メイン

羽生さんのGMへの道 アーカイブ

2006年07月07日

「羽生さんの次の一手」

羽生さんのチェスに関する話題を「羽生さんのGMへの道」というカテゴリー名で随時掲載します。羽生さん自身がGMを目指していると発言したことはなく、こちらの勝手な期待を込めてこのようなカテゴリー名にしました。ご本人は当面はIM称号の獲得に目標をおいていてGMのことまではまだ考えていないと思います。

イタリアのチェス雑誌「L'ITALIA SCACCHISTICA」の2006年第1号の次の一手コーナーに羽生さんの実戦の局面が出題されていました。白先白勝ちの問題です。

Y060707A.GIF

Habu - Ouwendijk, Essent, 2005

解答は「コメント」にあります。

羽生さんのテレビ番組

7月13日(木)午後10時から10時45分のNHK総合「プロフェッショナル・仕事の流儀」で羽生さんの話題がとりあげられます。

Y060707B.GIF

2006年08月01日

侍の刀

JCA(日本チェス協会)の機関誌「CHESS通信 2006.3.25」
の1184ページに「『侍の刀』と命名された GM Wells,P -
FM 羽生善治」という棋譜が掲載されました。これは「NEW
IN CHESS Yearbook」第78号の137ページの「The Sword
of the Samurai」と題する記事中の棋譜のことです。

この本の表紙に「Sword of the Samurai: Shogi star Habu
strikes in the Semi-Slav」(侍の刀:花形将棋棋士羽生が
準スラブで切る)という見出しが出ています(赤の四角で
囲った所)。

Y060801A.GIF

中の記事の所に顔写真が出ています。

Y060801B.GIF

******************************

スラブ防御(Slav Defence)
メラン戦法(Meran Variation) SL9.1 (D47)

侍の刀
解説 ヨハナン・アフェク(Yochanan Afek)

1.d4 d5 2.c4 c6 3.Nf3 Nf6 4.Nc3 e6 5.e3 Nbd7
6.Bd3 dxc4 7.Bxc4 b5 8.Be2 b4 9.Na4

Y060801C.GIF

オランダのフーゲビーン(Hoogeveen)市で開催された今
年のエセント(Essent)大会の注目の的は王冠(Crown)グ
ループでなくオープン・セクションだった。そこで日本人の
羽生善治氏が近年の国際競技会で最も衝撃的な一局を
指した。

羽生氏(33歳)は「将棋のカスパロフ(Kasparov)」としてより
良く知られている。将棋は日本ではチェスに相当する。彼
は将棋界の最も重要な7大タイトルを独占したことのある
唯一の棋士で、これまでの勝率が74%という傑出した記録
を持っている。彼にとってチェスは比較的最近覚えた趣味
にもかかわらず頭脳スポーツでの彼の才能はなんと2001
年の2回目の大会で早くもIM基準を達成している。

英国のGMピーター・ウェルズ(Peter Wells)に対する彼の
見事な指し回しは今年の最優秀局の一局であるばかり
でなく定跡の重要な発見にも貢献している。それは羽生
氏が盤上で考え出したものである。8.Be2 は準スラブの
支線で、1927年にニューヨークでカパブランカ(Capablanca)
がアリョーヒン(Alekhine)との引き分け試合で指したとさ
れている。しかし実際には1920年代に他の選手が既に
指している。必然の 8...b4 9.Na4 の後黒はほとんど決ま
りきったように 9...Be7, 9...Bb7 あるいは 9...Qa5 のいず
れかから次の指し手を選ぶ。これらは双方にとってほと
んど似たような穏やかな戦略の方針を取ることになる。
黒は ...c5 で開戦を狙い、白はそれを阻止することに努
めると共に a 列からの開戦を狙い弱点の a7 に圧力をか
ける。

反撃策

9...Bd6!? はめったに考慮に値する応手とは考えられて来
なかった。それは本局のように過激な 10.e4!? を誘いは
るかに難解な道にそれるせいだった。

10...Nxe4 11.Qc2 の後 11...f5! で反撃が始まり乱戦に
なった。しかし穏やかな互角の形勢を目指すなら 11...Qa5
も有力な応手だったかもしれない。嵐のど真ん中に立た
された羽生氏は得意の戦術の力を発揮するべく交換損を
選んだ。そして白の遊んでいるクイーンと「居玉」に対する
反撃の結果永続的な主導権を得た。羽生氏はそれを見
事に劇的な勝利に結びつけた。

