は 28.Rxf8+ でだめである。

28.R1f6

 やけである。

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28...Qb6+

 3点。

29.Kh1

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29...dxe5

 2点。30.Rxe6 とくれば 30...Rxe6 31.Qxe6 Bxg2+ がある。

30.Qg4

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30...Qd4

 3点。しかし 30...Ba8(2点減点)は 31.Rxe6! でだめである。

31.Qh5

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31...Qxc3

 1点。黒の辛抱強い受けの報酬は大戦果である。

32.h3

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32...Qe1+

 1点。

33.Kh2

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33...Qe2

 1点。

34.Rxg7+

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34...Nxg7

 1点。34...Kxg7 は6点減点である。それは 35.Rf7+ で黒の大逆転負けである。

35.Qf7+

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35...Kh8

 唯一の合法手には得点はない。白は最後の方の数手は極度の時間切迫に追い込まれていたために投了が遅れた。しかし 36.Rf2 Qh5 37.Qf6 Qg6 の時投了した。

診断 受けの技法はチェスの最も難しい分野の一つである。それは守りの局面で本質的な注意力と間違いを避けることが要求されることと、経験の少ない防御者は心理的にパニックを起こし易く気落ちしたり短気を起こしたりするからである。本局の成績が悪かった人には最高の受けの達人と目されるラスカー博士の棋譜を研究することを薦める。英語版ではGilchristの本が良い。[訳注 1955-7年頃に出版された3巻本で既に絶版です。1,142局収録されていますが解説はないそうです。]

2008年07月09日

あなたの棋力診断(25)

第6章 手筋

第25局

 本局のあなたは白番で、指導パートナーはドイツのマスターのクルト・リヒターである。彼は全盛時には世界で最も恐るべき攻撃型選手の一人だった。対戦相手はフォーゲルである。この試合は1952年のベルリン選手権戦で指された。局面図までの手順は次のとおりである。

1.e4 d6 2.d4 Nf6 3.Nc3 g6 4.h4 Bg7 5.Be2 h5 6.Bg5 Nbd7 7.Nf3 c6

YRate25.JPG

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8.Qd3

 3点。攻撃的な急戦では可能な限り常に狙いを持って指すようにすべきである。ここでは白は機会があればポーンを e5-e6 と突いていく狙いを持っている。単に 8.Qd2(2点)も良い手である。

8...Ng4

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9.Nh2

 2点。9.O-O-O? は 9...Nxf2 があるので5点減点である。本譜の手で白は目障りなナイトを交換するつもりである。

9...Ndf6

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10.Nxg4

 2点。もちろん役に立っているe2のビショップでナイトを取る必要はない。

10...Nxg4

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11.f3

 1点。

11...Nf6

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12.O-O-O

 2点。この局面では全てがクイーン翼キャッスリングに適している。つまり展開の優位、中原の支配、それから黒の弱体化したキング翼である。

12...Qa5

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13.e5

 3点。白はもう戦いを始めることができる。詰みがあるので黒はe5の地点で2回交換することができない。13...dxe5 14.dxe5 Nd7 には 15.e6 がある。

14...Nd5

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14.Nxd5

 1点。白は ...Nxc3+ でクイーン翼を乱されないように積極的に指し手を進める。

14...Qxd5

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15.Qa3

 6点。本局で最も難しい手である。このクイーンはd6、e7及びa7をにらみ黒キングを中央にとどまらせる。15.c4 と 15.exd6(どちらも2点)は優勢を維持するが明快さが劣る。15.Kb1 は 15...dxe5 16.Qa3 f6 で黒が危機を脱するので2点減点である。

15...Qe6

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16.d5

 6点。これも機敏な手である。白の意図は 16...Qxe5 17.f4 Qxe2 18.Rhe1 Qxg2 19.Bxe7 で鮮やかに勝つことである。16.exd6、16.f4 及び 16.Rhe1 はあまり明快でないので2点である。

16...cxd5

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17.exd6

 2点。

17...Qxd6

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18.Rxd5

 6点。18...Qxd5 なら 19.Qxe7# で詰みになり 18...Qxa3 なら 19.Bb5+ Bd7(19...Kf8 は 20.Rd8# で詰み)20.Bxd7+ で白の駒得になる。

18...Qc7

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19.Bb5+

 4点。鋭い 19.Rd7(19...Bd7 は 20.Qxe7# で詰み、19...Qxd7 は 20.Bb5 Qxb5? 21.Qxe7# で詰み)はクイーンが取れるが少し長引くので3点である。

19...Kf8

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20.Qc5

 4点。この手は強烈である。20...Qxc5 と取ると 21.Rd8# で詰んでしまう。

20...Qa5

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21.Ba4

 5点。この手も 21.Bd3(2点)より良い。21.Bd3 に対して黒は 21...b5 22.Qxb5 Qxb5 23.Rd8+ Qe8 で詰みを防ぐことができる。しかし本譜の手ならば 21...b5 22.Qxb5 Qxb5 23.Rd8+ Qe8 24.Rxe8# で詰ませることができる。

21...Bxb2+

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22.Kxb2

 1点。

22...Qxa4

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23.Rd8+

 1点。

23...Kg7

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23.Qe5+

 1点。

 黒投了。

 白の次の手で詰む。

診断 本局の白のように展開において非常に優っているとあらゆる種類の手筋が可能になってくるのが普通である。そのような機会を逃がしたならば(白の13、16、18、19及び20手目)それは手筋を見つける力を鍛える必要があることを意味している。もし可能ならば例えば du Mont’s の「The Basis of Combination in Chess」や Reinfeld の「1001 Chess Combinations」のような手筋についての優れた本の一つで練習しなさい。そのような本で学ぶ機会がほとんどないならば自分の実戦で手を指す前に盤面を見渡して相手のキングの状態や離れ駒に対して手筋を使う機会がないか必ず確認するようにしなさい。

2008年07月16日

あなたの棋力診断(26)

第6章 手筋

第26局

 本局のあなたは黒番で、指導パートナーはユーゴスラビアのストヤン・プツである。対戦相手は東ドイツのボルフガング・ウールマンである。この試合は1956年ポーランドのクリニカで開催された国際大会で指された。局面図までの手順は次のとおりである。

1.d4 Nf6 2.c4 e6 3.Nc3 Bb4 4.e3 c6 5.Bd3 d6 6.Nge2 e5 7.O-O O-O 8.a3 Ba5 9.Qc2 Re8 10.b4 Bc7 11.Bb2 Nbd7 12.Ng3

YRate26.JPG

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12...g6

 1点。黒のここまでの手順は既にゆっくりした駒捌きの戦略をとるつもりであることを示している。即ち白がどのように局面を開放的にしようとしても黒はそれに取り合わずに自分の駒を活動的な位置に配置することを目指している。12...Nf8(1点)も可能である。これに対して 13.Nf5 なら 13...g6 14.Nh6+ Kg7 でまだ脅威とはならない。

13.Rae1

**********

13...Qe7

 2点。前の手はこの手を指すためだった。しかし13...Nf8(2点)でも構わない。

14.Re2

**********

14...h5

 2点。中原は事実上ふさがっているので側面で行動を起こすのは非常に理にかなっている。14...Nf8 は1点である。この手は本譜の手ほど芳しくはないがそれでも良い手である。

15.f3

**********

15...Nf8

 1点。

16.d5

 白はやっと中原で動き出そうとする。しかしここで黒の残りの小駒が良い働き場所を得ることができる。

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16...cxd5

 2点。しかし 16...Bd7 は0点である。この手に対して白は 17.Nge4 Nxe4 18.fxe4 の後 b5 でd5の地点を自分の拠点とすることができる。

