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2008年03月 アーカイブ

2008年03月02日

第2章 異種のピースによる戦い (6)

ルック対ナイト

 ルック対ナイトの駒割りの時には、ルック側必勝の手順というものはありませんが、守備側にもある程度正確な指し手が要求されます。次の例で確かめてみましょう。

figure15.JPG15

 白の1.Kf6に対して、1...Kh8とすると2.Re8 Kg8 3.Rd8で黒が負けてしまいますので、黒の唯一の応手は1...Nh7+です。これから、2.Kg6 Nf8+ 3.Kh6 Kh8 4.Rf7 Kg8! (4...Ne6とすると5.Rf6ですぐに負けてしまいます。) 5.Rg7+ Kh8 6.Rg1と続きます。見る人によっては白が目標を達成したような印象を受けますが、まだ黒にはゲームで逃げ延びるだけの指し手があります。
 6...Nd7!です。これまた唯一の応手です。6...Nh7とすると7.Kg6 Kg8 (7...Nf8+とすると8.Kf7 Nh7 9.Rg8#) 8.Rg7 Nf8+ 9.Kf6+と続き、10.Kf7とされます。また6...Ne6は7.Kg6 Nf8+ 8.Kf7です。
 これに対して白は7.Kg6と指すくらいで、白は勝てないのです。というのも、7...Kg8! 8.Rg2 Kf8と応対されるからです。黒は8.Rd1とされたら8...Nf8+としておけば安全です。

 つまり、ルック対ナイトのエンディングでは、キングがボードの端に縛られても危険ではないのです。
 しかし、ナイトとキングの位置が悪ければ、負けてしまうこともあります。

(この項続きます)

2008年03月04日

第2章 異種のピースによる戦い (7)

(前項からの続きです)

figure16.JPG 16
16に示す局面は、はるか19世紀から知られているものです。1.Rd7 Kb8 2.Kb6 Ka8 3.Rh7 Nd8 4.Rh8で、黒はナイトを失います。
 この例は、原則として、ナイトはボードの隅にいると働きが弱くなるということを示しています。

 この駒割りでのエンディングにおいてルックを持つ側が勝ちになる可能性があるのは、相手のキングとナイトが離れている場合です。ルックを持つほうがナイトを取るか、ナイトの掩護を妨害されたキングをメイトにするようにプレーします。

figure17.JPG 17
 17の局面では、ナイトはすでにキングから離れたところに立たされています。したがって、白のこれからの仕事は黒のピースが再び連絡することを妨げ、ナイトを包囲してしまうことです。白を持つウィルヘルム・シュタイニッツは19世紀最強のプレーヤーの一人ですが、作戦を以下のようにして遂行していきました。

 17の局面から1.Re4 Nd1 (もし1...Ng2なら2.Kf6~3.Kg5~4.Re2でナイトが包囲されてしまいますし、1...Nc2であれば2.Kd5 Na3 3.Kf5 Nb1 4.Kg4 Nd2 5.Rf4+ Ke7 6.Kf3 Ne1+ 7.Kg2 Nd2 8.Kf2です。) 2.Rf4+ Kg7 3.Rf3と進みました。けっきょくナイトはボードの端に追いやられ、キングから遠ざけられてしまいました。これからナイトを捕まえにかかります。
3...Kg6(ほかに3...Nb2は4.Kd5 Kg6 5.Kd4 Kg5 6.Rf1! Kg4 7.Rb1 Na4 8.Rb4) 4.Ke5 Kg5 5.Kd4 Kg4 6.Rc1 Nb2 7.Rb1 Na4 8.Rb4でナイトが捕まりました。

2008年03月06日

第2章 異種のピースによる戦い (8)

ルック対ビショップ

 ルック対ビショップのエンディングは、たいてい引き分けに終わります。ここでも、ルック対ナイトの場合と同様に、ビショップがボードの端に追い込まれないように正しく受ければ引き分けに持ち込めます。
 覚えておいてほしいことがひとつあります。それは弱い方のキングは、ビショップがいけない隅のマスに行くように努めることです。次の例は、知っておくべき重要な局面です。
figure18.JPG18
 黒にキングは安全な隅のマスにいます。読者の皆さんは、ここから黒のピースの動きを制限しようとどんな努力をしても、黒がステイルメイトになるだけであることに納得していただけるでしょう。
さて、次にルック対ビショップの駒割りで、受けを間違えている例をお示しします。