白はコンケスト(Conquest)対サボルチ(Szabolcsi)戦のよ
うにもっと慎重な 10.Qc2 なら戦術的な混戦を避けること
ができた。しかしそれでも黒は 10...Qc7 で 11.e4 には
11...e5 で 9...Bd6 を生かすことができる。

結論

この独創的で厳しい構想は簡単には退治できそうにない。
それゆえに準スラブの未開の分野の有力な変化の一つ
として 9...Bd6 が復活するかもしれない。

反撃 9...Bd6

ピーター・ウェルズ(Peter Wells) - 羽生善治
フーゲビーン(Hoogeveen) 2005年(第2回戦)

1.d4 d5 2.c4 c6 3.Nf3 Nf6 4.Nc3 e6 5.e3 Nbd7
6.Bd3 dxc4 7.Bxc4 b5 8.Be2 b4 9.Na4

Y060801C.GIF

9...Bd6 10.e4!? [10.Qc2!? Bb7 11.e4 Qa5 12.Nd2+/=]
10...Nxe4 11.Qc2 f5 [11...Qa5!? 12.Qxe4 (12.Qxc6 Qd5
13.Qxd5 exd5=) 12...Qxa4 13.b3 Qa5 14.Qxc6 Qd5
15.Qxd5 exd5=] 12.Ng5!?

Y060801D.GIF

[12.Qxc6 Rb8 13.Bg5 Bb7!=] 12...Nxg5!? [12...Ndf6
13.Nxe4 Nxe4 14.Bf3 (14.Bh5+ Kf8 15.Bf3 Qa5
16.Qxc6 Qd5=) 14...O-O 15.Bxe4 fxe4 16.Qxc6 Rb8=]
13.Qxc6

Y060801E.GIF

13...Ne4! 14.Qxa8 O-O 15.Qc6 [15.Bf3 Qc7
16.Bxe4 fxe4 17.Qxe4 Nf6 ∞/=] 15...Ndf6

Y060801F.GIF

16.f3? [16.O-O Bd7 17.Qa6 Qc7 ∞/=] 16...Bd7!?
[16...Bxh2! 17.Rxh2 Qxd4 18.fxe4 Qg1+ 19.Bf1
(19.Kd2 Qxh2 20.Nc5 Rd8+ 21.Kc2 Qxg2) 19...Nxe4
20.Qc4 Qxh2-+] 17.Qa6 Bxa4 18.Qxa4 Bxh2!

Y060801G.GIF

19.Rxh2 [19.fxe4? Bg3+ 20.Kd1 Qxd4+ 21.Bd2 Qxb2
22.Rc1 Nxe4-+] 19...Qxd4 20.fxe4 Nxe4

Y060801H.GIF

21.Rh1!? [21.Qb5? Qg1+ 22.Bf1 Qxh2 23.Qe2 Qg3+
24.Kd1 b3!-+] 21...Qf2+ 22.Kd1 Rd8+ 23.Kc2 Qxe2+
24.Kb1

Y060801I.GIF

24...Nc3+! 25.bxc3 bxc3

Y060801J.GIF

26.Ba3 [26.Qb3 Qd3+ 27.Qc2 Rb8+] 26...Rb8+
27.Qb3 Qd3+ 28.Kc1 Qd2+ 0-1

Y060801K.GIF

(この後の他の関連棋譜は省略)

******************************

2006年09月20日

羽生さんのフィッシャー観

「先を読む頭脳」(羽生善治、伊藤毅志、松原仁著、新
潮社発行、本体1300円)の137ページで羽生さんが
ボビー・フィッシャーについて次のように語っています。

『同様に「天才」を感じる棋士では、将棋界ではなくチェ
スの世界のボビー・フィッシャーという方がいます。千九
七二年に世界選手権を制して、アメリカに初めてチェス
の世界タイトルをもたらした英雄です。

私がフィッシャー氏に惚れ込んだ理由は、何よりも彼が
残した棋譜の素晴らしさにあります。

チェスの場合、実力者同士の対局になると差がつきにく
く、引き分けに終わることも多いのです。サッカーで言え
ばスコアレス・ドローか、一対〇で決着がつくことがほと
んどです。

ところがフィッシャー氏だけは、勝つときには三対〇くら
いの大差をつけて勝ってしまうのです。棋譜を見ていくと、
こんな手順が盤上に実際に現れるのかと惚れ惚れする
ことがよくあります。

