第3章 ピースとポーンによる戦い (10)
(前回からの続きです)
まず1.Nc7+! です。ナイトの位置を修正して、相手キングの位置に狙いをつけます。
これに対して1...Kc4! は、疑うまでもなく、白に対してもっとも危険な応手になります。1...Kd4では、白が2.Kg2でキングを移動させられるので、2...b3としても3.Nb5+から4.Na3と続けられます。また1...Kc6なら、白は2.Ne6 Kb5 3.Nd4+ Kc4 4.Nc6! b3 5.Na5+までです。
白の2手目は2.Ne8!です。注目すべき手です!ナイトはポーンから遠くに行っているように見えますが、実はそうではありません。ナイトは再び戻ってくるためだけに、いったん前進しているのです。このe8のマスは重要な焦点です。白は黒のキングの位置によって、b1に至るナイトの道順を選んでいます。それはe8-c7-b5-a3かe8-f6-e4-d2のいずれかです。もしここで2...b3と指したら、3.Nd6+ Kb4 (3...Kd3では4.Nb5 b2 5.Na3) 4.Ne4 b2 5.Nd2と続きます。このようなことから、黒のキングは、白ナイトをd3のマスから排除しなければならないのです。
黒の2手目からは2...Kc5 3.Nf6! Kd4 4.Ne8!で、ふたたび焦点のマスに行きました。
続いて4...Ke5です。4...b3だと白は5.Nd6 Kc3 6.Ne4+! Kc2 7.Nd6! b2 8.Nc4! です。
白5手目からは5.Nc7! Kd6 6.Ne8+と続きます。これは引き分けにする絶対手です。ナイトをポーンに向けて動かすと、負けてしまいます。6.Nb5+? Kc5 7.Nc7 b3 8.Ne6+ Kc4で、ポーンがプロモーションします。
6...Kc5 7.Nc6! Kd4 8.Ne8! b3 9.Nd6 Kc3 10.Ne4+! Kc2 11.Nd6! b2 12.Nc4! b1=Q 13.Na3+で引き分けです。
ナイトは芸術家を思わせるような能力を見せてくれました。読者の皆さんは、このスタディを、ぜひとも注意して試してみてください。