17.cxd5

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17...Bd7

 1点。17...Bb6 は 18.Na4 とされるので0点である。

18.Qb3

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18...Bb6

 この手と 18...Rac8 は1点。

19.Rc1

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19...h4

 2点。白ルークがf1にいる間はこの手はかなり疑問だった(Nge4 Nxe4; fxe4 で白がf列を支配する)。しかし今なら 20.Nge4 Nxe4 21.fxe4 f5 から ...f4 の狙いがある。(本筋の 19...Rac8 は1点。)

20.Nf1

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20...Nh5

 2点。狙いは 21...Nf4 である。

21.Kh1

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21...Rac8

 1点。21...f5 も黒の指せる手で1点。

22.Na4

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22...Bxa4

 2点。この手は 22...Bd8 よりも良い。22...Bd8(22...Bc7 なら 23.Rec2)の後は 23.Rxc8 Bxc8 24.b5 で白が反撃してくる。22...f5 は 23.Nxb6 axb6 24.Rec2 で白がc列から侵入できるの2点減点である。

23.Qxa4

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23...Qg5

 この手と 23...f5 は2点。

24.Rc4

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24...f5

 1点。

25.Qc2

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25...Rxc4

 2点。白が実際にc列で脅威を仕掛けてくるまで黒は賢明にこの交換を遅らせていた。

26.Qxc4

**********

26...f4

 1点。この手は見かけは強そうだが見落としが含まれていた。26...Re7 なら3点である。この手の後白は ...Rh7、...f4、...Ng3+ の手筋の狙いに適切な受けを見つけるのが困難である。

27.exf4

**********

27...Nxf4

 1点。27...Qxf4?(1点減点)には 28.Re4 がある。

28.Bc1

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28...h3

 この手を選んだら2点減点である。この手は駒損になり試合にも負けてしまう。28...Re7 なら2点である。eポーンを釘付けから外すのが依然として最善である。

29.g3

**********

29...Qh5

 1点。

30.g4

**********

30...Qh4

 この手と 30...Qg5 は1点である。

31.Bxf4

**********

31...Qf6

 1点。

32.g5

 正着の 32.Nd2 の後白は駒得を生かして楽に勝つはずである。

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32...Qf7

 2点。eポーンを釘付けから外した。

32.Qe4

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33...exf4

 4点。黒は前の攻撃の誤りを帳消しにする鮮やかな手筋を開始する。

34.Qxe8

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34...Qxd5

 1点。白は攻撃されているg5、f3、d3の全てを同時に守ることができない。

35.Bc4

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35...Qxc4

 1点。

36.Qe4

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36...Qb5

 3点。またも落ち着いた戦闘休止である。再び 37...Qxg5 を狙っている。

37.a4

 37.Qe7 なら 37...Be3 である。

**********

37...Qxg5

 1点。

38.Ne3

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38...Bxe3

 1点。

39.Qb1

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39...d5

 2点。戦力に勝る黒は最も単純なやり方で勝敗を決することができる。

40.Qf1

**********

40...d4

 1点。

41.Re1

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41...Qg2+

 1点。

42.Qxg2

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42...hxg2+

 1点。

43.Kxg2

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43...d3

 1点。

 白投了。...d2 の後ナイトがc3の地点に来るのを白は防げない。

診断 中盤戦の最初では中原が閉鎖状態だったので黒は難解なキング翼攻撃(19手目と20手目)を交えた長い駒繰りを行なうことができた。そのような攻撃は白が中原で反撃可能ならば行なえなかった(訳注 中原が閉鎖状態だったので中原で反撃できなかったという意味)。以降の局面では両者に悪手があり、平均的なクラブ選手が皆犯す誤りが2点浮かび上がっている。一つ目は1、2分でも盤面を見渡して自分のこれから指す手に戦術的な欠陥がないかどうか確認を行なっていたら黒の28手目のポカはきっと起こらなかっただろう。二つ目は32、33手目の激しい局面の転換は勝敗が決するまでは決してまだ負けではないというということを改めて教えている。敗勢の側にも反撃の手はまだ残されている。不利な状況のために気落ちしている選手はそのためにもはや客観的に盤面を見ないので反撃策に気付かない。黒の最後の手筋は複雑に見えるかもしれないがその段階の得点が低かったらその部分を並べ返して白の長い斜筋とg1での詰みが思い描ければその手筋の着想は実に易しいことが分かるだろう。

2008年07月23日

あなたの棋力診断(27)

第6章 手筋

第27局

 本局のあなたは黒番で、指導パートナーはリガのタリである。タリは世界最強の若い攻撃的選手の一人である。対戦相手はポーランドのシュクシュタである。この試合は1956年スウェーデンのウプサラで指された。局面図までの手順は次のとおりである。

1.d4 Nf6 2.c4 g6 3.Nc3 Bg7 4.e4 d6 5.f3 O-O 6.Be3 e5 7.Nge2 c6 8.Qb3

YRate27.JPG

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8...exd4

 5点。黒は白がキャッスリングの機会を得る前に中原を開放するようにしなければならない。代わりに 8...Nbd7(1点)は9.O-O-O exd4 10.Nxd4 Nc5 11.Qa3 で白のd列の圧力が非常に強くなる。8...Qb6? は 9.Qxb6 axb6 10.dxe5 でポーン損になるので2点減点である。8...Re8(1点)は 9.O-O-O でやはり白にクイーン翼での作戦の機会を与える。

9.Nxd4

**********

9...d5

 6点。このポーンの犠牲は白のビショップが開いたe列にいるので十分成立する。9...Re8 と 9...Nbd7(どちらも1点)はここでも 10.O-O-O で応じられる。

10.cxd5

**********

10...cxd5

 1点。

11.exd5

**********

11...Nc6

 3点。黒の想像力溢れる華々しい駒捨ての手筋が始まる。しかし手順を変えた 11...Re8(7点)の方が14手目の同じ局面に至る正しい手段だった。本譜の手に対して白が 12.Nxc6 と応じれば 12...bxc6 13.dxc6 Re8 14.Kf2 Rxe3! 15.Kxe3 Bh6+! 16.f4 Qe7+ 17.Kf2(17.Kd3 なら 17...Bf5+ で猛攻を受ける)17...Ng4+ で黒が勝つ。

12.dxc6

**********

12...Re8

 2点。

13.Kf2

 黒の読み筋にはまった。白は 13.O-O-O! で黒の手順前後を咎めることができた。

**********

13...Rxe3

 4点。これで全て順調である。14.Kxe3 と取れば 14...Bh6+ 15.f4 Ng4+ 16.Ke4 Nf2+ 17.Ke3 Bxf4+ 18.Kxf4 Qxd4+ 19.Kf3 Bg4+ 20.Kg3 Qe3+ 21.Kh4 g5# で詰みになる。

14.Rd1

 15.Kxe3 と 15.cxb7 の両方の狙いがあるので白の攻撃を完全にかわしたように見える。

**********

14...Ng4+

 6点。

15.fxg4

**********

15...Bxd4

 1点。

16.Rxd4

**********

16...Qxd4

 1点。

17.Qd5

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17...Re2+

 7点。黒は一連の手筋を始める前にこの鮮やかな決め手を読んでいたに違いない。

18.Kxe2

**********

18...Bxg4+

 2点。

19.Ke1

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19.Re8+

 3点。

20.Be2

**********

20...Rxe2+

 5点。

 白投了。

 この短手数の傑作は開いた列と斜筋の価値を何よりも良く見せ付けている。黒のビショップと大駒の入れ替わりの攻撃は戦力の劣勢を完全に凌いでいた。この試合は両者とも全手を持ち時間5分以内で指すブリッツ戦だからなおさら驚きである。黒は実際は全ての手をほとんど即座に指していた。