絵画や音楽などの芸術と同様に理屈では説明できない
世界で、一目見て「凄い」と感じる美しさがあるのです。
その点で、谷川九段と共通している部分があると思いま
す。』

2006年09月21日

羽生さんのチェス観

Y060921A.JPG

この本には羽生さんのチェスに関する考え方も随所に見
られます。その中で特に印象に残ったのは次の個所です。

『また、チェスには将棋の序盤に相当する部分はないと私
は思っています。チェスの序盤はオープニングといいます
が、オープニングといっても将棋でいえばもう中盤戦に相
当します。中盤からいきなり戦いが始まるわけで、つまり
試合開始と同時に戦闘開始なのです。』

2006年11月20日

2006ワールドオープン

「Chess Life」10月号が届き2006ワールドオープンの
記事を期待を持って見ましたが、全くの期待はずれでし
た。全部で9ページでしたが羽生善治・将棋三冠の棋
譜や写真がなく本文のところでわずかに触れているだ
けでした。森内俊之・将棋名人のことには全く触れてい
ませんでした。あのハイテク機器を利用したと思われる
選手の件は3ページ近くに渡って書かれていました。

『2500未満の選手に与えられる賞に入賞したのは...
および日本の将棋史上最も偉大な棋士とみなされてい
る羽生善治氏である。羽生氏は将棋の七大タイトルを
独占したことがある。ウェブサイトの uschess.org に羽
生氏の棋譜が解説付きで掲載されている。』

『なんと9人がこの大会でIM基準を達成した。それは...
それに将棋のチャンピオンの羽生氏である。』

2006年11月22日

羽生さんの番組

11月23日(木)NHK午後10時からの「プロフェッショナル・
仕事の流儀・トークSP」に羽生さんが出演します。7月13日
の同番組で放送されなかった部分が放送されるそうです。

http://www.nhk.or.jp/professional/

の「次回予告:11月23放送」をクリック

2007年01月13日

羽生さんの名前がCIに

チェス新報(Chess Informant)97の大会結果報告のページに、昨年のフィラデルフィアでのワールドオープンのオープンセクションで20-40位に入賞した羽生さんの名前が出ていました。

Y070113A.JPG

2007年02月06日

チェス研究の一端

「簡単に、単純に考える」 PHP研究所発行、2001年11月初版
この本の179ページに羽生さんの次のような発言があります。

『...実は、私もチェスをやるのですが、カスパロフが世界選手権を戦ったときの様子を見て、いいアイデアを一つ思いついたのです。そのアイデアが正しいかどうかをコンピュータに考えさせて完成し、勝負に使って勝ったことがあるのです。...』

ずいぶん前から真剣にチェスの研究に取り組んでいることが分かります。

チェス研究の一端

「簡単に、単純に考える」 PHP研究所発行、2001年11月初版
この本の179ページに羽生さんの次のような発言があります。

『...実は、私もチェスをやるのですが、カスパロフが世界選手権を戦ったときの様子を見て、いいアイデアを一つ思いついたのです。そのアイデアが正しいかどうかをコンピュータに考えさせて完成し、勝負に使って勝ったことがあるのです。...』

ずいぶん前から真剣にチェスの研究に取り組んでいることが分かります。

2007年03月03日

羽生の一刺

「【図解】羽生善治の頭脳強化ドリル」
羽生善治著、PHP研究所発行、
2007年2月9日第1版第1刷発行

「羽生の一刺」というコメントの中から
『長考・熟考しても最善の方法が見つかるとは限らない。
時間を区切って考える習慣をつけることによって、「見切る
力」は養われていく。』

2007年03月21日

棋界のひと:羽生善治さん「チェスにはまってます、実力はアマ四段ぐらい」

チェスドクターさんのところに書いてありますが( http://blog.m3.com/chessdocter/20070320/1 )羽生さんのチェスに対する発言が記事に出ています。

http://www.mainichi-msn.co.jp/entertainment/shougi/news/20070321org00m040001000c.html

2007年04月11日

羽生さんのCM

羽生さんが缶コーヒーの新製品「ネスカフェ 匠 香煎造り」のCMで、伊東美咲扮する女流棋士と対局するシーンを演じるそうです。13日から放送されるそうです。

http://www.mainichi-msn.co.jp/entertainment/tv/news/20070411spn00m200013000c.html

