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2008年04月 アーカイブ

2008年04月02日

第3章 ピースとポーンによる戦い (10)

(前回からの続きです)

 まず1.Nc7+! です。ナイトの位置を修正して、相手キングの位置に狙いをつけます。
 これに対して1...Kc4! は、疑うまでもなく、白に対してもっとも危険な応手になります。1...Kd4では、白が2.Kg2でキングを移動させられるので、2...b3としても3.Nb5+から4.Na3と続けられます。また1...Kc6なら、白は2.Ne6 Kb5 3.Nd4+ Kc4 4.Nc6! b3 5.Na5+までです。

 白の2手目は2.Ne8!です。注目すべき手です!ナイトはポーンから遠くに行っているように見えますが、実はそうではありません。ナイトは再び戻ってくるためだけに、いったん前進しているのです。このe8のマスは重要な焦点です。白は黒のキングの位置によって、b1に至るナイトの道順を選んでいます。それはe8-c7-b5-a3かe8-f6-e4-d2のいずれかです。もしここで2...b3と指したら、3.Nd6+ Kb4 (3...Kd3では4.Nb5 b2 5.Na3) 4.Ne4 b2 5.Nd2と続きます。このようなことから、黒のキングは、白ナイトをd3のマスから排除しなければならないのです。

 黒の2手目からは2...Kc5 3.Nf6! Kd4 4.Ne8!で、ふたたび焦点のマスに行きました。
 続いて4...Ke5です。4...b3だと白は5.Nd6 Kc3 6.Ne4+! Kc2 7.Nd6! b2 8.Nc4! です。

 白5手目からは5.Nc7! Kd6 6.Ne8+と続きます。これは引き分けにする絶対手です。ナイトをポーンに向けて動かすと、負けてしまいます。6.Nb5+? Kc5 7.Nc7 b3 8.Ne6+ Kc4で、ポーンがプロモーションします。
 6...Kc5 7.Nc6! Kd4 8.Ne8! b3 9.Nd6 Kc3 10.Ne4+! Kc2 11.Nd6! b2 12.Nc4! b1=Q 13.Na3+で引き分けです。

 ナイトは芸術家を思わせるような能力を見せてくれました。読者の皆さんは、このスタディを、ぜひとも注意して試してみてください。

2008年04月05日

第3章 ピースとポーンによる戦い (11)

(前回からの続きです)

 ナイトには、ほかにも知っておくとよい特徴があります。それは、相手キングの通り道に対して横切るように、障壁を設けることができる、というものです。

figure40.JPG40
 上の図は、あらゆるエンディングの関連書の中で、基本的なポジションとしてごらんになったことがあるでしょう。白のポーンはプロモーション直前です。黒のキングはポーンから遠くはなれ、明らかにナイトを掩護することはできません。従って、ナイトは掩護を受けていないポーンと戦わなければならないのですが、単騎では、7段目にいる端のポーンに対抗することはできません。白がナイトを攻めてポーンの周りから追い出し、最後にはポーンをクイーンにするのです。

 上に述べたことは、「しかし」と呼べるものがなかったら成り立つ話です。つまり、「しかし」白キングの通り道に張ってある障壁のおかげで、ポーンまでの道のりが長くなっていることは間違いありません。実際、盤面をよくよく見ると、白がナイトを直接攻めることができないことがわかってきます。すなわち1.Kd6ならば1...Nb5+で2...Nxa7となります。d4, d5, d6, e6のマスには白キングが移動することができず、キングの通り道にある障壁となっています。けっきょく、白キングはポーンのところに行き着くまでに長くて遠回りになる道を通らなければならず、その間に、黒キングがナイトの掩護に駆けつけることができます。

 40の局面から1.Kf6 Kg3 2.Ke7 Kf4 3.Kd7 Na8 4.Kc8 Ke5 5.Kb7 Kd6と進みます。ナイトは自らを犠牲にして、白キングを「牢屋」に閉じ込めます。
 そして、6.Kxa8 Kc7でステイルメイトです。

                                     (この項続きます)

2008年04月07日

第3章 ピースとポーンによる戦い (12)

(前回からの続きです)