診断 黒の一連の見事な手筋は二つの要因に基づいている。それは白キングがキャッスリングしていないことと中央付近の白の小駒が浮き駒となっていることである。もし手筋のいくつかに気が付かなかったならばもう一度並べ返し重要な局面にさしかかるたびに詰みや駒得の手筋をあらかじめ読むように努めるとよい。

2008年07月30日

あなたの棋力診断(28)

第6章 手筋

第28局

 本局のあなたは黒番で、指導パートナーはハンガリーのカプである。対戦相手はエネイである。この試合は1953年にブダペストで指された。局面図までの手順は次のとおりである。

1.e4 c5 2.Nf3 Nc6 3.d4 cxd4 4.Nxd4 Qc7 5.Nc3 e6 6.g3 a6 7.Bg2 Nf6 8.Nde2 Be7 9.O-O h5! 10.Bg5 b5 11.a4 b4 12.Nb1 a5 13.Nd2

YRate28.JPG

**********

13...Ba6

 2点。黒がここで仕掛けているような攻撃-キングを原位置に置いたまま両翼で行なう攻撃-は比較的珍しく普通は危険である。この局面では二つの点から許される。第一点は白の小駒(特に二つのナイト)が守勢であることで第二点は中央に白が占拠できる拠点がないことである。そしてこれは一部は第二点の結果なのだが中央部の黒のポーンが数で勝り黒キングがハリネズミ囲いの中にいる。両翼でポーンを突いてしまっているのでこの段階では黒がキャッスリングできないことは明らかである。だから黒としては攻撃あるのみである。白は自分のことで頭が一杯に違いないので白から攻撃してくることはあり得ない。

14.Nb3

**********

14...h4

 3点。これは正確な読みに裏付けられている。15.Bxh4 ならば 15...Rxh4! 16.gxh4 Ng4 17.f4 Ne3 で交換損を取り戻せる。また 15.gxh4 ならば 15...Ng4 16.Bf4 Bxe2 17.Bxc7 Bxd1 18.Rfxd1 Rxh4 で反撃が有望である。

15.Bf4

**********

15...Ne5

 2点。この手は明らかに他の候補手よりも勝る。15...Qb7 には 16.Bd6[訳注 16...Bxe2 があるので正着は多分 16.e5 です]があり 15...e5 には 16.Bg5 としておいて白はナイトをd5又はf5に据えることを狙うことができる。15...d6 には 16.e5[訳注 ここも素直に 16...dxe5 と取られて白が良くないようです]と突かれる。

16.Re1

**********

16...hxg3

 1点。

17.hxg3

**********

17...Nh5

 1点。これですぐに釘付けが解消され攻撃が続く。

18.Bc1

**********

18...Ng4

 2点。黒は既に白キングに対する手筋の当然の狙いどころのf2、g3及びh2に目を付けている。18...g5(2点)も良い攻撃手段である。

19.Nf4

**********

19...Nxf4

 1点。g5のナイトの当たりを放置した手は3点減点である。

20.Bxf4

**********

20...Ne5

 1点。

21.Nd4

**********

21...g5

 3点。17手目と「呼応」した面白い手である。再び釘付けが緩和されそれと同時に攻撃が厳しくなる。

22.Bc1

**********

22...Rc8

 2点。攻撃の最中にこのような正確な手が必要であることに全ての選手が気付くわけではない。白は Nb5 の後で f4 から e5 とポーンを突くという作戦を妨げられている。

23.b3

**********

23...f6

 3点。黒は最終的な攻撃のためにルークを結合させる準備をした。23...g4 と 23...Bc5 24.Nb5 はそれほと明快でないので共に1点である。

24.Be3

**********

24...Kf7

 1点。

25.Rc1

**********

25...Rh7

 2点。25...Rh6 は1点。

26.Nb5

 やっとこの手が可能になったが時既に遅しである。

**********

26...Qb8

 2点。クイーンを他の地点に引く手は白が Nd6+ と指せるので0点である。

27.Qe2

**********

27...Rch8

 1点。

28.Red1

**********

28...Bb7

 2点。対角斜筋で白にトラブルを生じさせる。この手は 28...g4 よりも確実である。28...g4 は ...Nf3+ からポーンを犠牲にする意図だが白には 29.Bf4 という応手がありいずれにせよナイトが動くとdポーンが浮いてしまう。

29.Ba7

**********

29...Qa8

 3点。29...Qf8(1点)からh6へ行くのも良い手である。

30.Bd4

**********

30...Rh1+

 5点。この鮮やかな手筋でたちまち勝負が決まる。

31.Bxh1

**********

31...Rxh1+

 1点。

32.Kxh1

**********

32...Bxe4+

 1点。

33.Kg1

**********

33...Bf3

 3点。この手が決め手である。

34.Nc7

**********

34...Qh8

 1点。

35.Qxf3

**********

35...Nxf3+

 1点。

36.Kg2

**********

36...g4

 1点。駒数が少なくなっても詰み狙いの攻撃は続く。

37.Rh1

**********

37...Qc8

 この手と 37...Qb8 は2点。黒は少なくとも1役駒が取れる。38.Bb6 とくれば 38...Qb7 39.Bxa5 Nh4+ だし 38.Nb5 と逃げれば 38...Qb7 39.Kf1 Nxd4 である。

38.Rh7+

**********

38...Kg6

 1点。

39.Rch1

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39...Qxc7

 1点。

40.R1h6+

**********

40...Kf5

 1点。

 白投了。

診断 黒の指し手は全体としてh列から突破を図るという作戦を中心に回転していた。本局の成績が悪かったら自分の指し手が黒の構想と整合性が取れていたかをチェックしてみるのがよい。

2008年08月06日

あなたの棋力診断(29)

第6章 手筋

第29局

 本局のあなたは白番で、指導パートナーは本書の著者である。対戦相手はワイズである。この試合は1956年にトウィッカナムで指された。局面図までの手順は次のとおりである。

1.Nf3 Nc6 2.e4 Nf6 3.e5 Nd5 4.c4 Nb6 5.d4 d6 6.e6! fxe6 (6...Bxe6 7.d5) 7.Bd3 g6

YRate29.JPG

**********

8.Ng5

 3点。白の 6.e6 はギャンビットで乱戦に導く意図だった。8.Be3(0点)で穏やかな陣形戦に戻そうとするのは 8...Bg7 9.O-O e5 で黒に中原で絶好の反撃の機会を与えてしまう。

8...Nxd4

**********

9.Nxh7!