2007年09月28日

2000年シカゴ・オープン

米国チェス連盟の機関誌「Chess Life」の2000年8月号に5月26日から29日にかけて開催されたシカゴ・オープンの報告記事が掲載されています。全部で4ページですがその内ほぼ1ページが羽生さんの棋譜の詳細な解説に当てられていました。ただし羽生さんのプロフィールについては何も書かれていませんでした。だから米国の読者は何でレイティング2300の選手と米国の一流GMの対戦の棋譜が載せられているのか分からなかったと思われます。

******************************

キングズ・インディアン防御(King's Indian Defense) [E99]
クラシカル戦法(Classical Variation)
白 GM アレックス・ヤーモリンスキー (Alex Yermolinsky)
黒 羽生善治 (2300)
シカゴ・オープン、2000年

1.d4 Nf6 2.c4 g6 3.Nc3 Bg7 4.e4 d6 5.Be2 O-O 6.Nf3 e5 7.O-O Nc6 8.d5 Ne7 9.Ne1 Nd7 10.Be3

Y070928A.JPG

シカゴのGMドミトリー・グレビッチ(Dmitry Gurevich)はこの手に再び興味をかき立てられた。この手は長らく 10.Nd3 のために影が薄かった。白は2手かけてビショップをキング側に移す。しかし f2 からは戦略的に重要な c4-c5 の仕掛けを支援できる。

10...f5 11.f3 f4 12.Bf2 g5 13.Rc1 Ng6 14.c5

Y070928B.JPG

ヤーモと彼の親友のトルコのGMスアト・アタリク(Suat Atalik)はこの戦型の発展に大きく貢献した。

14...Nxc5 15.b4 Na6 16.Nb5 Bd7 17.Nxa7 h5 18.a4 Rf7 19.Nd3

Y070928C.JPG

この手には利点と欠点がある。b4 の地点に利いているが e2 のビショップの利きを阻害しているので c7 の地点に対する狙いは放棄している。

19...Bf8 20.Nb5 Rg7 21.Kh1 Nh8 22.g3 fxg3 23.Bxg3 Nf7!?

Y070928D.JPG

ナイトが g6 の地点に戻るのがこれまでの手だったがこの手は新しい手である。

24.Rg1 Rc8 25.Bf2 Qf6 26.Be3 Rg6 27.Qd2 Be7 28.Nc3

Y070928E.JPG

白のキングが安全になったので盤の反対側のポーンを前進させることができる。

28...Kh7 29.b5 Nc5 30.Nxc5 dxc5

Y070928F.JPG

31.d6?!

この手は主眼の手だが正確ではなかった。正着は 31.a5 Ra8 32.Ra1 で次のように優勢になる狙い筋が残る。

32...Bc8 (32...c4 33.d6!-このタイミングなら絶好だった-33...Qxd6 34.Bxc4 Qxd2 35.Bxd2 Nd6 36.Be2)

33.Na4 c4 34.b6! c6 35.Nb2 cxd5 36.exd5 e4 37.Bd4

どう変化しても白が明らかに優勢である。

31...Qxd6

Y070928H.JPG

32.Nd5?!

32.Qd5 と指す方が良かった。黒は正確に応じなければならない。32...Nd8 (32...Be6 33.Qxb7 Qb6 34.Qxb6 cxb6 35.Nd5

は白が良い。)

33.Qxd6 Bxd6 (33...cxd6 は 34.Nd5 Bf6 35.Nxf6+ Rxf6 36.Bxg5 Rg6 37.Be7

でやはり白が良い。)

34.Bxg5 Ne6 35.Be3

で形勢不明である。

32...b6 33.a5 Ra8 34.a6 Bd8 35.Rcd1 Be8

Y070928J.JPG

黒はここまでうまく守ってきた。白は駒の組み換えを図らなければならない。

36.Qb2!? Qe6 37.Bd2

Y070928K.JPG

37...Nd6

黒は 37...c6 38.bxc6 Bxc6 39.Bc3 b5 40.Bxb5 Bxb5 41.Qxb5 Rxa6 42.Qxc5 Bb6 43.Nxb6 Rxb6

と指せば互角の形勢を維持できた。

38.Bc3 g4

Y070928M.JPG

黒の強力な反撃が始まったように見えるが白も強手の受けを用意していた。

39.Bxe5! gxf3 40.Nf4

Y070928N.JPG

40...fxe2

羽生氏の時計の旗が落ちそうになっていたので他の手を考慮する時間がなかった。f2 での一手詰みを狙う 40...Nxe4! が最も難しい手だった。

Y070928O1.JPG

A)41.Bxf3 Qxe5 42.Qe2 Nf2+! 43.Qxf2 Qxf4 44.Rxg6 Bxg6 45.Qg3 Qxg3 46.hxg3 Ra7 47.Rxd8

白が好調なように見えるが勝ちはあるのだろうか?