figure19.JPG 19
 黒のキングは「危ない」隅ともいえる悪い位置にいるので、白は勝つことができます。
 まず1...Bg1 と指します。ビショップが白キングに隠れないと1.Rd7 Bb6 2.Rb7 Bc5 3.Rb8+ Bf8 4.Ra8で次の手でメイトにされてしまいます。
 これから2.Rf1 Bh2 3.Rh1 Bg3 4.Rg1 Bh2 5.Rg2!と進めていきます。黒のやけっぱちな守備にもかかわらず、白はビショップをおびき出すことに成功しました。これからの手順は簡単で、例えば5...Be5 6.Re2 Bf6 7.Re8+と進めて、2手詰めにする順などがあります。

 キングとビショップが離れているときも、ルックを持つ側が勝つことがあります。
figure20.JPG20
 この項のまとめとしてお示しした20の局面は、1.Kf3として白が勝ちです。ビショップは自由に動き回れるのですが、適切な移動場所がありません。

2008年03月08日

第3章 ピースとポーンによる戦い (1)

クイーン対ポーン

 この駒割りの場合、普通ならクイーンを持っているほうが簡単に勝てるのですが、少しだけ例外があります。プロモーションできる位置にいて、自軍のキングの掩護を受けていて、かつ相手キングとの間に距離があるときには、1個のポーンも1個のクイーンに匹敵します。例えば、次のような局面で試してみましょう。

figure21.JPG 21
 クイーン単独では相手ポーンを攻撃できませんから、21の場合は白のキングがクイーンを補助できるかどうかで結果が左右されます。この局面ならそれは可能です。チェックを繰り返すことで、白は相手キングを無理やりポーンの前のマスに陣取らせ、それから序々に白キングを移動させます。勝つまでのプロセスは難しくはありません。
 1.Qe7+ Kf2 2.Qd6 Ke2 3.Qe5+ Kf2 4.Qd4+ Ke2 5.Qe4+ Kf2 6.Qd3(この動きは、少しだけ短縮できます。つまり、1.Qe8+ Kf2 2.Qa4! Ke2 3.Qe4+ Kf2 4.Qd3など) 6...Ke1 7.Qe3+ Kd1 8.Kb7と進めていきます。黒のキングがポーンの前のマスを占拠しましたので、ここから白キングは黒キングに近づいていきます。
 8...Kc2 9.Qe2 Kc1 10.Qc4+ Kb2 11.Qd3! Kc1 12.Qc3+ Kd1 13.Kc6 Ke2 14.Qc2 Ke1 15.Qe4+ Kf2 16.Qd3 Ke1 17.Qe3+ Kd1 18.Kd5 Kc2 19.Qe2 Kc1 20.Qc4+ Kb2 21.Qd3 Kc1 22.Qc3+ Kd1 23.Ke4 Ke2 24.Qe3+ Kd1 25.Kd3と進めることで、白はポーンをとり、そしてゲームに勝つのです。

 ここで見てきたとおり、この方法はセンターのポーンやb, gファイルのポーンに対して有効です。読者の皆さんが気をつけていただきたいのは、白eファイルからのチェックで攻撃を始めていることです。白のキングがe7, e6, e5の位置にいたら、クイーンの効果的な進攻の邪魔になり、ゲームは引き分けに終わるでしょう。

 もしチェックやピンで攻撃を始められたなら、このような局面ではクイーンを持つ側が勝てます。

                                                  (この項続きます)

2008年03月11日

第3章 ピースとポーンによる戦い (2)

 次の例は、21の局面で用いた攻撃法が利用できないものです。

figure22.JPG 22
 1.Qd7+ Kc1 2.Kb7 Kb1 3.Qb5+ Ka2 4.Qc4+ Kb2 5.Qb4+ Ka1 6.Qc3+ Kb1 7.Qb3+の後、黒は7...Ka1!と続けます。ここで白はどうすればよいのでしょう?ポーンをとってしまえばステイルメイトになってしまうので、キングを移動させて時間を稼ぐことができません。白キングが、たとえばa5のマスなど、ポーンの近くにいれば、勝つことはできるでしょう。

figure23.JPG 23
 23からは、1.Qd7+ Kc1 2.Kb4 Kb2 3.Qd4+ Kb1に対して、4.Kb3!が可能です。ここで黒はポーンをプロモーションさせる余裕があるのですが(4...c1=Q)、5.Qd3+ Ka1 6.Qa6+ Kb1 7.Qa2#の手順でメイトにされてしまいます。