 もう一つ、重要な引き分けの局面をお示しします。

figure41.JPG 41
 再び、白キングの通り道を横切るように、障壁が形成されています。この図のd5, d6, d7, e7のマスには行けませんから、白キングはe5-d4-c5-c6-b7かf7-e8-d8-c7-b7か、いずれかの遠回りの道をとらなければなりません。どちらの場合でも、b7の地点に達するまでには5手かかりますし、その間に黒も十分な時間が取れますので、ナイトをa8の地点で捨てて、黒キングをc7のマスに置いてステイルメイトの局面にすることができるのです。

 この2つの局面に慣れてしまった方なら、次のスタディは難しくはないでしょう。
figure42.JPG42 (N. Grigoriev, 1932)
 どうやって、白は引き分けに持ち込みましょうか?ナイトは1.Ng6 h3 2.Nf4 h2 3.Ne2+ Kd2 4.Ng3Ke1 5.Kd6 Kf7とすると黒が勝ってしまうので、直接的な方法ではポーンを捕まえることはできません。
 しかし、ポーンを捕らえるために、黒キングの一を利用することはできないのでしょうか?この考え方を知っていれば、皆さんは、ナイトの正確な動きを簡単に見つけ出すことができます。

 この局面から、1.Nf7 h3 2.Ng5 h2 3.Ne4+です。これで白は4.Ng3や4.Nf2で、ポーンをとめることが可能になります。正しい指し手の選択は、黒キングの方向によって決まります。つまり3...Kd3なら.Ng3!が絶対手で、3...Kd4なら、単に4.Nf2!で十分です。両方とも相手キングからポーンへの道に、障壁を張っています。

 けっきょく、黒の最善の作戦は、すぐに迂回を始めること、すなわち3...Kc2と指すことです。もし白がすぐに4.Nf2と応じたら、4...Kd2 5.Kd6 Ke2 6.Nh1 Kf3 7.Ke5 Kf2で、白が負けてしまいます。しかし、4.Ng3! Kd1 5.Kd6 Ke1 6.Ke5 Kf2 7.Kf4と続けると、白はナイトの救助に間に合い、引き分けに持ち込むことができます。

 読者の皆さんは、ナイトがポーンに対していつも受け身に立たされているわけではないということを知って、面白いと思ったのではないでしょうか。もし、端のポーンの場合で、相手のキングがボードの隅にいて、自分のポーンが進路を塞いでいるときには、その周りにメイトの包囲網を張ることもできます。

 次の図は、例外的な局面のひとつです。
figure43.JPG 43
 この局面は、はるか12世紀から知られているものです。白は1.Nb4+ Ka1 2.Kc1 a2 3.Nc2#の3手でメイトにできます。

2008年04月18日

第4章 ポーンをクイーンにする (1)

 エンドゲームにおいては、たった1個の「しがない」ポーンが勝負を決定付けることがあります。というのも、それがクイーンになると、チェックメイトにできるだけの戦力的優位がもたらされるからです。

 この章では、各種ピースを伴う状況で、ポーンをいかにして前進させ、プロモーションさせるか、いつポーンをプロモーションさせるのが良くて、いつがよくないのか、どんな要素がプロモーションに利するのか、そうでないのか、といったことについて、われわれの分析を紹介します。

キングとポーン対キング

 キングがポーンの通り道になるマスに居座っている、つまり我々がよく言うところの、キングがポーンをブロックしているときが、キングがポーンに対抗しているときの最善の形です。しかしながら、キングはいつまでもそのマスにとどまることはできません。自分の手番になると1歩退却し、マスをあけて、ポーンに通り道を譲らざるを得なくなるのです。そして、44のように、守備側のキングが後退できない状況になるまで、キングの掩護を受けているポーンは前進を続けます。

figure44.JPG 44

 44では、お互いに典型的なツークツワンクの状態にあることがわかります。双方とも、手番を持っていると都合が悪いのです。白は1.Kc6と指さざるを得ないでしょうが、ステイルメイトとなって引き分けを認めることになりますし、黒の手番なら1...Kb7を強制され、それに対して2.Kd7とされて、クイーンを作られてしまうからです。つまり、ポーンを進めている白は、黒の手番になるように44の局面に持ち込まなければならない、逆に黒はこの局面で白の手番になるように指さなければならないのです。

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