 3点。9...Rxh7 なら 10.Bxg6+ である。

9...Nf5

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10.Nxf8

 1点。

10...Rxf8

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11.Bg5

 3点。明らかに白の当面の攻撃目標は弱いgポーンである。そのために白は強硬な応手の ...Nh4 を許さないようにして g4 を狙う。同様の考えの 11.h4(1点)も可能だがギャンビットの序盤では白は素早く展開しなければならない。

11...Bd7

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12.g4

 1点。

12...Bc6

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13.Rg1

 この手と、同じくらい良い手の 13.Rf1 は1点。

13...Ng7

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14.Bxg6+

 1点。

14...Kd7

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15.Nd2

 2点。これも明らかに最善手である。cポーンを守っているし 15.Qd4 e5 と 15.c5 Nd5 ははっきりしない。

15...Rg8

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16.h4

 3点。この手はg列にいる奇妙なほど強力なビショップを守り同時に白クイーンを自由にして状況によってe2又はc2に行けるようにしている。突き進んだhポーンはすぐに黒の脅威になるという効果もある。

16...Ne8

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17.Qc2

 1点。前の解説で触れたように 17.h5(3点)の方が 18.Qe2 から 19.Bf7 の狙いを含んでいて融通性がある。

17...Nf6

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18.O-O-O

 2点。

18...Qf8

**********

19.f4

 この手と 19.Rde1 及び 19.h5 は2点である。

19...a5

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20.Rde1

 この手と 20.h5 は2点である。本譜の手で黒のeポーンが攻撃目標となった。

20...a4

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21.h5

 3点。この手の狙いは 22.Rxe6! Kxe6 23.Qf5# である。すぐに 21.Rxe6 は 21...Rxg6! があるので2点減点である[訳注 22.Qf5 で白の勝勢です]。

21...Ra5

 白の狙いを防ぐと共に同じ列にいる白のキングとクイーンに対しての反撃を策している。

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22.Kb1

 1点。

22...Rc5

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23.Bh4

 5点。この手は黒の前手を咎めようという手である。しかし黒はそれに気付かず喜んで次の手を指した。

23...Bd5

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24.Bf2

 1点。

24...Nxc4

 24...Rc6 なら 25.Bxb6 cxb6 26.Qxa4 である。

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25.Bxc5

 1点。

25...Nxd2+

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26.Qxd2

 1点。

26...dxc5

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27.g5

 2点。

27...Ne8

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28.f5

 2点。黒陣が完全に崩される。

28...Nd6

**********

29.Rgf1

 2点。黒はまだfポーンを取ることができない。

29...Qa8

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30.Bf7

 3点。黒はさらに駒損を強いられる。

30...Rf8

**********

31.fxe6+

 この手と 31.Bxe6 は1点。

31...Kc6

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32.g6

 1点。試合はここから急速に大虐殺になっていった。以降の手順は 32...a3 33.b3 c4 34.Re5 Be4+ 35.Rxe4 Nxe4 36.Qd7+ Kb6 37.Qd4+ c5 38.Qxe4 cxb3 39.Rf3 bxa2+ 40.Kxa2 Rd8 41.Rb3+ Ka7 42.Qxb7+ Qxb7 43.Rxb7+ Kxb7 44.g7 で黒が投了した。

診断 本局は小さな手筋が連続して現れる。もし成績が悪かったら自分の試合で簡単な手筋が存在しないかもっと注意すべきである。それから駒を捨てて勝負を決める局面を勉強するのも役に立つ。私は「Evening Standard」紙の連載コラムで毎週2題問題を出している。

2008年08月13日

あなたの棋力診断(30)

第6章 手筋

第30局

 本局のあなたは黒番で、指導パートナーは1957年全ソ連選手権者のミハイル・タリである。対戦相手はグルゲニゼである。本局はその大会での両者の試合である。局面図までの手順は次のとおりである。

1.d4 Nf6 2.c4 c5 3.d5 e6 4.Nc3 exd5 5.cxd5 d6 6.Nf3 g6 7.e4 Bg7 8.Be2 O-O 9.O-O Re8 10.Nd2

YRate30.JPG

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10...Na6

 2点。黒の作戦は対角斜筋での黒枡ビショップの活動とクイーン翼ポーンの前進を絡めることである。この目的のためにはb8のナイトはc7に行くのが最良である。10...Nbd7(1点)はe5の好所からいつでも白の f4 によって追い払われるので本譜の手より劣る。

11.Re1

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11...Nc7

 1点。

12.a4

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12...b6

 2点。この手と 12...Rb8(2点)は ...a6 から ...b5 と突くために必要な手である。すぐに 12...a6(0点)と突くと強く 13.a5 と突かれ場合によっては Na4-b6 という手が生じる。

13.Qc2

**********

13...Ng4

 4点。黒の採用した攻撃的な布局の別の特徴は黒がしばしば両翼で攻撃ができるということである。客観的にはこの手は 13...a6 や 13...Rb8(どちらも3点)よりも強い手ではない。しかしこの手には奥の深い鮮やかな罠が仕掛けられていて、白は見事にそれにはまった。

14.h3

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14...Nxf2

 6点。黒はこの好手を手始めに鮮やかな手筋を次々と決めていく。

15.Kxf2

**********

15...Qh4+

 この手と 15...Bd4+ は2点。

16.Kf1

**********

16...Bd4

 1点。

17.Nd1

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17...Qxh3

 6点。これが黒の一連の手筋の核心だった。もちろん 18.gxh3 は 18...Bxh3# で詰んでしまう。本譜の手の後黒キングは安全な場所を見つけることができない。17...Bxh3? は 18.Nf3 で敗勢になるので2点減点である[訳注 18...Qg3 で黒の勝勢です]。

18.Bf3

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18...Qh2

 3点。狙いは 19...Nxd5 20.exd5? Qg1# である。

19.Ne3

**********

19...f5

 4点。この手は 19...Ba6+ 20.Ndc4 f5 21.exf5 よりも分かり易い。本譜の手で黒は攻撃のために全ての筋を開通させる。

20.Ndc4

**********

20...fxe4

 1点。

21.Bxe4

**********

21...Ba6

 2点。この手により白の駒が全て絞殺される。

22.Bf3

**********

22...Re5

 3点。この手は白のdポーンを狙うと共にルークを重ねる準備である。

23.Ra3

**********

23...Rae8

 1点。

24.Bd2

**********

24...Nxd5

 5点。白がナイトで取れば18手目の解説と同じ詰みが待っている。25.Bxd5+ Rxd5 26.Nxd5? も 26...Qg1# で詰む。

25.Bxd5+

**********

25...Rxd5

 1点。

26.Ke2

**********

26...Bxe3

 4点。この手が決め手である。27.Bxe3 ならば 28...Qxg2# で詰んでしまう。

27.Rxe3

**********

27...Bxc4+

 2点。

 白投了。28.Qxc4 と取っても 28...Qxg2+ で次の手で詰む。

診断 この攻撃が印象付ける「流れるような」美しさは黒が一連の短い手筋を熟知していたことによる。当初のナイト切りに気付いたかどうかは手筋の直感力の試験である。それ以外の手の成績が悪かったら自分の試合でも多くの手筋の機会を見逃していることを示している。

2008年08月20日

あなたの棋力診断(31)

第7章 封じ込めの技術

第31局

 本局のあなたは白番で、指導パートナーはサロ・フロールである。対戦相手はフリドマンである。本局は1934年にウーイペシュトで指された。局面図までの手順は次のとおりである。

1.d4 Nf6 2.Nf3 e6 3.e3 b6 4.Bd3 Bb7 5.Nbd2 c5 6.O-O Be7 7.c4 O-O 8.b3 d6 9.Bb2 Nbd7 10.Qe2 Qc7 11.e4 e5 12.d5 Nh5 13.g3 g6

YRate31.JPG

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14.Ne1

 2点。本局のように完全に閉鎖的な局面では陣地の広い側の正しい方針は広さによる優位をできるだけ拡大させることである。そうなれば狭い側は駒の動きが不自由なのでいずれ広い側はかなり駒を犠牲にしても敵陣をつぶすことが可能になってくる。この局面での白の最初の明白な目標はf列を支配下に治めることである。