 さて、次にaファイルのポーンが残っている場合を見てみましょう。

figure24.JPG 24
 白のクイーンはじりじりと黒キングに近づいていきます。1.Qb7+ Kc2 2.Qa6 Kb2 3.Qb5+ Kc2 4.Qa4+ Kb2 5.Qb4+ Kc2 6.Qa3 Kb1 7.Qb3+ Ka1と指していきます。白は黒キングを攻撃して、ポーンの前のマスに誘導していきますが、これはほとんど意味のない指し手になります。というのも、黒キングはステイルメイトにされ、白キングが黒キングに近づけないからです。
 23の局面と同様に、白のキングがいくらかポーンの近くにいれば、白は勝てます。

2008年03月13日

第3章 ピースとポーンによる戦い (3)

(前回からの続きです)

figure25.JPG 25
 25の局面から、1.Qb8+ Kc2 2.Qe5! Kb1 3.Qe1+ Kb2 4.Qd2+ Kb1 5.Kb4! a1=Q 6.Kb3 Qc3+ (メイト狙いがあるので、黒は7.Qxc3と指させてステイルメイトに持ち込もうとします) 7.Kxc3までです。

 ポーンが6段目にいる場合には、今まで述べた方法を用いれば、勝つのはさほど難しくはありません。というのも、ステイルメイトの恐れがないからです。理論的にキングとクイーンが協働できないような引き分けの局面というのが、いくつかあるのみです。

figure26.JPG 26
 26から、1.Qh1+ Kb2の後、白のキングの位置が悪いので、黒ポーンの7段目への進出を防ぐことができません。a1-h8のダイアゴナルに駒がいると、クイーンの動きを邪魔してしまいます。もしキングがf7の地点にいれば、白は2.Qh8!と指して簡単に勝てます。例えば、2...Kc2 (2...Kb3なら3.Ke6! c2 4.Qa1!) 3.Ke6 Kd2 4.Qh2+ Kd1 5.Qg1+ Kd2 6.Qd4+ Kc2 7.Kd5 Kb3 8.Ke4 c2 9.Qa1といった手順があります。

2008年03月15日

第3章 ピースとポーンによる戦い (4)

ルック対ポーン

 ルック対ポーンの駒割りのときには、普通はルックを持つ側が勝つのですが、キングがルックの掩護ができないような場合には、引き分けに終わることもあります。
 非常に例外的なケースとして、キングとルックの位置取りが非常に悪いときには、「取るに足らない」ポーンであっても、プロモーションできる位置にいれば、ルックより危険な存在になります。
 もし、ルックを持つ側のキングがポーンの通り道に立っていたり、ゲームの成り行きでキングがポーンに近づいていく機会があれば、勝つのは簡単です。

figure27.JPG 27
 図27では、黒はキングの掩護なしにポーンを進めることはできません。そうしないと負けてしまいます。例えば1...b4 2.Kg7 b3 3.Rh3 b2 4.Rb3などです。
 反対に、黒がキングの掩護を利用しながらポーンを前進させるときには、白キングがルックを掩護する余裕ができます。つまり1...Kb6 2.Kg7 Ka5 3.Kf6 Ka4 4.Ke5 b4 5.Kd4 b3 6.Kc3で白勝ちです。
 次の原則を知っておいたら、役に立つでしょう。もしポーンを持つ側のキングがポーンの後ろにいるなら、通常ルックを持つ側が勝つためには、ルックを(守備側から見て)4段目に置いて、キングとポーンの連絡を断ち切らなければならない。

figure28.JPG 28
 28の局面では、結果はポーンが8段目に到達する前に白のキングがd2の地点を占めることができるかどうか、にかかっています。もしこの局面で白番なら間に合います。つまり1.Kb4 e3 2.Kc3 e2 3.Kd2です。
 黒番なら、ゲームは引き分けに終わります。つまり1...e3 2.Kb4 e2 3.Kc3 e1=Q+といった手順があります。

2008年03月16日

第3章 ピースとポーンによる戦い (5)

(前回からの続きです)