47...c4 48.Bb7 (48.Bc6 c3 49.Rd4 c2 50.Rc4 Kg7)

48...c3 49.Rd7+ Kh6 50.Rxc7 Be4+ 51.Kh2 c2

これは互角の形勢である。

B)41.Rxg6 Nf2+ 42.Kg1 Nh3+ 43.Kf1 fxe2+ 44.Qxe2 Qf5 45.Qxh5+ (最も実戦的な判断)

45...Qxh5 46.Rg7+ Kh6 47.Nxh5 Kxh5 48.Kg2 Bxb5 49.Kxh3 Bxa6 50.Bxc7

白が優勢である。

41.Nxe6 exd1=Q 42.Nf8+ Kg8 43.Rxd1 Kxf8 44.Bxd6+

Y070928Q.JPG

44...cxd6

44...Rxd6 は以下の一本道の手順で白が勝つ。45.Qh8+ Ke7 46.Qg7+ Ke6 47.Rxd6+ Kxd6 48.e5+ Ke6 49.Qh6+!

49...Kd5 (49...Kf7 50.Qxh5+ Ke7 51.Qf3) 50.Qf8 Bxb5 51.Qf3+

45.Qh8+

白は引き分けにできることは分かっていたが勝利を目指した。

45...Ke7 46.Qh7+ Bf7 47.e5!

Y070928S.JPG

これが勝ちを決めた手である。

47...Ke8

他の手も無駄である。

(a) 47...Ra7 48.Rf1 Ke8 49.Rxf7

(b) 47...dxe5 48.Rd7+

(c) 47...Kf8 48.Rf1 Rg7 49.Qh8+ Rg8 50.Qxh5 Ra7 51.e6

48.Rxd6

48.exd6 は黒が一本道の長手順で引き分けにできる。48...Bf6 49.d7+ Kf8 50.Rd6 Rd8 51.a7 c4 52.Rxf6 Rxf6 53.Qh8+ Ke7 54.a8=Q Rxa8 55.Qxa8 Kxd7

48...Rxd6

48...Ra7 なら 49.e6 である。

49.exd6 Ra7

Y070928V.JPG

50.Kg1!

最後まで正確である。黒は駒が乱れているので白のクイーンと2個のパスポーンに太刀打ちできない。

50...c4

50...Bf6 は 51.Qe4+ Kd8 52.Qb7! Rxb7 53.axb7 Bd4+ 54.Kf1 Bc4+ 55.Ke1 で白の勝ち。

51.Qe4+ Kd7

51...Kf8 ならヤーモは 52.Qb7 c3 53.Qc8 c2 54.Qxc2 と締めくくるだろう。

52.Qc6+ Ke6 53.Qc8+ 黒投了

Y070928Y.JPG

******************************

キングズ・インディアン防御に詳しくない人のために少し補足説明します。白の 14.c5 に対する羽生さんの 14...Nxc5 は本手です。14...dxc5 は良くなく 15.b4! cxb4 16.Nb5 となります。

このクラシカル戦法ではc8の白枡ビショップが黒の命です。黒のgポーンが進んでいってg3に到達した時(白が途中でポーンを交換するのは黒に調子付かせる)白はh2のポーンをh3に突きます。その時黒は白枡ビショップでh3のポーンをたたき切って攻撃を続けます。もし白枡ビショップがなければ黒は白の連鎖ポーンに対して何も手出しができなくなります。だからちょっとやそっとのことでは黒駒と交換できません。それほど大事な白枡ビショップなので変化によってはこのビショップを助けてa8のルークをただでくれてやることもあります。このことは昔渡辺暁さんから教わりました。

About 羽生さんのGMへの道

ブログ「チェスの玉手箱」のカテゴリ「羽生さんのGMへの道」に投稿されたすべてのエントリーのアーカイブのページです。過去のものから新しいものへ順番に並んでいます。

前のカテゴリは我楽多です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。