14...Rac8

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15.Ng2

 この手と 15.f4 は1点。

15...f6

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16.Rae1

 この手と 16.f4 は1点。

16...Rf7

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17.f4

 1点。

17...Ng7

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18.f5

 2点。白は 18.Rf3(2点)、Raf1、R1f2 から Qf1 でf列に大駒を三つ重ねることもできた。しかし黒の直前の3手は ...Rcf8、...Qd8、...Qe8 で対抗する用意のあることを示していてそうなれば持ちこたえられる。

18...Rcd8

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19.Bc1

 この手と 19.h4、19.Rf3 及び 19.Rf2 は1点である。白は駒を全てキング翼に集中させて、手数がかかり根気の要る包囲作戦を準備している。ここからの黒の手の意図を考える必要はない。なぜなら白の作戦の内容が明らかになるまで黒はほとんど何もすることができないからである。

19...Ne8

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20.Rf2

 この手と 20.Rf3 及び 20.h4 は1点。

20...Bf8

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21.Nf1

 この手と 21.h4 は1点。

21...g5

**********

22.h4

 1点。

22...h6

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23.Nge3

 3点。ここからが第2段階である。白の侵略がh列で行なわれることは明らかである。そのために白は開戦の前にこの列に大駒を三つ重ねる準備をする。これはこのような局面では不変の戦略であることに注意されたい。今または大駒を三つ重ねる前にポーンを交換(2点減点)してしまっては黒がh列で使える枡が増え自分の大駒で対抗できるようになってしまう。

23...Rh7

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24.Rh2

 1点。

24...Bg7

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25.Qd1

 4点。意味が分からない?この手の意味を説明するとここから先の指し手も分かってしまう!

25...Nf8

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26.Be2

 2点。

26...Bc8

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27.Nd2

 1点。

27...Qe7

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28.Kg2

 1点。

28...Nc7

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29.Bh5

 2点。これが白の25手目と26手目の意図である。ビショップをg6の地点に潜り込ませることにより、黒が自分の働きの良い白枡ビショップと交換しなければh列からの白の侵入に対してまともに抵抗できなくさせる。白の27手目と28手目はh列を占拠するための準備の一部だった。この2手はもっと前に指しても良いので白の25手目と26手目でこれらの手を選択していたらそれぞれの点が与えられる。

29...Bd7

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30.Bg6

 1点。

30...Rh8

**********

31.Reh1

 2点。

31...Be8

**********

32.Bxe8

 1点。

32...Nxe8

**********

33.Nf3

 1点。

33...Rh7

**********

34.Rh3

 3点。前の手でこの手を選んでいたら1点。

34...Rd7

**********

35.R1h2

 1点。

35...Qd8

**********

36.Qh1

 1点。

36...Bh8

**********

37.hxg5

 2点。

37...hxg5

**********

38.Ng4

 1点。白の狂いのない戦略は最も良いタイミングでh列を開き小駒も攻撃に最も参加し易い地点に配備された。前の手で 37.Ng4?? を選択していたら3点減点である。それに対して黒は単に 37...h5 から 38...g4 と指してくる。[訳注 38.Nh6+ Rxh6 39.hxg5 fxg5 40.Bxg5 で白の勝勢です。]

38...Rxh3

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39.Rxh3

 1点。

39...Nh7

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40.Rh6

 1点。開いた列を独占的に占拠した論理的な帰結がこの黒の防御陣への侵入である。

40...a6

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41.Qh5

 2点。

41...b5

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42.Bxg5

 4点。このような局面での典型的な駒捨てである。黒の小駒は押し合いへし合いしていてまともに組織立った抵抗をすることができない。

42...fxg5

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43.Nxg5

 1点。

43...Ng7

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44.Rg6

 2点。

44...Nxg5

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45.Rxg5

 1点。

 黒投了。白の 46.f6 から 47.f7+(47...Rxf7 48.Nh6+)という狙いに対して黒は適当な受けがない。

診断 第18局(ペルシッツ対ガリュラ戦)のように本局も相手が永久に閉じ込められている閉鎖局面の対処の仕方を示している。本局で早めに開戦する手を選んでいたらフロールがどのように組織的に準備を行なったか、そして自分の駒が戦闘の舞台に近寄りさらに黒キングの周囲が白枡ビショップの交換で手薄になるまで最終的な駒捨ての攻撃を始めなかったかに注意しなければならない。

2008年08月27日

あなたの棋力診断(32)

第8章 収局

第32局

 本局のあなたは黒番で、指導パートナーは世界選手権候補のパウル・ケレスである。対戦相手はイギリスのベテラン・マスターのサージャントである。本局は1939年にマーゲートで指された。局面図までの手順は次のとおりである。

1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5 a6 4.Ba4 Nf6 5.O-O d6 6.Re1 Bd7 7.c3 Be7 8.d4 O-O 9.Nbd2 Re8 10.h3(消極的。10.Bb3 の方が良い。)10...Bf8 11.Bc2 g6 12.Nf1 Bg7 13.Ng3 Qe7 14.Be3 Rad8 15.d5 Nb8 16.Qd2 Rc8 17.Red1 Qf8 18.Nh2 Kh8 19.Rf1 Bb5 20.Bd3 Bxd3 21.Qxd3 Ng8 22.f4?(黒がe5の地点を捌きの足場として用いることができるようになる。)22...exf4 23.Bxf4 Nd7 24.Nf3 h6 25.Rae1 Qe7 26.Be3 Ne5 27.Nxe5 Bxe5 28.Bd4 Rf8 29.Qf3 Rce8 30.Ne2 Kg7 31.Bxe5+ Qxe5 32.Nf4 Nf6 33.Nd3 Qg5 34.Kh2 Nd7 35.g3 Ne5 36.Nxe5 Rxe5 37.Qf4 Qe7 38.g4 h5 39.c4 Qh4 40.Re3 hxg4 41.Qxg4 Rh8 42.Ref3 Re7 43.Kg2 Rh5 44.Qxh4 Rxh4 45.Rf4 Rxf4 46.Rxf4

YRate32.JPG

**********

46...g5

 3点。白は複数の弱点即ちe5の地点、eポーン及びhポーンを抱えているのでこの収局は黒が有利である。しかし黒もfポーンをキングとルークで守らなければならないので多くの技術的な困難を抱えている。また黒キングが黒枡を通って侵入するという自然な勝ち方も白ルークのにらみでe5の地点にたどり着けないのでだめである。そこで駒配置を改善する第一段階として黒は白の弱い二つのポーンを攻撃する位置にルークを移動させる。

47.Rg4

**********

47...Kg6!