 次の例は少々難しくなりますが、ゲームの進め方はまったく同じです。
figure29.JPG29
 この局面も、すべては一手のテンポにかかっています。白番なら、1.Kd6 e3 2.Kd5 e2 3.Kd4 Kf3 4.Kd3 Kf2 5.Kd2でポーンの制止に間に合います。しかし黒番なら、1...e3 2.Kd6 e2 3.Kd5 Ke3 4.Kc4 Kf2で、黒がポーンの前進を掩護できます。

 ルックを持つ側のキングは、相手キングに邪魔をする余地を与えないようにしながら、ポーンに近づいていかなければなりません。
figure30.JPG30
 30の局面では、白は急いでポーンを止めに行かなければなりません。
 この局面から1.Kd6 g4と進みます。黒のキングは、相手のキングの進行を妨害することはできません。例えば1...Ke4ならば2.Rg7 Kf4 3.Kd5 g4 4.Kd4 Kc3 5.Kd3 g3 6.Rf7+ Kg2 Ke2などという手順があります。
 白2手目からは2.Kd5 Kf4 3.Kd4 Kf3 4.Kd3 g3 5.Kf7+ Kg2 6.Ke2で白勝ちです。

                                       (この項続きます)

2008年03月20日

第3章 ピースとポーンによる戦い (6)

(前項からの続きです)

figure31.JPG 31
 31の局面では、白キングがすぐに相手ポーンに近づいていっても、何も得るものはありません。1.Kf7 e4 2.Ke6 e3 3.Kf5 e2 4.Kf4 Kd3 5.Kf3の後、黒は5...Kd2と大事なテンポ取りの一手を指します。また、この手は白ルックが望ましくないマスにいることを利用しているのです。従って、ゲームは引き分けに終わります。

 しかし、まず1.Rd1+! Kc3 2.Re1! と指すと、白はテンポをとりながら、良い位置にルックを移動させることができます。それから2...Kd4 3.Kf7 e4 4.Ke6 e3 5.Kf5 Kd3 6.Kf4 e2 7.Kf3で白勝ちです。
 ひとつのテンポですべてが決まりました!テンポをとる可能性は、このようなエンディングにおいては極めて重要です。

 最後に、キングとルックの位置取りが悪い例を見てみましょう。
figure32.JPG 32
 32において、黒はポーンと対抗しているのですが、キングがルックの邪魔をしていて、このせいで黒が負けてしまいます。

 まず1.d7 Rg6+です。黒はポーンを止めることができませんから、残された唯一の手段はチェックをかけることです。
 これに対して2.Ke5! です。ルックによるチェックは、最初にぱっと見たときには無害に思えますが、決してそうではないのです。白は正確に指さなければなりません。2.Ke7では2...Rg1! 3.d8=Q Re1+ 4.Kd7 Rd1+で引き分けになります。だからといって2.Kd5でも2...Rg1とされて、3.Rd1+を狙われます。
 黒2手目からは2...Rg5+ 3.Ke4 Rg4+ 4.Kd3 Rg1 5.Kc2と進んでいきます。白のキングはどこへ行っているのでしょう?白キングがc2の位置でチェックを防いでいるのは、簡単にわかります。しかしdファイルを横切るときには注意をしなければなりません。そうしないと黒ルックにdファイルに到達するのに必要なテンポを与えてしまい、黒にピンチを切り抜けられてしまいます。
 黒の5手目からは5...Rg2+ 6.Kc3 Rg3+ 7.Kc4 Rg4+ 8.Kc5 Rg5+ 9.Kc6 Rg6+ 10.Kc7と進み、ポーンをクイーンにすることができます。

2008年03月22日

第3章 ピースとポーンによる戦い (7)

マイナーピース対ポーン

マイナーピース対ポーンの駒割りでの戦いは、通常引き分けに終わります。キングがどこからピースを掩護しているかで、結果は予測できます。読者のみなさんは、マイナーピースが、掩護のないポーンと戦わなければならない局面に、関心を持って見てください。

 ビショップ対ポーンの場合と、ナイト対ポーンの場合に分けて見ていきましょう。

ビショップは射程距離が長いので、離れたマスからの攻撃で、ポーンの前進を止められます。従って、相手キングや自軍のキングが利き筋を邪魔している場合を除いて、ビショップはポーンを制することができます。

figure33.JPG33
 33の局面から黒が引き分けに持ち込むには、ビショップをa7-g1の斜め筋にあるどれかのマスに置けばよいのです。しかし、白が1.Ke4として1...Bh4と応じ、2.Kf3と続けると、黒はポーンを止められなくなります。もし黒のキングがビショップの動きを邪魔してしまうf6の位置ではなく、仮にg6の位置にいたならば、1.Ke4 Bd8 2.a6 Bb6で、引き分けに持ち込めたでしょう。

