クイーン対ルック
たいていの場合、クイーンを持っている側が、ルックを持つ側に勝ちます。勝つための作戦としては、クイーンとキングを相手のキングとルックのそばに移動させ、それらの連係を断つことが挙げられます。それから、クイーンによるチェックを利用してルックを取るか、ルックの掩護を失ったキングをメイトにするのです。
不利になる指し手を強いられるような状況にある局面を、チェスの論理に関する用語でツークツワンクの局面と言います(ドイツ語のZug:指し手; zwingen:強制する・強いる)。
つまり、勝つための作戦は、ルックを持つ側がキングから無理やり引き離されるような手を指さざるを得ない―それから負けてしまう―ような、ツークツワンクの局面にすることからなります。のちのち私たちは、ツークツワンクの局面に持ち込むことが、多くのエンディングにおいて重要な戦略的課題のひとつであるということに気づきます。
10は、その典型的な局面です。
10
黒はツークツワンクの状態にあります。1...Ka6に対しては2.Qc8という応手が決定的になりますし、1...Rb8では2.Qa5#となってしまうので、黒はルックをキングから遠ざけなければなりません。
1...Rb4では2.Qe7や2.Qa5+でルックがすぐに取られてしまいますし、1...Rb2や1...Rg7では2.Qd4とされてしまいます。結局考えるだけの価値がある指し手となれば、1...Rb3, 1...Rf7, 1...Rb1, 1...Rh7のいずれかです。しかし、いずれの場合でも、白のクイーンによるチェックの連続の後、ルックが取られてしまいます。
1...Rb3なら2.Qd4+ Kb8 3.Qf4+ Ka7 4.Qa4+ですし、1...Rf7なら2.Qd4+ Kb8 3.Qb2+ Ka8 4.Qa2+と続きます。もし1...Rb1ならば2.Qd4+ Kb8 3.Qh8+ Ka2 4.Qh7+で白勝ちですし、1...Rh7ならば2.Qd4+ Kb8 3.Qe5+ Ka7 4.Qa1+ ~ 5.Qb1+までです。