 3点。正確な読みである。白は 48.h4 で弱いhポーンを解消することができない。なぜなら 48...Kh5 49.Rxg5+(49.Kg3 なら 49...Re5!、49.Kh3 なら 49...gxh4 50.Rxh4+ Kg5 の後 ...Kf6-e5)49...Kxh4 50.Rg7 Rxe4 51.Rxf7 Rxc4 となるからである。

48.Kf3

**********

48...f6

 2点。ここで白はhポーンを消すことができるがそれには黒ルークの侵入を許すという代償を払わなければならない。具体的には 49.h4 Kh5 50.hxg5 fxg5(黒の狙いは 50...Rf7+)51.Rg2 Rf7+ 52.Ke2 Rf4 53.Ke3 Rf1 である。48...Kh5 は黒ルークがfポーンの守りに縛り付けられて何も進展が図れないので0点である。

49.Rg2

**********

49...Rh7

 2点。

50.Kg3

**********

50...Rh4

 2点。これで黒の作戦は完了した。

51.Re2

**********

51...Rf4

 2点。次の作戦として黒はルークの侵入を開始する。

52.b4

**********

52...Rf1

 1点。

53.Rc2

**********

53...Rb1

 2点。当然 54.c5 からの反撃は許さない。

54.b5

**********

54...a5

 1点。黒としてはポーン構造がしっかり固定されて大満足である。静的な弱点は最も攻撃し易い。こうなっては白の連鎖ポーンのどの一つも動けるようになる希望がない。54...axb5 はポカで 55.cxb5 Rxb5 56.Rxc7 で白が引き分けにできるので3点減点である。

55.Kg4

**********

55...b6

 1点。これで連鎖ポーンは完全に動けなくなった。

56.Kg3

**********

56...Rd1

 2点。この局面の特徴は活発なルーク対受身のルークの対峙である。前者は絶えず狙いを作り出すことができこの局面では 57...Rd3+ の後 ...Re3 又は ...Rxh3 でポーンを得する。

57.Rc3

**********

57...Rd2

 2点。

58.a3

**********

58...a4

 3点。これにも狙いがある。それは ...Rb2-b3 である。

59.h4

**********

59...Re2

 4点。59...Rb2(2点)でも勝つはずだが白にも次のようにわずかな希望が出てくる。60.Kg4 Rb3 61.h5+ Kh6 62.Rc2 Rxa3 63.Rf2 Kg7 64.h6+ 本譜の手の方がはるかに簡明である。

60.hxg5

**********

60...Kxg5

 2点。60...fxg5 は次のような変化があるので0点である。61.Kf3 Rh2 62.Kg4 Rb2 63.e5! dxe5 64.c5! Rxb5? 65.d6 cxd6 66.c6

61.Kf3

**********

61...Rh2

 2点。

62.Ke3

 62.Kg3 なら 62...Rb2 である。

**********

62...Rh3+

 1点。

63.Kd4

**********

63...Rxc3

 1点。

64.Kxc3

**********

64...Kg4

 2点。64...Kf4(3点減点)は失敗で 65.Kd4 で見合いを取られて引き分けにされてしまう。[訳注 例えば 65...Kg4 66.Kc3 Kg3 で白が勝つようです。]

65.Kd4

**********

65...Kf4

 1点。

66.Kd3

**********

66...Kf3

 1点。

67.Kd4

**********

67...Ke2

 2点。

68.Kc3

**********

68...Ke3

 1点。

69.Kb4

**********

69...Kxe4

 1点。弱いポーン(22手目でできた)がようやく落ちた。

70.Kxa4

**********

70...f5

 1点。

71.Kb3

**********

71...Kd3

 4点。これで白キングは黒ポーンに近づけない。

72.a4

**********

72...f4

 1点。白投了。以下の想定手順は 73.a5 f3 74.a6 f2 75.a7 f1=Q 76.a8=Q Qb1+ 77.Ka3 Qa1+ である。

診断 お互いにポーンのあるルーク・エンディングにおける最も大切な原則は自分のルークを活動的にしておくということである。本局でどのようにケレスが侵入させたルークで敵に弱いポーンを守らせその結果白ルークを全く受け駒にさせてしまったかに注意されたい。黒の46、50、52及び54手目で間違えたらこの原則に習熟していないことになる。Reinfeldの「Practical Endgame Play」に「ルーク+ポーン」エンディングについて良く書かれた章がある。それからほとんどの実戦集にはルービンシュタインの著名な「ルーク+ポーン」エンディングが含まれている。本書の第33局(ウェード対チェルニアク)も研究すると良い。

2008年09月03日

あなたの棋力診断(33)

第8章 収局

第33局

 本局のあなたは白番で、指導パートナーは元英国選手権者のボブ・ウェードである。対戦相手はイスラエル選手権者のミゲル・チェルニアクである。本局は1950年にベニスでの大会で指された。局面図までの手順は次のとおりである。

1.e4 g6 2.d4 Bg7 3.g3 d6 4.Bg2 Nf6 5.Ne2 O-O 6.O-O e5 7.c3 Nc6 8.Nd2 Nh5 9.Nc4 f5? 10.exf5 gxf5 11.dxe5 dxe5 12.Qxd8 Nxd8(黒は序盤に問題があり弱いポーンを恒久的に抱えることになった。)

YRate33.JPG

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13.Bf3

 2点。この手はクイーン交換の時からの読み筋である。対して 13...Nf6 ならば 14.Nxe5 とポーンが取れる。

13...Be6

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14.Nxe5

 3点。この周知の「突撃」作戦はここでは特に有効である。14.Bxh5 Bxc4 と 14.Ne3 Nf6(どちらも0点)はどちらかというと黒の小駒の方が好形になる。

14...Nxg3

**********

15.hxg3

 1点。ここでも正着はこの手だけである。ルークが当たりになっているので「突撃」はこれ以上続けられない。15.Nxg3 は不必要にポーンを分離させてしまうし、ポーンは中央側に向かって取るべしと言う一般原則に従わない理由もない。

15...Bxe5

**********

16.Nf4

 2点。他には 16.Bh6 と 16.Bf4(どちらも2点)も良い手である。16.Bf4 が一番本筋かもしれない。つまり黒のbポーンの弱点とキング翼の2個の白枡ポーンの存在が黒の白枡ビショップを潜在的な「不良」ビショップにしてしまう。そうなれば白の白枡ビショップと比較して黒の白枡ビショップはほとんど攻撃の見通しがなくなってしまう。しかし白はこの作戦は後でも実行できると判断してまずは双ビショップ態勢を得る可能性を追求することにした。

16...Bf7

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17.Re1

 2点。マスターを強豪アマチュアと識別する特質は一貫性である。相手が陣形に永続的な弱点を抱えている時マスターはその一貫性を発揮して局面の単純化を図る。本譜の手が 17.Rd1(1点)より勝る唯一の利点は強制的な単純化をさらに進めることだけである。本譜の手に対して 17...Bd6 なら 18.Nh5 Ne6 19.Bh6 で黒の苦境がさらに深まる。

17...Re8

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18.Nd3

 1点。

18...Bd6

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19.Rxe8+

 1点。

19...Bxe8

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20.Bf4

 2点。前の作戦どおりに 20.Nf4(1点)と指すのは 20...Bc6 21.Nd5 Kf7 でほぼ互角の形勢になってしまう。本譜の手で白は黒のcポーンの守り駒を奪うと同時に黒の最も働いている駒と交換させる。

20...Bxf4

**********

21.Nxf4

 2点。後の収局で白は黒の弱いfポーンの前を自分のキングで占めて攻撃できるように想定すべきなので 21.gxf4 は不可である。

21...Bc6

**********

22.Nd5

 1点。これで開けた局面でビショップ対ナイトの優位を得ることができる。この手に対して 22...Rc8(c7のポーンを守るため)なら 23.Ne7+ がある。

22...Bxd5

**********

23.Bxd5+

 1点。

23...Kf8

**********

24.Rd1

 1点。この手はしばらくの間ナイトを最下段に張り付けるので(24...Nf7 なら 25.Bxf7 から 26.Rd7+)24.Kg2 や 24.Re1(どちらも0点)よりもはるかに強い手である。これはビショップ対ナイトのエンディングでビショップ側の指し方に通じる一般原則を良く現している。つまり開けた局面ではビショップを用いてナイトの動きを制限することができるということである。