 33の局面は珍しい例外のひとつであり、実戦ではポーンが前方にいない限りは、ビショップはポーンの前進を阻むことができます。

2008年03月27日

第3章 ピースとポーンによる戦い(8)

(前回からの続きです)

 パスポーンを相手にするうえでは、ナイトはビショップよりも扱いにくくなります。さらに、パスポーンがキングに掩護を受けていれば、引き分けになるかが基本的な争点になります。ナイトが単騎でポーンと戦わなければならないときには、ナイトのこなすべき仕事はなおさら複雑です。ビショップと違って、ナイトは遠方からポーンの前進を止めることはできません。
 残っているポーンが端のポーンでなければ、キングの掩護が無くとも、ナイトは8段目のマスを占拠して7段目のポーンを止めることができます。

figure34.JPG
34
 34の局面から、ゲームは1.Kd6 Nb8 2.Kc7 Na6+ 3.Kb6 Nb8と続きますが、白のキングがナイトをポーンの周りから排除できないのは明らかです。

 しかし、端のポーンが残っている場合には、ナイトが退却する場所がないので、結果としてナイトが取られてしまい、負けてしまいます。

figure35.JPG 35
 35から1.Kc6 Na8 2.Kb7と進んだら、白はナイトを取り、ゲームも勝ちます。ただし、端のポーンがまだ6段目にいるのなら、単騎であろうとなかろうと、ポーンに対抗できます。

figure36.JPG 36
 36から、白がどんな手を指しても、ナイトをポーンの周りから排除することはできません。例えば、1.Kc5 Na7 2.Kb6 Nc8+ 3.Kb7 Nd6+ 4.Kc7 Nb5+ 5.Kb6という手順があります。
 一見すると、白はナイトを排除できたかに見えますが、黒は5...Nd6! と応じ、6.a7に対して6...Nc8+と指されたら、白は不満です。黒がうまく防御できるのは、このような狙いがあるからです。ポーンの周りを「跳ね回る」ことで、ナイトはポーンの前進を阻むことができます。効果的に「狡猾な」フォークがかけられるというナイトの能力が、このようなエンディングでは重要な戦術的要素になります。

                                            (この項続きます)

2008年03月31日

第3章 ピースとポーンによる戦い (9)

(前回からの続きです)

次の例は、ナイトが遠くにあるポーンを取る方法を示しています。

figure37.JPG 37
 ポーンの前進を止めるためには、ナイトはb7かb8のいずれかのマスに達していなければなりません。37の局面では、相手キングが邪魔をしているので、ナイトは右からポーンに近づいていくことはできません。従って、ポーンの左に回りこまなければならないのです。すなわち、1...Nd3! 2.b6(もし2.Kd5ならば2...Kf3 3.Kd4 Nf4 4.b6 Ne6+ から5...Nd8です) 2...Nb4 3.b7 Na6で引き分けです。

 時々、ナイトがポーンに追いつく時間がなさそうに見えるときがありますが、そのときは相手キングが助けてくれることもあります。

figure38.JPG 38
 38の局面では、黒は次のようにしてピンチを脱します。
 1...Nd3 2.b7 Nc5 3.b8=Q Na6+で引き分けです。白のキングの位置が、黒を手助けしているのです。黒キングがどこか目立たない場所にいてくれたら、ポーンは安全にクイーンに昇格できたはずなのです。

 読者の皆さんは、このナイトが持つ大事な能力―つまりチェックで必要な手数を稼ぐ能力―が、役に立つことにお気づきになるでしょう。次のスタディは、ナイトの可動性を見事なまでに表現しています。

figure39.JPG39
 白のキングははるか遠くにいますので、ナイトは単騎で相手の駒と戦わなければなりません。キングを加勢に行かせようとしても、失敗します。例えば1.Kg2 Kc5 で2...b3とされた後、ナイトはポーン周囲から追い出され、ポーンの前進を阻止できなくなります。
 この局面を基本的な要素に分解して考えてみましょう。黒のポーンがb2に達したとき、白ナイトはa3, c3 d2の3つのうちいずれか1つのマスにいれば、白は引き分けに持ち込めます。しかし、どうやったら、それが実現できるのでしょうか?

                                        (この項続きます)

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