24...a5

**********

25.Rd4

 4点。この手も非常に創意のある手である。ルーク+ポーン収局での理想的な態勢は敵ポーンの中の7段目に侵入することであることは広く良く知られている。しかしそれほど知られていないのはルークを縦横に活動させることの強力さである。本譜の手で白は強制的に黒のfポーンを取ってしまう。例えば 25...Ra6 なら 26.Rf4 Rf6 27.Be4、また 25...Ke7 なら 26.Rf4 Kf6 27.Be4 である。

25...c6

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26.Bb3

 2点。もちろんビショップはナイトの動きを制限する斜筋にとどまる。26.Bc4? は 26...b5 ではっきり手損になる。

26...b5

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27.Rf4

 1点。

27...a4

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28.Rxf5+

 1点。

28...Kg7

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29.Bc2

 1点。

29...Ne6

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30.Kf1

 2点。白は1ポーン得をしているがそれに対する反撃に備えなければならない。キングを中央に寄せるのは明らかに ...Rd8-d2 の狙いに対処する唯一の方策である。

30...Rd8

**********

31.Ke2

 1点。

31...h6

**********

32.Be4

 2点。さらに陣固めを行なう。黒は再び受け一方に追い込まれる(32...c5 は 33.Bc6)。

32...Rd6

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33.f4

 2点。この手はパスポーンの進撃開始というだけでなく黒ナイトからg5の地点も奪っている。

33...b4

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33.a3

 5点。クイーン翼を固定することにより白は相手から最小限の反撃の機会も奪っている。34.cxb4?? は 34...Nd4+ があるので7点減点である。

34...bxa3

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35.bxa3

 1点。

35...Nc7

**********

36.Rc5

 4点。またポーンが落ちる。同じようでも 36.Ra5 は 36...Nb5 37.Rxa4?? Nxc3+ があるので0点である。

36...Nb5

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37.Bxc6

 3点。37.Rxc6? は 37...Rxc6 38.Bxc6 Nxc3+ 39.Kd3 Nb1 でほぼ引き分けなので2点減点である。

37...Nxa3

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38.Bxa4

 1点。

 2ポーン得で白の勝ちは容易である。以下は 38...Re6+ 39.Kd2 Rg6 40.Kc1 Rb6 41.Rc7+ Kf8 42.Bd1 Rb1+ 43.Kd2 Nb5 44.Rb7 Nxc3 45.Rxb1 Nxb1+ 46.Kd3 Kg7(46...Na3 は 47.Ba4 でナイトが逃げられないままである。)47.Be2 Na3 48.Kc3 h5 49.Kb2 h4 50.gxh4 で黒が投了した。

診断 本局も作戦に従って指す大切さの例である。白の収局での指し回しは全て主導権と展開の優位を維持できれば黒の弱いポーンはいずれ落ち始めるという認識に基づいていた。

2008年09月10日

あなたの棋力診断(34)

第8章 収局

第34局

 本局のあなたは白番で、指導パートナーは著者である。対戦相手は元英国選手権者のブロードベントである。本局は1956年にロンドンで指された。局面図までの手順は次のとおりである。

1.e4 e6 2.d4 d5 3.Nc3 Nf6 4.e5 Nfd7 5.f4 c5 6.dxc5 Bxc5 7.Nf3 Nc6 8.Bd3 a6 9.a3 Qc7 10.Qe2 Nd4 11.Nxd4 Bxd4 12.Nd1 Nc5 13.Be3 Bxe3 14.Qxe3 Bd7 15.O-O Rc8 16.Nc3 g6 17.Rac1 Qb6 18.Rb1 Na4 19.Qxb6 Nxb6

YRate34.JPG

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20.Ne2

 この手と 20.Kf2 は1点。この局面での白の優位はフランス防御とクイーン翼ギャンビット拒否によく見られるように黒のビショップが自分のポーンによって閉じ込められていることにある。とはいえこのように大ざっばに言っただけでは局面について何も述べていないのと同じことである。しかしこんなに多くの黒のポーンが白枡にあると、白のキングとナイトが黒枡、特に中原のd4に絶好の地点を確保するのがきわめて容易になる。白が有利だといってもそれは黒にも黒枡に利く小駒があることにより限られている。従って白は自分の比較的働きの悪いビショップを相手のナイトと交換しようと努め、黒は逆に自分のビショップを白の小駒のどちらかと交換しようと努めることになる。

 白のもう一つ有利な点は陣地がいくらか広い(5段目の中原ポーン)ということである。そのため駒の動きが容易なので白は敵陣突破を狙うことになる。その最も自然な場所はf列とh列である。

20...Na4

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21.Nd4

 この手と 21.Kf2 は1点。

21...Ke7

**********

22.Kf2

 1点。

22...Rc7

**********

22.Ke3

 1点。しかしここで又は前手か前々手で g4 を選んでいたら2点である。g4 ならすぐに f5 を狙う態勢になる。本譜で黒はそれを遅らせる。

23...h5

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24.g3

 1点。白は h3 から g4 を想定している。他に良い手は 24.c3(1点)で敵のナイトを Bc2 で追い払う用意である(前に言ったように黒はナイトを交換すべきでない)。24.h3? は 24...h4 で陣形上のポカとなり1点減点である。白はキング翼で動き回れなくなる(25.Kf3 Rcc8 26.Kg4 Rh7 27.Nf3 Rch8)。

24...Rhc8

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25.h3

 この手または 25.c3 は1点。

25...Nc5

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26.Rh1

 1点。27.g4 に向けての準備が整った。この手はすぐに指しても良かった(1点)。

26...Rh8

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27.g4

 1点。

27...Nxd3

 黒は時間に追われて大局観を誤った。20手目のところで説明したように黒はこの手だけは避けるべきだった。

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28.Kxd3

 1点。しかし 28.cxd3 なら2点である。その方がポーンの切れた列が二つになってはるかに勝る。一般的に、駒の動ける余地の大きい方はポーンの切れた列を増やすように努めるべきである。

28...Bb5+

**********

29.Ke3

 1点。29.Nxb5 は大局的なポカなので2点減点である。

29...Ba4

**********

30.c3

 1点。

30...Rcc8

 正着は 30...Bd7 だった。それならば白は進展を図るのがまだまだ難しかった。

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31.f5

 2点。勝つにはここから仕掛けるしかない。

31...exf5

**********

32.gxf5

 1点。

32...Bd7

**********

33.f6+

 1点。33.fxg6 fxg6 は0点である。確かにポーンの切れた列は増えるが自身のeポーンが弱いので白の勝つ見込みはほとんどない。

33...Kd8

**********

34.Rbd1

 2点。白は駒の組み換えに取りかかる。この手は黒のdポーンを攻撃し、黒のfポーンは Nf3-g5 で攻撃する。すぐに 34.Nf3(1点)とするのはすんなりとはいかない(34...Bf5 35.Rbd1 Be4)[訳注 36.Ng5 で白の勝勢のようです]。

34...Kc7

**********

35.Nf3

 1点。

35...Be6

**********

36.h4

 2点。このように黒枡を着実に強化しておくのが良い。36.Ng5(1点)には 36...h4 から 37...Rh5 がある。

36...Kd7

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37.Rd4

 2点。37.Ng5(1点)は 37...Rc4! 38.Rhe1[訳注 38...Rxh4 があるので多分 38.Rd4 が正着]38...Rhc8 で白が勝勢になるにはほど遠い。本譜の手に対して 37...Rc4 ならば 38.Rxc4 dxc4 39.Rd1+ Kc6 40.Ng5 から Ne4-d6 で黒は守勢一方になりつぶれる。

37...b5

**********

38.a4

 2点。黒の手はa列に新たな侵入口を与えてくれた。

38...Kc6

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39.Ra1

 1点。

39...Rhf8

**********

40.axb5+

 1点。

40...axb5

**********

41.Rb4

 1点。

41...Kb6

 黒がポーン損を避けられるのも今のうちだけである。

**********

42.Nd4

 1点。

42...Bd7

**********

43.Rb3

 2点。直接黒のbポーンを攻撃してもうまくいかない(黒には ...Rc4 という受けの手がある)。そこで白は唯一の素通し列を支配しにいく。

43...Ra8

**********

44.Rba3

 1点。44.Rxa8(1点)でもよい。その後は 44...Rxa8 45.Ra3 Rxa3 46.bxa3 Kc5? ならば 47.e6! である。

44...Rxa3

**********

45.Rxa3

 1点。

45...Rc8

**********

46.Kf4

 2点。白は逆の方面から侵入できる。白が黒枡を絶対的に支配しているので簡単に進入路が開けることに注意してほしい。

46...Re8

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47.Nf3

 2点。次の狙いは 48.Kg5 である。黒が 47...Bg4 とくれば 48.Ng5 である。

47...Rc8

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48.Kg5

 1点。

48...Re8

**********

49.Kh6

 3点。この必然の手を指すには正確な読みが必要である。

49...Bg4

**********

50.Nd4

 2点。50.Ng5 は 50...Rxe5 51.Nxf7 Rf5! があるので0点である[訳注 著者の何か勘違いのようで 52.Kxg6 で白の勝勢です]。

50...Rxe5

**********

51.Ra7

 5点。白が読んでおかなければいけなかった主要な変化は 51...Kxa7 52.Nc6+ Kb6 53.Nxe5 Be6 54.Kg7 Kc7(54...g5 は 55.hxg5 h4 56.Nf3 から g6)55.Nxf7 Bxf7 56.Kxf7 g5 57.Kg7 で白の勝ちとなる。

51...Re4?

 この手はたちまち負けになる。

**********

52.Rxf7

 1点。

52...Bd1

**********

53.Re7

 1点。

 黒投了。

診断 この収局の成績が悪かったらそれは恐らく黒の「不良」ビショップの動きを制限しておくことの重要性の認識が足りないことによるものである。Fineの「Basic Chess Endings」やReinfeldの「Practical Endgame Play」でこの種の収局を勉強するのが良い。

2008年09月17日

あなたの棋力診断(35)

第8章 収局

第35局

 本局のあなたは黒番で、指導パートナーはユーゴスラビアの若者のアンドリヤ・フデレルである。彼はチェスだけでなく化学とピアノ演奏にも長けている。対戦相手は西ドイツのハインツ・レーマン博士である。博士はイギリスの大会によく参加している。本局は1954年にミュンヘンで指された。局面図までの手順は次のとおりである。

1.e4 c5 2.Nf3 d6 3.c3 Nf6 4.Bd3 Nc6 5.Bc2 Bg4 6.h3 Bxf3 7.Qxf3 g6 8.d3 Bg7 9.O-O O-O 10.Nd2 b5 11.Qe2 Nd7 12.Nf3 Rc8 13.Be3 b4 14.cxb4 Nxb4 15.Bb3 Qb6 16.Rad1 Nc6 17.Qd2 Rb8 18.Bh6 Nde5 19.Nxe5 Bxh6 20.Qxh6 dxe5 21.Bd5 Nd4 22.Rd2 Qa5 23.f3 Rb6 24.Rdf2 Rf6 25.Qg5 Qc7 26.Qd2 Rc8 27.Kh1 Kg7 28.Rc1 Rb6 29.Qa5 g5 30.a3 e6 31.Ba2 Kf6 32.b4 Rc6 33.Qxc7 R8xc7 34.Bc4 cxb4 35.axb4 Rb6 36.Rb2 Rcb7 37.Ra1 Rxb4 38.Rxb4 Rxb4 39.Rxa7

YRate35.JPG

**********

39...Rb1+

 4点。この収局は味方のポーンに邪魔された不良ビショップに対するナイトの優位という典型的な例となっていて黒が大局的に有利になっている。白のポーンは全て白枡にありビショップの活動の唯一の望みは黒のfポーンに対する作戦でルークに協力することである。実戦の進行では黒は明瞭な勝ちの状況を目指すことができる。黒がナイトをf4の地点に据えルークを7段目に置くことができれば白はルークでgポーンを守らなければならなくなる(ビショップが連鎖ポーンの内側に戻れないので)。それから黒キングはおもむろにg3の地点に行き、敵キングをgポーンの守りに縛り付ける。この作戦は釘付けが伴えばもっと効果的である。だからすぐに 39...Rb2 とするのは2点である。

40.Kh2

**********

40...Rb2

 2点。

41.Kh1

**********

41...h5

 3点。41...Ne2 は1点。本譜の後ポーンをさらにh4まで進めることにより白は h4 と突いて紛れを求めるわずかなチャンスも奪われる。

42.Ra2

 この手以外では黒が39手目で説明した作戦を着実に実行する。

**********

42...Rxa2

 3点。42...Rb1+(0点)は白のg2がしっかり守られているので黒は勝てないだろう。

42.Bxa2

**********

43...Ne2

 6点。正解はこの手だけである。43...Ke7 又は 43...h4(共に0点)は 44.Kg1 で白キングが戦闘に復帰してくる。

44.Bc4

**********

44...h4

 3点。

45.Kh2

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45...Nf4

 この手は0点である。この手に対して白は当然の 46.g3 で引き分けが有望だった。45...Ke7 なら正解で4点である。この手の目的はキングをe3に行かせることで、必要ならば白のdポーンに対する最終攻撃の前にfポーンをf4の地点まで進めることもある。

46.Kg1?

**********

46...Ke7

 3点。これでまた全てが順調に行く。

47.Bb5

**********

47...Kd6

 1点。

48.Be8

**********

48...f6

 2点。48...f5 はもう必要ないので1点である。

49.Bb5

**********

49...Kc5

 1点。

50.Bc4

**********

50...Kd4

 1点。

51.Kf1

**********

51...Kc3

 6点。51...Nxd3 は 52.Bxe6 で引き分けになるので0点である。51...Ke3 も同じで 52.Kg1 Kd2 53.Kf1! で黒は進展が図れない。

52.Kg1

 52.Kf2 は 52...Nxd3+ がチェックになる。

**********

52...Kc2

 4点。他の手はすべて0点である。

53.Kh2

 投了したも同然の手である。しかし 53.Kf2 は 53...Nxd3+ だし 53.Kf1 は 53...Kd2! 54.Kg1 Ke1! 55.Kh2 Kf2 である。

**********

53...Kd2

 4点。

54.g3

**********

54...Nxd3

 2点。ここでも 54...hxg3+ は 55.Kxg3 で引き分けになってしまう。

55.Bxe6

**********

55...Ke3

 2点。

56.gxh4

 56.Kg2 なら 56...Ne1+、56.Bg4 でも 56...Ne1 でどちらにしても黒の勝ちである。

**********

56...gxh4

 1点。

 白投了。

診断 第34局と同じくこの収局でも「不良」ビショップに対するナイト側の指し方の見本が見られる。特に優勢側が活動性を生かしてどのようにキングで敵陣の急所に侵入するのかに注目する必要がある。

(完)

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